触診法による血圧測定のコツを押さえよう
看護師国家試験 第105回 午後 第72問 / 基礎看護学 / 看護における基本技術
国試問題にチャレンジ
触診法による血圧測定で適切なのはどれか。
- 1.血圧計は患者の心臓の高さに置く。
- 2.マンシェットの幅は上腕全体を覆うサイズを選ぶ。
- 3.150mmHgまで加圧して減圧を開始する。
- 4.加圧後に1拍動当たり2〜4mmHgずつ減圧する。
- 5.減圧開始後に初めて脈が触知されたときの値を拡張期血圧とする。
対話形式の解説
博士
今日は触診法による血圧測定について話そう。聴診器を使わずに指で脈を触れて測るあの方法だよ。
アユム
はかせ、触診法って聴診法より簡単そうに見えますけど、正確に測るにはコツがあるんですよね?
博士
そのとおり。触診法で正しい選択肢は「加圧後に1拍動当たり2〜4mmHgずつ減圧する」だよ。これがガイドラインで推奨される減圧速度だ。
アユム
速すぎたり遅すぎたりすると何が問題なんですか?
博士
減圧が速すぎると脈の触知を見逃して血圧を低く評価してしまい、遅すぎると末梢がうっ血して高めに出たり、患者さんが痛みを感じたりするんだ。
アユム
なるほど!他の選択肢も確認したいです。「血圧計は心臓の高さに置く」はどうですか?
博士
引っかけ問題だね。心臓の高さに合わせるのはマンシェット、つまり測定する上腕だよ。血圧計本体ではないんだ。マンシェットの位置が心臓より低いと静水圧で高値、高いと低値になる。
アユム
マンシェットの幅が上腕全体を覆うサイズというのは?
博士
これも誤り。幅は上腕長の約3分の2が目安で、成人なら幅14cmが標準だ。幅が広すぎると血圧は低めに、狭すぎると高めに出るんだよ。
アユム
「150mmHgまで加圧」はキリがよくて正解っぽく見えますけど。
博士
ダメだよ。患者ごとに血圧は違うからね。触診法では橈骨動脈の脈が消失する点からさらに20〜30mmHg加圧する。高血圧の人に150mmHgでは足りないこともあるんだ。
アユム
最後の「最初に脈が触れたときが拡張期血圧」はどうですか?
博士
これは収縮期血圧だよ。触診法では拡張期血圧は原理的に測れないんだ。拡張期を知りたければコロトコフ音のV点を聴く聴診法が必要になる。
アユム
よくわかりました!触診法は緊急時やショック時に役立つ方法なんですね。
博士
そうだね。救急車内の騒音下やショックで音が微弱なときに重宝するよ。また聴診法の加圧上限を決めるために触診法で収縮期血圧を把握しておくのは基本手技だ。しっかり身につけよう。
POINT
触診法による血圧測定の正解は「1拍動当たり2〜4mmHgずつ減圧する」です。マンシェットは心臓と同じ高さに置き、幅は上腕の約2/3を覆うサイズを選択します。加圧は脈が消失した圧からさらに20〜30mmHg上げ、減圧時に最初に脈が触れた圧が収縮期血圧です。触診法では拡張期血圧は測定できないため、必要時は聴診法を併用します。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:触診法による血圧測定で適切なのはどれか。
解説:正解は 4 です。触診法による血圧測定は、橈骨動脈などの脈拍を指で触知しながらマンシェットを加圧・減圧し、脈が初めて触れた圧を収縮期血圧として読み取る方法です。聴診法に比べて簡便で、コロトコフ音が聴取困難な場面(緊急時、騒音下、ショック時)や聴診法の加圧上限を決定する前段階としても用いられます。減圧速度は1拍動につき2〜4mmHg程度がガイドラインで推奨され、これより速いと過小評価、遅いと静脈うっ血で過大評価となります。
選択肢考察
-
× 1. 血圧計は患者の心臓の高さに置く。
心臓の高さに合わせるのはマンシェット(測定部位である上腕)であり、血圧計本体ではありません。マンシェットが心臓より低いと静水圧の影響で高値に、高いと低値に測定されます。
-
× 2. マンシェットの幅は上腕全体を覆うサイズを選ぶ。
マンシェット幅は上腕長の約2/3が目安で、成人上腕用は幅14cmが標準です。幅が狭いと血圧は高めに、幅が広いと低めに測定されるため、上腕全体を覆うサイズは不適切です。
-
× 3. 150mmHgまで加圧して減圧を開始する。
加圧上限は患者ごとに異なります。触診法では橈骨動脈の脈が触れなくなった点からさらに20〜30mmHg加圧し、その後減圧を開始します。一律150mmHgは根拠がありません。
-
○ 4. 加圧後に1拍動当たり2〜4mmHgずつ減圧する。
ガイドラインで推奨される減圧速度です。これより速いと脈の触知を見逃して過小評価、遅いと末梢うっ血により過大評価や痛みを招きます。1拍動あたり2〜4mmHgが適切です。
-
× 5. 減圧開始後に初めて脈が触知されたときの値を拡張期血圧とする。
減圧中に最初に脈が触れた圧は収縮期血圧です。触診法では拡張期血圧を測定できず、拡張期血圧を知るには聴診法(コロトコフ音のV点)が必要です。
触診法の手順は、(1)仰臥位または座位で上腕を心臓の高さに置く、(2)肘窩から指2本上にマンシェットを巻く、(3)橈骨動脈を触知しながら脈が消失する圧を確認し、そこから20〜30mmHg加圧、(4)1拍動あたり2〜4mmHgずつ減圧、(5)再び脈が触れた圧を収縮期血圧として記録する、の流れです。ショック時や救急現場で聴診困難な場合に特に有用で、聴診法の加圧上限決定にも用いられます。
触診法による血圧測定の正しい手順と測定原理(減圧速度、拡張期血圧は測定不可)を理解しているかを問う問題です。
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