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胃切除後のダンピング症候群〜食事指導の5つの鉄則

看護師国家試験 第112回 午前 第49問 / 成人看護学 / 消化器・栄養代謝系

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第49問

胃切除術後のダンピング症候群(dumping syndrome)を予防するための食事指導で適切なのはどれか。

  1. 1.15分以内に食べる。
  2. 2.糖質の多い食事を摂る。
  3. 3.1回の摂取量を少なくする。
  4. 4.1日の食事回数を少なくする。

対話形式の解説

博士 博士

今日は胃切除術後のダンピング症候群について学ぶぞ。手術を受けた患者への重要な生活指導じゃ。

サクラ サクラ

ダンピング症候群って、胃を切った後に起こる症状ですよね?

博士 博士

そうじゃ。胃は本来、食物を一時的に溜めて少しずつ小腸に送る『貯留と排出』の機能を持つ。この胃を切除すると食物が一気に小腸へ流れ込んでしまうのじゃ。

サクラ サクラ

それで色々な症状が出るんですね。

博士 博士

ダンピング症候群には2種類ある。『早期』と『後期』じゃ。

サクラ サクラ

早期ダンピング症候群は?

博士 博士

食後30分以内に起こる。高浸透圧の食物が急に小腸に入ると、血管内から腸管内へ水分が引き込まれて循環血液量が減る。同時に消化管ホルモンが大量に出る。

サクラ サクラ

症状は?

博士 博士

動悸、めまい、冷汗、顔面蒼白、腹痛、下痢などじゃ。

サクラ サクラ

後期ダンピング症候群は?

博士 博士

食後2〜3時間後に起こる。糖質が急速に吸収されて血糖が急上昇、これに反応してインスリンが過剰分泌され、反動で低血糖発作が起こるのじゃ。

サクラ サクラ

低血糖ですか。冷汗や手指振戦、意識障害が起こるんですね。

博士 博士

その通り。予防の基本は『少量頻回・ゆっくり・糖質控えめ』じゃ。

サクラ サクラ

1回の食事量を少なくして、回数を増やすんですね。

博士 博士

そう、1日5〜6回に分けて食べる。1回量を減らせば小腸への負担が減るからの。

サクラ サクラ

食べる速さは?

博士 博士

最低30分以上かけてゆっくりよく噛む。15分で食べるような早食いは厳禁じゃ。

サクラ サクラ

糖質は減らすんでしたね。他に注意点は?

博士 博士

食事中の水分摂取を控えること、食後20〜30分は横になって安静にすること。横になると食物の腸への流入速度が緩やかになるのじゃ。

サクラ サクラ

食後すぐ横になるのって、普通は良くないイメージですが、この場合は別なんですね。

博士 博士

そう、病態によって推奨が変わる好例じゃ。また牛乳・豆乳・ヨーグルトなどの乳製品は良質な蛋白源じゃが、乳糖不耐を起こすこともあるから様子を見ながら取り入れる。

サクラ サクラ

栄養のバランスも気をつけないといけないですね。

博士 博士

その通り。術後は蛋白質の消化吸収が落ちるから、高蛋白・適正カロリーを少量頻回で摂ることが大切じゃ。鉄・ビタミンB12・カルシウムの吸収も悪くなるから貧血や骨粗鬆症の予防も必要になる。

サクラ サクラ

生活全体の指導が必要なんですね。看護師の役割は大きいですね。

POINT

胃切除後のダンピング症候群は食物が小腸へ急速に流入することで起こる症候群で、食後30分以内の『早期』(高浸透圧による循環血液量減少と消化管ホルモン過剰分泌)と食後2〜3時間後の『後期』(糖質急速吸収による反応性低血糖)の2種類があります。予防の基本は『1回量を少なく、1日5〜6回に分けて、ゆっくりよく噛んで、糖質は控えめに、食事中の水分は控え、食後20〜30分は安静臥床』です。看護師は退院指導で具体的な食事内容と生活リズムを一緒に考え、患者のQOLを支える役割を担います。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:胃切除術後のダンピング症候群(dumping syndrome)を予防するための食事指導で適切なのはどれか。

解説:正解は3の『1回の摂取量を少なくする。』です。胃切除後は食物を一時的に貯留する機能が失われ、食事が急速に小腸へ流入することで様々な症状が起こります。予防の基本は『少量・頻回・ゆっくり』の食事です。1回の摂取量を少なくして1日5〜6回に分割することで、小腸への急速な流入を防ぎ、早期ダンピング症候群と後期ダンピング症候群の両方を予防できます。

選択肢考察

  1. × 1.  15分以内に食べる。

    早食いは食物が一気に小腸へ流入してダンピング症候群を誘発する。30分以上かけてよく噛んでゆっくり食べることが正しい指導である。

  2. × 2.  糖質の多い食事を摂る。

    糖質が急速に小腸で吸収されると血糖が急上昇し、これに反応して過剰分泌されたインスリンにより後期ダンピング症候群(食後2〜3時間の低血糖発作)を起こす。糖質は控えめにする。

  3. 3.  1回の摂取量を少なくする。

    1回量を減らし1日5〜6回に分割摂取することで、小腸への急速な食物流入を防ぎダンピング症候群を予防できる。少量頻回食は術後の基本である。

  4. × 4.  1日の食事回数を少なくする。

    食事回数を減らすと1回量が増えて症状を誘発しやすい。必要な栄養量を確保しつつ胃腸への負担を抑えるため、回数を増やすのが正しい方針である。

ダンピング症候群は発症時間で2種類に分かれる。『早期ダンピング症候群』は食後30分以内に発症し、高浸透圧の食物が急速に小腸に流入することで細胞外液が腸管内へ移動し、循環血液量減少と消化管ホルモン分泌亢進により、動悸・めまい・冷汗・腹痛・下痢などが起こる。『後期ダンピング症候群』は食後2〜3時間に発症し、糖質の急速吸収による高血糖→反応性インスリン過剰分泌→低血糖発作として、冷汗・手指振戦・意識障害などが起こる。予防指導は『ゆっくり・少量頻回・糖質控えめ・食事中の水分控えめ・食後20〜30分の安静臥床』がポイントである。

ダンピング症候群の病態(早期・後期の区別)を踏まえた食事指導の原則を理解できるかを問う問題。『少量頻回』が看護指導の核となる。