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ストーマ自己管理、退院指導で押さえるポイント

看護師国家試験 第111回 午前 第93問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第93問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(60歳、男性、会社員)は息子2人が独立して遠方で暮らしており、2年前に妻と死別して以来、1人暮らし。直腸癌(rectal cancer)と診断され、腹会陰式直腸切断術、人工肛門造設術を行うと外来で説明を受けた。Aさんは看護師に対して「人工肛門を作ると聞いています。便が出てくる場所がどこなのかよくわからなくてイメージできない」と話した。 術後10日、Aさんは退院日が決まり、「落ち着いたら仕事に復帰します。1人暮らしなので、自分で人工肛門を管理しないといけないですね」と述べた。 Aさんの退院に際し、人工肛門の管理に関する看護師の指導で正しいのはどれか。

  1. 1.「面板は1日2回交換してください」
  2. 2.「装具の交換は滅菌手袋を使用してください」
  3. 3.「面板除去部の皮膚はお湯で洗浄してください」
  4. 4.「定期的に人工肛門の大きさを確認してください」

対話形式の解説

博士 博士

術後10日目、Aさんが退院を控えてストーマの自己管理を意識し始めたところじゃ。1人暮らしだからこそ正しい知識が重要じゃな。

サクラ サクラ

在宅でのストーマケア、覚えることがたくさんありそうです。

博士 博士

まずは面板交換の頻度。Aさんに『1日2回交換』と伝えるのは適切と思うか?

サクラ サクラ

頻度が多すぎる気がします。皮膚が荒れそうです。

博士 博士

正解じゃ。面板は皮膚保護剤の溶解具合で週2~3回が目安。頻回に剥がすと皮膚を傷め、かえって感染やびらんの原因になる。

サクラ サクラ

装具交換に滅菌手袋は?

博士 博士

ストーマは無菌野ではないから不要じゃ。在宅では素手か使い捨て手袋で十分。むしろ医療者が滅菌手袋をすると患者さんに『自分もしなきゃ』と誤解させてしまうから注意じゃな。

サクラ サクラ

洗浄はお湯だけで良いんですか?

博士 博士

便や皮脂汚れを落とすには弱酸性石鹸をしっかり泡立てて優しく洗い、ぬるま湯で流すのが基本じゃ。お湯だけでは汚れが残り皮膚障害を招く。

サクラ サクラ

では正解は4の大きさ確認ですね。

博士 博士

そうじゃ。術後3か月ほどかけて粘膜浮腫が引き、ストーマは徐々に縮小する。体重増減やトラブルでも大きさは変わるから、定期的にストーマゲージで測定することが重要じゃ。

サクラ サクラ

面板の開口部サイズはどう合わせれば?

博士 博士

ストーマ径+2mm程度を目安にする。大きすぎると便が皮膚に付いてびらん、小さすぎると粘膜を傷つけるから注意じゃ。

サクラ サクラ

ストーマの色が変わったら?

博士 博士

正常は生き生きした赤色。暗赤色や黒色は血流障害のサインで緊急受診じゃ。色調も毎日の観察項目に入れるんじゃよ。

サクラ サクラ

便漏れが起きたら?

博士 博士

漏れの原因は開口部サイズ不適合、皮膚のしわ、面板の溶解などじゃ。すぐに交換し、原因を見極めて次の装具選びに活かすんじゃ。

サクラ サクラ

退院後に相談できる窓口はありますか?

博士 博士

皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)の外来、オストメイト協会、装具メーカーの相談窓口などじゃ。1人暮らしでも孤立しないよう紹介しておくと安心じゃな。

POINT

面板交換は週2~3回が目安で毎日複数回は皮膚障害を招く。ストーマは無菌野ではなく素手または清潔手袋でケア可能で、皮膚は泡立てた石鹸で洗浄しぬるま湯で流す。退院後は面板サイズ調整やトラブル発見のためにストーマ径・色調・高さを定期観察することが重要である。WOCナースや当事者団体への橋渡しも1人暮らしの患者には欠かせない支援となる。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(60歳、男性、会社員)は息子2人が独立して遠方で暮らしており、2年前に妻と死別して以来、1人暮らし。直腸癌(rectal cancer)と診断され、腹会陰式直腸切断術、人工肛門造設術を行うと外来で説明を受けた。Aさんは看護師に対して「人工肛門を作ると聞いています。便が出てくる場所がどこなのかよくわからなくてイメージできない」と話した。 術後10日、Aさんは退院日が決まり、「落ち着いたら仕事に復帰します。1人暮らしなので、自分で人工肛門を管理しないといけないですね」と述べた。 Aさんの退院に際し、人工肛門の管理に関する看護師の指導で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。術後早期のストーマは粘膜浮腫があり時間経過とともに縮小していきます。また狭窄・脱出・陥没・出血・びらんなどのトラブルが出現することもあるため、定期的にストーマの大きさ・色調・高さを観察し、面板の開口部サイズを適切に調整することが在宅管理の基本です。

選択肢考察

  1. × 1.  「面板は1日2回交換してください」

    面板は皮膚保護剤の溶解や剥がれ具合に応じて交換し、一般的には週2~3回程度が目安です。頻回交換は皮膚保護剤の刺激や剥離で皮膚障害を招くため不適切です。

  2. × 2.  「装具の交換は滅菌手袋を使用してください」

    ストーマ粘膜および周囲皮膚は無菌野ではなく、在宅では素手または清潔な使い捨て手袋で行います。滅菌手袋は必要ありません。

  3. × 3.  「面板除去部の皮膚はお湯で洗浄してください」

    付着した便や皮膚保護剤の残渣を落とすには、よく泡立てた石鹸で優しく洗い、ぬるま湯で十分に洗い流す方法が推奨されます。お湯だけでは皮脂汚れが落ちにくく皮膚障害の原因になります。

  4. 4.  「定期的に人工肛門の大きさを確認してください」

    ストーマは術後3か月程度かけて浮腫が消退し縮小するほか、体重変化やトラブル発生でも大きさが変わります。面板開口部サイズを合わせるためにも定期的な計測と観察が必要です。

ストーマケアの基本は『剥がす(愛護的に)→洗う(泡で優しく)→乾かす→貼る(シワを伸ばす)』の4ステップです。ストーマのサイズは専用の計測ノギス(ストーマゲージ)で測り、面板開口部はストーマ径+2mm程度を目安にします。退院前にパウチング手技を本人に実施してもらい、理解度を確認することが重要です。

ストーマ装具交換の頻度・清潔操作・皮膚洗浄・ストーマ観察という自己管理の基本事項を問う問題です。