StudyNurse

リスク因子と動脈硬化性疾患

看護師国家試験 第110回 午後 第79問 / 成人看護学 / 健康の保持・増進と疾病の予防

国試問題にチャレンジ

110回 午後 第79問

Aさん( 44歳、男性、会社員)は、20年以上の喫煙歴があり、BMI 26である。 会社の健康診断で脂質異常症( dyslipidemia )と高血圧症( hypertension )を指摘された。 Aさんが発症する危険性が高い疾患はどれか。

  1. 1.1型糖尿病( type1 diabetes mellitus )
  2. 2.潰瘍性大腸炎( ulcerative colitis )
  3. 3.肺血栓塞栓症( pulmonary thromboembolism )
  4. 4.労作性狭心症( angina of effort )
  5. 5.閉塞性血栓血管炎<TAO>( thromboangiitis obliterans )

対話形式の解説

博士 博士

今回は44歳男性、喫煙20年、BMI26、脂質異常症、高血圧じゃ。危険性の高い疾患は?

サクラ サクラ

動脈硬化のリスクが揃っているので、労作性狭心症ですね。

博士 博士

動脈硬化の危険因子を整理してみよう。

サクラ サクラ

高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満、加齢、家族歴などです。

博士 博士

労作性狭心症の症状は?

サクラ サクラ

階段や坂道など労作時に胸部絞扼感が数分間続き、安静やニトログリセリン舌下で改善します。

博士 博士

診断方法は?

サクラ サクラ

運動負荷心電図でST低下、冠動脈造影で狭窄を確認します。

博士 博士

1型糖尿病との違いは?

サクラ サクラ

1型は自己免疫でβ細胞が壊れる疾患で、生活習慣とは別の機序です。

博士 博士

潰瘍性大腸炎は?

サクラ サクラ

原因不明の炎症性腸疾患で、生活習慣病ではありません。

博士 博士

肺血栓塞栓症のリスクは?

サクラ サクラ

長期臥床や長時間の同一姿勢、術後、悪性腫瘍などです。

博士 博士

TAOは?

サクラ サクラ

中小動脈の炎症性疾患で、若年喫煙男性に多いですが動脈硬化性ではありません。

博士 博士

Aさんへの看護指導は?

サクラ サクラ

禁煙、減量、食事療法、運動療法、服薬アドヒアランスの支援が重要です。

POINT

Aさんは喫煙、肥満、脂質異常症、高血圧という動脈硬化の主要リスクが集積しています。これらは冠動脈の粥状硬化を進行させ、労作性狭心症の発症を促します。複数のリスクは相乗的に作用するため、禁煙、減塩、食事・運動療法、適切な薬物療法の継続による包括的な生活習慣改善の支援が看護の要となります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:Aさん( 44歳、男性、会社員)は、20年以上の喫煙歴があり、BMI 26である。 会社の健康診断で脂質異常症( dyslipidemia )と高血圧症( hypertension )を指摘された。 Aさんが発症する危険性が高い疾患はどれか。

解説:正解は 4 です。Aさんは長年の喫煙、肥満(BMI 26)、脂質異常症、高血圧という複数の動脈硬化リスク因子を抱えています。これらは冠動脈の粥状硬化を進行させ、心筋への血流が需要に追いつかなくなる労作性狭心症の典型的な危険因子です。他の選択肢は生活習慣病との関連が薄く、Aさんの背景と合致しません。

選択肢考察

  1. × 1.  1型糖尿病( type1 diabetes mellitus )

    1型糖尿病は膵β細胞が自己免疫機序で破壊されインスリン分泌が枯渇する疾患で、主に小児〜若年者に発症します。生活習慣との関連は乏しく、Aさんのリスク因子とは対応しません。

  2. × 2.  潰瘍性大腸炎( ulcerative colitis )

    潰瘍性大腸炎は原因不明の炎症性腸疾患で指定難病です。免疫異常や腸内細菌の関与が推測されていますが、喫煙や脂質異常とは直接結びつかず、むしろ喫煙は発症を抑制するとも報告されます。

  3. × 3.  肺血栓塞栓症( pulmonary thromboembolism )

    肺血栓塞栓症は深部静脈血栓が肺動脈に飛んで起こる疾患で、長期臥床、長時間の同一体位、術後、悪性腫瘍、妊娠などが主な危険因子です。脂質異常や高血圧は主因ではありません。

  4. 4.  労作性狭心症( angina of effort )

    労作性狭心症は冠動脈の粥状硬化により心筋への血流が不足する疾患で、喫煙、脂質異常症、高血圧、肥満、糖尿病といった生活習慣病が代表的な危険因子です。Aさんの背景と一致します。

  5. × 5.  閉塞性血栓血管炎<TAO>( thromboangiitis obliterans )

    TAO(バージャー病)は中小動脈の非化膿性炎症を主病変とする指定難病で、喫煙との関連は強いものの脂質異常や高血圧との結びつきは弱く、若年男性に多い疾患です。動脈硬化性ではありません。

動脈硬化の危険因子は高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満、加齢、家族歴などが挙げられ、複数揃うと冠動脈疾患の発症リスクが相乗的に上昇します。労作性狭心症は発作時にニトログリセリン舌下で症状が軽減し、ST低下などの心電図変化が運動負荷で出現することが特徴です。

生活習慣病の集積が動脈硬化性疾患、特に労作性狭心症の発症リスクを高めることを理解しているかを問う問題です。