胆汁のはたらきを整理しよう
看護師国家試験 第108回 午前 第11問 / 必修問題 / 人体の構造と機能
国試問題にチャレンジ
胆汁の作用はどれか。
- 1.殺菌
- 2.脂肪の乳化
- 3.蛋白質の分解
- 4.炭水化物の分解
対話形式の解説
博士
今日は必修でよく出る胆汁の作用について確認するぞ。胆汁は肝臓で作られて胆嚢で濃縮され、食事のたびに十二指腸へ放出される液体じゃ。
サクラ
先生、胆汁って消化酵素がたっぷり入っているイメージがあります。
博士
実はそこが落とし穴でな、胆汁には消化酵素は含まれていないのじゃ。主役は胆汁酸塩という界面活性作用を持つ物質で、脂肪を細かい粒に分散させる乳化を担うのじゃよ。
サクラ
だから正解は2の脂肪の乳化なんですね。
博士
そのとおり。乳化で脂肪の表面積が広がると、膵リパーゼが効率よく分解できて脂肪酸とモノグリセリドになり、胆汁酸が作るミセルに乗って吸収される仕組みじゃ。
サクラ
ほかの選択肢も整理させてください。1の殺菌は胃液のお仕事ですよね。
博士
うむ、胃酸はpH1前後で細菌を不活化する強力な防御じゃ。胆汁にはそのような殺菌作用はないぞ。
サクラ
3の蛋白質分解はペプシンやトリプシン、4の炭水化物分解はアミラーゼが担当、という理解で合っていますか。
博士
完璧じゃ。胆汁は酵素ではないから、栄養素を化学的に切るのではなく物理的に細かくするのが仕事と覚えるとよい。
サクラ
胆嚢を摘出した患者さんが脂っこい食事で下痢しやすいのも、この乳化機能の低下が関係するんですね。
博士
そのとおり。肝臓からは胆汁が出続けるが、濃縮・貯留が効かないため脂肪負荷への対応力が落ちるのじゃ。臨床では食事指導に結び付く大事な知識じゃよ。
サクラ
胆汁酸が腸肝循環で再利用されることも併せて覚えておきます。
博士
その視点は素晴らしい。胆汁酸の約95%は回腸末端で再吸収されて肝臓に戻るから、クローン病などで回腸を切除すると脂肪吸収障害を起こしやすいのじゃ。
POINT
胆汁は肝臓で生成される消化液で、消化酵素は含まず胆汁酸による脂肪の乳化が中心的な作用です。乳化によって脂肪の表面積が増え、膵リパーゼの作用とミセル形成を介した吸収が成立します。殺菌は胃液、蛋白質分解はペプシンやトリプシン、炭水化物分解はアミラーゼ系が担当するため区別しましょう。胆嚢摘出後の脂肪便や腸肝循環の知識まで押さえると臨床にも直結します。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:胆汁の作用はどれか。
解説:正解は 2 です。胆汁は肝細胞で生成され、一時的に胆嚢で濃縮されたのち十二指腸へ分泌される消化液で、酵素は含まないものの胆汁酸とリン脂質の界面活性作用によって脂肪を微細な粒子に分散させる「乳化」を担います。乳化によって脂肪の表面積が飛躍的に広がり、膵液に含まれるリパーゼが効率よく働ける環境が整い、脂肪酸・モノグリセリドとして吸収されるミセル形成にも胆汁酸が不可欠です。
選択肢考察
-
× 1. 殺菌
消化管内で細菌を殺菌するのは主に胃液の塩酸(pH1〜2)で、胆汁には殺菌作用はありません。
-
○ 2. 脂肪の乳化
胆汁酸塩が界面活性剤として働き、脂肪を微細粒子に乳化してリパーゼによる消化と吸収を助けます。
-
× 3. 蛋白質の分解
蛋白質の消化は胃のペプシン、膵液のトリプシン・キモトリプシンなど蛋白分解酵素が担い、胆汁には分解作用はありません。
-
× 4. 炭水化物の分解
炭水化物の分解は唾液・膵液のアミラーゼや小腸のマルターゼなどが担当し、胆汁は関与しません。
胆汁は1日約500〜800mL分泌され、主成分は胆汁酸・ビリルビン・コレステロール・リン脂質です。胆汁酸はコレステロールを原料に肝臓で合成され、腸肝循環により約95%が回腸末端で再吸収されます。胆嚢摘出後でも肝臓から胆汁は流出しますが、貯留・濃縮機能を失うため脂肪の多い食事で下痢を起こしやすい点は押さえておきましょう。「胆汁は酵素なし・乳化のみ」と覚えると混同を避けられます。
胆汁の作用が消化酵素による分解ではなく、脂肪の乳化である点を問う必修問題です。
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