頭蓋内圧亢進を助長する因子を見抜こう
看護師国家試験 第103回 午後 第51問 / 成人看護学 / 脳・神経系
国試問題にチャレンジ
頭蓋内圧亢進を助長するのはどれか。
- 1.便秘
- 2.酸素療法
- 3.浸透圧利尿薬
- 4.Fowler〈ファウラー〉位
対話形式の解説
博士
じゃこ博士じゃ。今日は頭蓋内圧亢進についてじゃぞ。頭蓋骨は固い箱じゃから、中身の脳・血液・髄液のどれかが増えると圧が上がってしまうのじゃ。
サクラ
なるほど、それでバランスが崩れると頭痛や嘔吐が出るんですね。
博士
その通りじゃ。設問では便秘・酸素療法・浸透圧利尿薬・ファウラー位のうち、亢進を助長するものを選ぶのじゃ。
サクラ
正解はどれですか?
博士
正解は1の便秘じゃ。便秘で怒責をかけると胸腔内圧が上がり、頸静脈還流が妨げられて頭蓋内圧が一気に跳ね上がるのじゃよ。
サクラ
2の酸素療法はどうですか?
博士
低酸素は脳血管を拡張させて圧を上げるから、酸素を投与して低酸素を是正することは頭蓋内圧を下げる方向に働くのじゃ。
サクラ
3の浸透圧利尿薬は?
博士
マンニトールなどは血漿浸透圧を上げて脳から水分を引き出すから、脳浮腫を改善して圧を下げる治療薬として使われるのじゃ。
サクラ
4のファウラー位は?
博士
頭部を15〜30度挙上すると静脈還流が促進されて頭蓋内圧が下がるから、亢進患者の基本体位なのじゃよ。
サクラ
怒責だけが亢進を悪化させる因子なんですね。よく理解できました。
博士
看護では緩下剤で怒責を避け、頭部挙上を保ち、頸部の屈曲を避けることが大切じゃぞ。クッシング現象が出たら脳ヘルニアの危険サインじゃから即対応じゃ。
POINT
頭蓋内圧亢進は脳・血液・髄液の容積増加で生じ、便秘時の怒責は胸腔内圧上昇により静脈還流を阻害して亢進を助長します。一方、酸素療法・浸透圧利尿薬・ファウラー位はいずれも頭蓋内圧を下げる介入です。看護では怒責予防・頭部挙上・頸部中間位の保持が基本となります。クッシング現象は脳ヘルニア切迫の警告サインです。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:頭蓋内圧亢進を助長するのはどれか。
解説:正解は 1 です。頭蓋内圧(ICP)は通常60〜180mmH2O程度に保たれており、脳実質・血液・髄液の3つの容積バランス(モンロー・ケリーの法則)で調整されています。これらの容積が増加して代償できなくなると頭蓋内圧亢進が生じ、頭痛・嘔吐・うっ血乳頭の三徴や意識障害が出現します。便秘による排便時の怒責は胸腔内圧・腹腔内圧を上昇させ、静脈還流を阻害して頭蓋内圧をさらに高めるため、亢進を助長する因子となります。
選択肢考察
-
○ 1. 便秘
便秘で硬便となると排便時に強い怒責が必要となり、Valsalva効果で胸腔内圧が上昇して頸静脈還流が妨げられ、頭蓋内圧が一過性に著明に上昇します。よって頭蓋内圧亢進を助長します。
-
× 2. 酸素療法
低酸素状態は脳血管を拡張させて脳血流量を増やし頭蓋内圧を上げるため、酸素投与による低酸素是正はむしろ頭蓋内圧低下に働きます。
-
× 3. 浸透圧利尿薬
D-マンニトールなどの浸透圧利尿薬は血漿浸透圧を高めて脳組織から血管内へ水分を引き寄せ、脳浮腫を軽減して頭蓋内圧を下げるため、亢進治療に用いられます。
-
× 4. Fowler〈ファウラー〉位
頭部を15〜30度挙上するファウラー位は頭部からの静脈還流と髄液の脊髄くも膜下腔への移動を促進するため、頭蓋内圧を低下させます。
頭蓋内圧亢進患者の看護では、緩下剤を活用して怒責を避ける、頭部挙上15〜30度を保つ、頸部の屈曲・回旋を避けて静脈還流を妨げない、過度な吸引や咳嗽を避ける、PaCO2を正常域に保つなどが重要です。クッシング現象(血圧上昇+徐脈+呼吸異常)が出現したら脳ヘルニアの危険サインとして緊急対応が必要です。
頭蓋内圧亢進を悪化させる因子と低下させる因子を区別できるかを問う問題です。怒責・咳嗽・低酸素・頭部低位は亢進、頭部挙上・酸素・浸透圧利尿薬は低下と覚えます。
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