食道の解剖、粘膜から走行までしっかり整理
看護師国家試験 第103回 午後 第26問 / 必修問題 / 人体の構造と機能
国試問題にチャレンジ
食道について正しいのはどれか。
- 1.厚く強い外膜で覆われる。
- 2.粘膜は重層扁平上皮である。
- 3.胸部では心臓の腹側を通る。
- 4.成人では全長約50cmである。
対話形式の解説
博士
食道の長さは何cmか覚えておるかね?
アユム
確か25cmくらいだったと思います。
博士
その通り、約25cmじゃ。今回は食道について正しいものを選ぶ問題じゃな。
アユム
正解はどれですか?
博士
正解は2の粘膜は重層扁平上皮であるじゃ。固形物の通過に耐える摩擦に強い構造じゃよ。
アユム
1の外膜が厚く強いというのは違うんですか?
博士
食道の外膜は薄い結合組織性の外膜で、腹腔内消化管のような漿膜ではないんじゃ。だから食道癌は周囲浸潤しやすいんじゃよ。
アユム
3の心臓の腹側というのは?
博士
食道は心臓の背側、つまり後方を通るんじゃ。腹側ではないから誤りじゃな。
アユム
4の全長50cmは長すぎますね。
博士
そうじゃ、約25cmが正しい数字じゃ。50cmはおよそ2倍にあたるのう。
アユム
食道には狭窄部があるんですよね?
博士
生理的狭窄部が3か所あって、起始部・気管分岐部・横隔膜貫通部じゃ。異物が引っかかりやすく、食道癌の好発部位とも重なるんじゃよ。
アユム
下部食道は逆流性食道炎が起こりやすい場所ですね。
博士
その通り、胃食道接合部付近では円柱上皮への移行が起こり、バレット食道など病変の温床になることもあるんじゃ。
アユム
解剖を知ると疾患の理解が深まりますね。
POINT
食道は内側から粘膜・筋層・外膜の3層構造をもち、粘膜は摩擦に強い重層扁平上皮で覆われています。長さは約25cm、心臓の背側を通り、外膜は薄い結合組織です。生理的狭窄部や上皮の特徴は食道癌や逆流性食道炎の理解に直結する重要な知識です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:食道について正しいのはどれか。
解説:正解は2です。食道は咽頭から胃に至る長さ約25cmの管状器官で、内側から粘膜・筋層・外膜の3層構造をもちます。食道の粘膜は摩擦に強い重層扁平上皮で覆われており、固形物の通過にも耐える構造となっています。外膜は他の消化管の漿膜と異なり薄い結合組織からなる外膜で、胸部では心臓の背側を走行します。これらの解剖学的特徴は食道癌や食道静脈瘤などの疾患理解にも直結します。
選択肢考察
-
× 1. 厚く強い外膜で覆われる。
食道の外膜は腹腔内消化管のような漿膜ではなく、薄い結合組織性の外膜です。このため食道癌では周囲組織への浸潤が早期から起こりやすい特徴があります。
-
○ 2. 粘膜は重層扁平上皮である。
食道の粘膜は摩擦に強い重層扁平上皮で、固形物が通過する際の機械的刺激に耐えられる構造です。胃に近づくと円柱上皮へ移行します。
-
× 3. 胸部では心臓の腹側を通る。
食道は胸部で心臓の背側(後方)を通り、胸部下部で大動脈の前を越えて左に寄り、横隔膜の食道裂孔を通過して胃に至ります。
-
× 4. 成人では全長約50cmである。
成人の食道の全長は約25cmで、50cmはおよそ2倍にあたり誤りです。生理的狭窄部が3か所(起始部・気管分岐部・横隔膜貫通部)あります。
食道には3か所の生理的狭窄部があり、起始部・気管分岐部(大動脈弓・左主気管支との交叉部)・横隔膜貫通部です。これらの部位は異物が引っかかりやすく、食道癌の好発部位とも一致します。下部食道は胃食道逆流症の好発部位です。
食道の解剖学的構造(壁の層構造・粘膜上皮・走行・全長)に関する基礎知識を問う問題です。
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