脳血管造影前後の看護の要点
看護師国家試験 第104回 午後 第55問 / 成人看護学 / 脳・神経系
国試問題にチャレンジ
脳血管造影を行う患者の看護について最も適切なのはどれか。
- 1.前日に側頭部の剃毛を行う。
- 2.検査30分前まで食事摂取が可能である。
- 3.検査中は患者に話しかけない。
- 4.穿刺部の末梢側の動脈の拍動を確認する。
対話形式の解説
博士
今日は脳血管造影の患者を受け持つ場面じゃ。どこからカテーテルを入れるか覚えておるかな
サクラ
主に大腿動脈、つまり鼠径部か、上腕動脈ですよね
博士
そうじゃ。だから側頭部を剃毛する必要はない
サクラ
では選択肢1は誤りなのですね
博士
さらに前日剃毛は皮膚の細かい傷から感染を起こしやすいため、現代では検査直前にクリッパーで最小限行うのが標準じゃ
サクラ
食事は検査30分前まで可能というのも違和感がありますね
博士
造影剤で気分不良や嘔吐が起きる可能性があるし、緊急手術へ移行する可能性もある。基本は数時間前から絶食じゃ
サクラ
検査中は患者に話しかけないというのは
博士
これは大誤解じゃ。脳血管造影は局所麻酔で意識があるから、看護師は声かけしながら意識レベル、構音、麻痺、造影剤の副作用を逐一観察する
サクラ
では正解は穿刺部の末梢側の動脈拍動を確認することですね
博士
そう、合併症で動脈が詰まることがあるから、大腿動脈穿刺なら足背動脈、上腕動脈なら橈骨動脈を触知する
サクラ
血腫もできやすいですか
博士
圧迫止血が不十分だと内出血や血腫を作る。穿刺部の腫脹、皮膚色、冷感、しびれも観察項目じゃ
サクラ
検査後の安静はどのくらいですか
博士
通常は数時間の床上安静で、穿刺側の下肢は屈曲させない。トイレなども尿器を用意する必要があるぞ
サクラ
造影剤の副作用は他にもありますか
博士
腎機能低下、いわゆる造影剤腎症と、アレルギー反応がある。前後の水分摂取と尿量観察が大切じゃ
サクラ
事前に確認すべき情報も多そうですね
博士
ヨード造影剤アレルギーの既往、腎機能、服用中の抗血小板薬や抗凝固薬の確認は必須じゃ
サクラ
これだけ観察ポイントがあると、看護師の役割が大きいですね
POINT
本問は脳血管造影の合併症と看護観察を問うています。穿刺部位は大腿動脈や上腕動脈であり、側頭部剃毛は不要です。検査前は絶食とし、検査中は声かけにより意識や麻痺、造影剤副作用を観察します。最も重要な観察項目の一つが穿刺部末梢の動脈拍動触知で、動脈閉塞や血腫を早期に発見する手段となります。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:脳血管造影を行う患者の看護について最も適切なのはどれか。
解説:正解は4の穿刺部の末梢側の動脈の拍動を確認するです。脳血管造影では大腿動脈や上腕動脈にカテーテルを挿入するため、血栓や血腫による動脈閉塞が合併症となります。穿刺部より末梢側の動脈拍動を触知することで、血流が保たれているかを早期にアセスメントできます。
選択肢考察
-
× 1. 前日に側頭部の剃毛を行う。
脳血管造影のカテーテル穿刺部位は側頭部ではなく、大腿動脈(鼠径部)や上腕動脈です。剃毛が必要な場合は穿刺部周囲に限られ、しかも前日ではなく検査直前に最小限行うのが原則です。
-
× 2. 検査30分前まで食事摂取が可能である。
造影剤による嘔気や血管迷走神経反射、緊急手術への移行に備え、通常は検査数時間前から絶食とします。検査30分前まで食事可能とするのは安全管理上不適切です。
-
× 3. 検査中は患者に話しかけない。
脳血管造影は局所麻酔下で意識のある状態で行います。看護師は声かけを通じて意識状態、構音障害、麻痺の出現、造影剤副作用などを継続的に評価する必要があり、話しかけないのは不適切です。
-
○ 4. 穿刺部の末梢側の動脈の拍動を確認する。
カテーテル挿入による血管損傷や血栓形成、止血不十分による血腫で末梢の動脈が閉塞することがあります。大腿動脈穿刺なら足背動脈、上腕動脈なら橈骨動脈の拍動を経時的に確認することで早期発見につながります。
脳血管造影後は穿刺部の圧迫止血と数時間の安静臥床が必要で、穿刺側下肢を屈曲させない指導が重要です。観察項目は穿刺部の出血や血腫、皮膚色、冷感、しびれ、足背動脈拍動の左右差、神経症状の有無、造影剤による腎機能低下やアレルギー反応です。検査前後の十分な水分補給で造影剤腎症を予防します。
脳血管造影に伴う合併症を理解し、穿刺部末梢の循環動態を観察することの重要性を問う問題です。
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