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在宅高齢者の異変への初期対応

看護師国家試験 第104回 午後 第89問 / 地域・在宅看護論 / 地域・在宅看護における安全と健康危機管理

国試問題にチャレンジ

104回 午後 第89問

Aさん(72歳、女性)は、1人で暮らしており、要介護1で訪問看護を利用している。昨日の訪問時、看護師は高級な羽毛布団を見かけ、Aさんに尋ねると購入の覚えがないと話した。別居している長男は、週1回電話でAさんの様子を確認している。 看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.長男への連絡
  2. 2.羽毛布団の返品
  3. 3.成年後見人の選任
  4. 4.近隣住民への聞き取り
  5. 5.Aさんの判断能力の評価

対話形式の解説

博士 博士

今日は在宅看護の事例じゃ。Aさんの状況をどう捉える

サクラ サクラ

高級羽毛布団を購入した覚えがないとのこと、認知機能低下か悪質商法かもしれません

博士 博士

その通り。まず何をすべきか

サクラ サクラ

キーパーソンである長男への連絡が最優先です

博士 博士

なぜ最優先なんじゃ

サクラ サクラ

金銭管理や契約手続きは家族の対応が必要で、状況共有と方針相談ができます

博士 博士

羽毛布団の返品は看護師が行うべきか

サクラ サクラ

いいえ、契約行為は本人または家族が行うものです

博士 博士

成年後見人の選任はどうじゃ

サクラ サクラ

判断能力評価が先で、いきなり後見人選任は段階を飛ばしています

博士 博士

近隣住民への聞き取りは

サクラ サクラ

プライバシー侵害になるので適切ではありません

博士 博士

Aさんの判断能力評価の意義は

サクラ サクラ

HDS-RやMMSEで認知機能を客観的に評価し、ケアプラン見直しにつなげます

博士 博士

見事じゃ。正解は1と5となる

サクラ サクラ

悪質商法対策ではどこと連携しますか

博士 博士

消費生活センター、地域包括支援センター、ケアマネジャーじゃ。クーリングオフ制度も活用できる

サクラ サクラ

在宅看護では多職種連携が鍵ですね

博士 博士

その視点こそ大切じゃ

POINT

在宅高齢者の異変を察知した際の看護師の初期対応は、まず家族への連絡と本人の判断能力評価が基本です。誤答の返品代行や近隣聞き取りは看護師の業務範囲を逸脱し、成年後見選任は段階を飛ばしています。実際の支援では消費生活センターや地域包括支援センターとの連携が不可欠で、判断能力低下を疑う場合は早期に医療機関受診とケアプラン見直しにつなげる視点が大切です。

解答・解説

正解は 1 5 です

問題文:Aさん(72歳、女性)は、1人で暮らしており、要介護1で訪問看護を利用している。昨日の訪問時、看護師は高級な羽毛布団を見かけ、Aさんに尋ねると購入の覚えがないと話した。別居している長男は、週1回電話でAさんの様子を確認している。 看護師の対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は1と5です。Aさんは認知機能の低下や悪質商法被害が疑われる状況であり、まずキーパーソンである長男に連絡して状況共有と家族としての対応を依頼し、同時にAさんの判断能力を客観的に評価して必要なサービスを再検討することが看護師の役割です。

選択肢考察

  1. 1.  長男への連絡

    Aさんが購入を覚えていないという状況は認知機能低下や悪質商法被害の可能性を示唆します。家族のキーパーソンである長男に速やかに連絡し、購入の経緯確認や金銭管理、契約手続きの対応を相談することが第一歩です。

  2. × 2.  羽毛布団の返品

    返品はAさん本人または法定代理人が行う契約行為であり、看護師が代行する立場にはありません。クーリングオフ制度の活用も含め、家族や消費生活センター、地域包括支援センターと連携して進めるべきです。

  3. × 3.  成年後見人の選任

    成年後見制度は判断能力が著しく低下した場合に家庭裁判所への申立てで開始されます。現時点ではまずAさんの判断能力を評価し、家族と相談する段階で、いきなり後見人選任を勧めるのは段階を飛ばしています。

  4. × 4.  近隣住民への聞き取り

    近隣住民への聞き取りはAさんのプライバシーを侵害し、認知症の噂が広がるおそれがあります。Aさんの同意なしに行うべきではなく、まずは家族や本人への確認、専門職連携が優先されます。

  5. 5.  Aさんの判断能力の評価

    購入を覚えていないという事実は短期記憶障害や判断能力低下のサインかもしれません。HDS-RやMMSEなどによる認知機能評価、生活状況の再アセスメントを行い、ケアプランの見直しや医療機関受診につなげることが必要です。

高齢者の悪質商法対策では、消費生活センター(消費者ホットライン188)、地域包括支援センター、警察、ケアマネジャーとの多職種連携が重要です。クーリングオフは訪問販売で契約から8日以内なら可能で、判断能力に問題があれば期間を超えても無効主張ができる場合があります。在宅高齢者の見守り体制(民生委員、地域見守りネットワーク)の構築も予防策として有効です。

在宅高齢者の判断能力低下や消費者被害を疑う場面での、初期対応の優先順位を判断できるかを問います。