ADLとIADLの見分け方―基本動作と生活運営力
看護師国家試験 第106回 午後 第80問 / 地域・在宅看護論 / 地域・在宅看護の対象と概念
国試問題にチャレンジ
手段的日常生活動作〈IADL〉はどれか。2つ選べ。
- 1.食事
- 2.洗濯
- 3.入浴
- 4.更衣
- 5.買い物
対話形式の解説
博士
今日はADLとIADLの違いを学ぶのじゃ。両方の定義を言えるかな?
アユム
ADLは…日常生活動作、で、食事とかトイレとか身の回りのこと…?
博士
正解。ADLはActivities of Daily Livingの略で、食事・排泄・入浴・更衣・移動・整容など、生活の基本となる動作じゃ。
アユム
IADLは『手段的』がつきますよね。何が違うんですか?
博士
IADLはInstrumental ADLで、道具や頭を使うより高次の動作。買い物、料理、洗濯、掃除、電話、服薬管理、金銭管理、交通機関の利用などじゃ。
アユム
買い物ってそんなに複雑ですか?
博士
よく考えてごらん。買い物には『何が必要か判断→外出→店を選ぶ→商品を選ぶ→計算して支払う→持ち帰る』と、認知機能・移動能力・金銭管理など多くのスキルが要るのじゃ。
アユム
確かに…。洗濯も単純じゃないですね。
博士
そう、洗濯機の操作、洗剤の選択、干す、たたむ、収納するなど、いくつも工程がある。
アユム
じゃあ選択肢で食事・入浴・更衣はADLで、洗濯と買い物がIADLですね。
博士
その通り。評価尺度も押さえておこう。ADLはBarthel Index(10項目100点満点)やFIM。IADLはLawton IADLスケール(8項目)が代表じゃ。
アユム
認知症では、どちらが先に障害されるんですか?
博士
良い質問じゃ。一般にIADLから先に障害される。金銭管理や服薬管理、買い物などは高次脳機能を要するので、軽度認知障害(MCI)の段階でつまずくことが多いのじゃ。
アユム
つまり、IADLをチェックすると認知症の早期発見につながるんですね。
博士
その通り。地域包括ケアや介護予防では、IADLをいかに維持するかが自立生活のカギになる。
アユム
家族が『最近買い物でお釣りを間違える』『電話の応対が変』と気づくのも重要なんですね。
博士
そうじゃ。看護師は退院支援や在宅看護でADL/IADLを総合評価し、必要なサービスにつなげるのが役割じゃ。
アユム
介護保険のサービスでも、IADLを支えるものが多いですね。訪問介護の生活援助や配食サービスとか。
博士
素晴らしい視点じゃ。ADLが難しくなったら『身体介護』、IADLが難しくなったら『生活援助』と大枠で覚えておくと良い。
アユム
生活を丸ごと見る視点、大事ですね!
POINT
日常生活動作はADL(基本的日常生活動作:食事・排泄・入浴・更衣・移動・整容など)とIADL(手段的日常生活動作:買い物・調理・洗濯・掃除・電話・服薬管理・金銭管理・交通機関利用など)に分けられます。この問題では『洗濯』と『買い物』がIADLに該当し、他はADLです。IADLはより高次の認知・判断機能を要するため、認知症の初期にはまずIADLから障害される傾向があり、早期発見の手がかりになります。評価尺度はADLがBarthel Index・FIM、IADLがLawton IADLスケール。地域包括ケアや介護予防では、ADL維持とIADL維持の両輪で自立生活を支えることが看護・介護の基本となります。
解答・解説
正解は 2 ・ 5 です
問題文:手段的日常生活動作〈IADL〉はどれか。2つ選べ。
解説:正解は 2 と 5 です。日常生活動作はADL(Activities of Daily Living:基本的日常生活動作)とIADL(Instrumental Activities of Daily Living:手段的日常生活動作)に分けられます。ADLは『食事・排泄・入浴・更衣・移動・整容』など生活の基本となる動作で、Barthel IndexやFIMで評価されます。IADLはより複雑で高次な動作で、『買い物・調理・洗濯・掃除・電話の使用・服薬管理・金銭管理・交通機関の利用』などが該当し、Lawton IADLスケールで評価されます。この問題では『洗濯』と『買い物』がIADLに該当します。
選択肢考察
-
× 1. 食事
食事(食べる動作)は基本的日常生活動作(ADL)に含まれる。Barthel Indexの10項目の一つでもある。
-
○ 2. 洗濯
洗濯は洗濯機の操作、干す、たたむなど複数の認知的・身体的要素を含む複雑な動作でIADLに該当する。
-
× 3. 入浴
入浴はセルフケアの基本動作でADLに該当。Barthel IndexやFIMでも評価項目の一つ。
-
× 4. 更衣
更衣(着替え)は身の回りのセルフケアとしてADLに含まれる。
-
○ 5. 買い物
買い物は外出、商品選択、金銭のやり取り、持ち帰りなど複数のスキルが必要で、IADLの典型例。Lawton IADLスケールの評価項目でもある。
ADLの評価尺度:Barthel Index(食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、更衣、排便、排尿の10項目、100点満点)、FIM(運動13項目+認知5項目)。IADLの代表尺度はLawton IADLスケールで、電話・買い物・食事の準備・家事・洗濯・交通機関利用・服薬管理・金銭管理の8項目(女性8項目、男性5項目で評価)。IADLはADLよりも高次の認知機能や判断力を要するため、認知症の初期にはまずIADLから障害されやすい。地域包括ケアや介護予防では、IADL維持が自立生活の鍵となる。
ADL(基本動作)とIADL(手段的動作)の区別を問う頻出問題。『ADL=身の回り、IADL=生活を運営する力』と覚える。
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