肩の屈曲ってどの動き?関節可動域測定の基本を図で押さえる
看護師国家試験 第112回 午後 第73問 / 基礎看護学 / 看護における基本技術
国試問題にチャレンジ
上肢の運動を図に示す。 肩関節の屈曲の可動域測定で正しいのはどれか。
- 1.1
- 2.2
- 3.3
- 4.4
- 5.5
対話形式の解説
博士
今回は図を見て肩関節屈曲の測定を選ぶ問題じゃ。図が前提の問題じゃから、動きの言葉と方向を結びつける力が試される。
サクラ
屈曲って『曲げる』という意味ですよね。肩を曲げるってどういうイメージでしょう?
博士
肩関節では、腕を体の前方に挙上する動きを屈曲、後方に動かす動きを伸展と定義しておる。体側に垂らした肢位が0°じゃ。
サクラ
前にあげるのが屈曲…前へ倣え、の動きですか?
博士
そうじゃ。手を天井に向かって真上にあげれば180°。日本整形外科学会の参考可動域では屈曲0〜180°、伸展0〜50°となっておる。
サクラ
じゃあ図で腕を後ろに引いているものは伸展ですね。
博士
その通り。今回の選択肢2はまさにそれじゃ。腕を前へ持ち上げているのは選択肢5なのでそれが正解になる。
サクラ
選択肢4のように肘を曲げて前腕を外に回す動きは何ですか?
博士
それは外旋じゃな。肩の外旋は肘90°屈曲位から前腕を外側へ回した角度を測る。参考可動域は60°じゃ。
サクラ
測定の基本軸と移動軸って、具体的にはどう合わせるんですか?
博士
屈曲の場合、基本軸は体幹の矢状面上の垂直線、移動軸は上腕骨じゃ。ゴニオメーターの中心を肩峰に合わせるのが基本じゃよ。
サクラ
代償動作って何ですか?
博士
腕が上がりにくい人が体幹を反らせたり側屈させたりして見かけ上角度を稼ぐ動きじゃ。正確な評価のためには体幹を固定してもらう必要がある。
サクラ
120°を超えると肩甲骨も動くと聞きました。
博士
よく覚えておるな。肩甲上腕リズムじゃ。肩を180°挙上するうち、肩甲上腕関節が約120°、肩甲骨の上方回旋が約60°寄与しておる。五十肩などでこのリズムが崩れると痛みや可動域制限につながる。
サクラ
国試では図を見て瞬時に屈曲・伸展・外転・内旋・外旋を見分ける力が必要なんですね。
博士
その通り。日ごろから自分の体で動きを再現して覚えるのが一番じゃ。
POINT
肩関節屈曲のROM測定は、立位または座位で上肢を体側に垂らし、体幹を基本軸、上腕骨を移動軸として腕を前方へ挙上する動作を測定するのが標準で、参考可動域は0〜180°です。図中で体側から腕を前方へ持ち上げている選択肢5が正解で、後方挙上の選択肢2は伸展、肘90°屈曲位で前腕を外側に回す選択肢4は外旋に相当します。測定時は代償動作を防ぐために体幹を固定し、ゴニオメーターの基本軸と移動軸を正確に合わせることが求められます。また120°を超える挙上では肩甲上腕リズムにより肩甲骨の上方回旋が加わる点も押さえておくと、臨床での肩関節評価や五十肩患者のリハビリテーション場面で役立ちます。
解答・解説
正解は 5 です
問題文:上肢の運動を図に示す。 肩関節の屈曲の可動域測定で正しいのはどれか。
解説:正解は 5 です。肩関節屈曲の関節可動域(ROM)測定では、基本肢位は立位または座位で上肢を体側に垂らし、基本軸を体幹(肩峰を通る矢状面上の垂直線)、移動軸を上腕骨として、腕を前方へ挙上した角度を測定します。日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会の基準では肩関節屈曲の参考可動域は0〜180°で、図中で体側から前方へ挙上している動作が屈曲に該当します。
選択肢考察
-
× 1. 1
基本軸や腕の位置・方向が屈曲の測定肢位と一致せず、正しい屈曲測定とはいえない。
-
× 2. 2
腕を後方へ動かしているため、屈曲ではなく伸展(参考可動域0〜50°)の測定にあたる。
-
× 3. 3
体幹を基本軸とした前方挙上の姿勢になっておらず、屈曲の標準測定法に合致しない。
-
× 4. 4
上腕を軸として前腕を外側に回す動きに見え、これは肩関節の外旋(基本肢位は肘90°屈曲)に相当する。
-
○ 5. 5
体側から上腕を前方へ挙上しており、体幹を基本軸、上腕骨を移動軸として測定する屈曲の正しい肢位である。
肩関節の参考可動域は屈曲180°/伸展50°/外転180°/内転0°/外旋60°/内旋80°(日本整形外科学会基準)。肩関節は肩甲上腕関節・肩鎖関節・胸鎖関節・肩甲胸郭関節の複合体で、屈曲120°を超えると肩甲骨の上方回旋が加わる(肩甲上腕リズム)。測定時は代償動作(体幹の側屈や反り)を抑え、ゴニオメーターの基本軸・移動軸を正確に合わせることが重要。
肩関節屈曲のROM測定肢位(基本軸=体幹、移動軸=上腕骨、前方挙上)を図から識別できるかを問う問題。屈曲と伸展、外旋との違いを押さえる。
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