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バレー試験で錐体路障害を見つけよう

看護師国家試験 第111回 午前 第37問 / 基礎看護学 / 看護における基本技術

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第37問

上肢のフィジカルアセスメントの立位での実施場面の写真を示す。 手のひらを上にして、肩の高さで水平に前方に両腕を伸ばしてもらった。その後、閉眼してもらうと、左腕が回内しながら下がっていった。 アセスメントの結果で正しいのはどれか。

上肢のフィジカルアセスメントの立位での実施場面の写真を示す。 手のひらを上にして、肩の高さで水平に前方に両腕を伸ばしてもらった。その後、閉眼してもらうと、左腕が回内しながら下がっていった。 アセスメントの結果で正しいのはどれか。
  1. 1.位置覚の異常
  2. 2.錐体路の障害
  3. 3.小脳機能の異常
  4. 4.関節可動域の障害

対話形式の解説

博士 博士

今日は第111回看護師国家試験午前37問、上肢のフィジカルアセスメントに関する問題じゃ。

サクラ サクラ

手のひらを上にして両腕を伸ばし、閉眼すると左腕が回内しながら下がる、という所見ですね。これは何の検査ですか。

博士 博士

これはバレー試験、正式には上肢バレー徴候を見る検査じゃ。軽度の上肢麻痺を検出する神経学的検査で、フランスの神経学者バレーが考案した。

サクラ サクラ

どうして閉眼するんですか。

博士 博士

視覚的フィードバックを遮断するためじゃ。目を開けていると、意識的に腕の位置を保とうとして軽い麻痺が隠れてしまう。閉眼させることで視覚情報が遮断され、麻痺が表面化するんじゃ。

サクラ サクラ

回内しながら下がるというのが特徴的ですね。

博士 博士

そうじゃ。錐体路障害では屈筋群の筋緊張が伸筋群より強まる傾向があり、これが回内下降という特徴的な動きとして現れる。左腕が回内下降するということは、左上肢を支配する右大脳半球の錐体路に障害があることを示唆する。

サクラ サクラ

錐体路とは何ですか。

博士 博士

大脳皮質運動野から始まり、内包後脚、大脳脚、延髄錐体で交叉して反対側の脊髄側索を下行し、脊髄前角細胞に終わる運動神経の主要経路じゃ。脳梗塞、脳出血、脳腫瘍などで障害されると片麻痺を起こす。

サクラ サクラ

正解は2の錐体路の障害ですね。

博士 博士

そのとおり。他の選択肢も見ていこう。1の位置覚は深部感覚の一つで、関節の位置や動きを感知する感覚じゃ。評価は患者の指や足趾の位置を動かして、どちらに動いたか当ててもらう検査で、バレー試験では評価できん。

サクラ サクラ

3の小脳機能はどう評価しますか。

博士 博士

指鼻指試験、踵膝試験、反復拮抗運動、タンデム歩行などを使う。小脳障害では測定障害、企図振戦、協調運動障害などが見られる。

サクラ サクラ

4の関節可動域は関節角度計で測るんでしたね。

博士 博士

そのとおり。ROM測定法といい、ゴニオメーターで関節角度を測る。バレー試験とは別物じゃ。

サクラ サクラ

下肢にもバレー試験はあるんですか。

博士 博士

あるぞ。下肢バレー試験は腹臥位で両膝を約45度屈曲させ、麻痺側が徐々に下降する所見を見る。ミンガッチーニ徴候も下肢麻痺の検査として有名じゃ。

サクラ サクラ

錐体路障害の他の徴候もセットで覚えたほうがいいですか。

博士 博士

うむ。バビンスキー徴候、腱反射亢進、痙性麻痺を組み合わせて評価することで片麻痺の有無と程度を判断するぞ。

POINT

上肢バレー試験は両腕を前方水平に挙上し手掌を上に向けて閉眼させる検査で、回内下降陽性は対側錐体路障害を示唆します。脳梗塞・脳出血などによる軽度片麻痺の検出に有用で、バビンスキー徴候や腱反射亢進と併せて評価します。位置覚、小脳機能、関節可動域はそれぞれ別の検査で評価することも押さえておきましょう。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:上肢のフィジカルアセスメントの立位での実施場面の写真を示す。 手のひらを上にして、肩の高さで水平に前方に両腕を伸ばしてもらった。その後、閉眼してもらうと、左腕が回内しながら下がっていった。 アセスメントの結果で正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。両上肢を前方に水平に挙上し手掌を上にして閉眼させる検査は上肢のバレー試験で、軽度の上肢麻痺を検出する神経学的検査です。片側の上肢が回内しながら下降するバレー徴候陽性は、対側の大脳皮質運動野から脊髄前角細胞に至る錐体路に障害があることを示唆し、脳梗塞・脳出血・脳腫瘍などが原因疾患となります。

選択肢考察

  1. × 1.  位置覚の異常

    位置覚は四肢の空間的位置や動きを感知する深部感覚で、閉眼して関節の位置を当てる検査で評価します。バレー試験は位置覚ではなく運動麻痺を見る検査です。

  2. 2.  錐体路の障害

    バレー徴候陽性(回内しながら下降)は軽度の錐体路障害を示唆する所見で、対側大脳半球の病変による片麻痺の初期徴候です。

  3. × 3.  小脳機能の異常

    小脳機能は指鼻指試験、踵膝試験、反復拮抗運動、タンデム歩行などで評価します。バレー試験では小脳機能は評価できません。

  4. × 4.  関節可動域の障害

    関節可動域は関節角度計(ゴニオメーター)を用いたROM測定で評価します。バレー試験は関節の動きではなく中枢性麻痺を見る検査です。

バレー徴候は上肢と下肢それぞれに存在します。下肢バレー試験は腹臥位で両膝を約45度屈曲させ、麻痺側が徐々に下降する所見を見ます。ミンガッチーニ徴候も下肢の麻痺検査として知られます。錐体路障害の他の徴候にはバビンスキー徴候、腱反射亢進、痙性などがあり、組み合わせて評価することで片麻痺の有無と程度を判断します。

上肢バレー試験の意義と陽性所見(回内下降)から錐体路障害を推定できるかを問う問題です。