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せん妄を家族にどう説明するか

看護師国家試験 第103回 午後 第56問 / 老年看護学 / 高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護

国試問題にチャレンジ

103回 午後 第56問

Aさん(80歳、男性)は、肺炎(pneumonia)と高血圧症(hypertension)で入院している。入院日の夜からAさんにはせん妄の症状がみられる。Aさんの家族は「しっかりした人だったのに急におかしくなってしまった」と動揺している。 せん妄についてAさんの家族への説明で正しいのはどれか。

  1. 1.「認知症(dementia)の一種です」
  2. 2.「昼間に起こりやすいです」
  3. 3.「一度起こると治りません」
  4. 4.「環境の変化で起こることがあります」

対話形式の解説

博士 博士

じゃこ博士じゃ。今日は80歳男性Aさんが入院初日の夜にせん妄を起こし、家族が動揺している場面じゃ。

アユム アユム

せん妄って認知症と何が違うんですか?

博士 博士

全く違うのじゃ。せん妄は急性発症で可逆的、認知症は緩徐進行で不可逆じゃ。これが大きな違いじゃぞ。

アユム アユム

選択肢を見ていきましょう。

博士 博士

正解は4の「環境の変化で起こることがあります」じゃ。高齢者は環境適応能力が低下しているから、入院や手術が大きな誘因になるのじゃ。

アユム アユム

1の「認知症の一種です」は?

博士 博士

これは誤りじゃ。せん妄と認知症は別の病態で、混同してはいかんのじゃ。せん妄は意識障害が中心、認知症は記憶や認知機能の慢性的低下が中心じゃ。

アユム アユム

2の「昼間に起こりやすい」はどうですか?

博士 博士

逆じゃ。「夜間せん妄」と呼ばれるくらい夜間に増悪しやすいのじゃ。暗さで視覚刺激が減り、見当識がずれやすくなるからのう。

アユム アユム

3の「一度起こると治りません」は?

博士 博士

これも誤りじゃ。誘因を取り除き、身体疾患を治療し、環境を整えれば数日〜数週間で改善することが多いのじゃ。家族に「治らない」と言うのは不適切じゃぞ。

アユム アユム

どんな誘因がありますか?

博士 博士

身体疾患(感染症、脱水、低酸素)、薬剤(特にベンゾジアゼピン、抗コリン薬)、環境変化(入院、手術、ICU)、感覚遮断などじゃ。Aさんは肺炎+入院初日で典型的じゃ。

アユム アユム

看護でできる予防策は?

博士 博士

日中の覚醒促進、夜間の良質な睡眠、見当識を促す声かけ、眼鏡や補聴器を使えるようにする、家族面会、不要な抑制を避けることじゃ。

アユム アユム

サブタイプもあるんですよね?

博士 博士

過活動型、低活動型、混合型の3つじゃ。低活動型はおとなしく見えるから見逃されやすいので要注意じゃぞ。CAMという評価ツールで早期発見じゃ。

POINT

せん妄は身体疾患・薬剤・環境変化を誘因として急性発症する可逆的な意識障害で、夜間に増悪しやすく数日〜数週間で改善します。認知症とは病態が異なり、家族には環境変化が誘因となること、一過性で改善が見込めることを伝えます。日中覚醒促進・夜間睡眠・見当識保持・感覚補助具活用が予防の柱です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:Aさん(80歳、男性)は、肺炎(pneumonia)と高血圧症(hypertension)で入院している。入院日の夜からAさんにはせん妄の症状がみられる。Aさんの家族は「しっかりした人だったのに急におかしくなってしまった」と動揺している。 せん妄についてAさんの家族への説明で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。せん妄は身体疾患・薬剤・環境変化などを誘因として急性に発症する意識障害で、注意力・認知機能の変動、知覚異常(幻視)、興奮や傾眠などを呈します。高齢者では入院による環境変化が大きな誘発因子となり、特に入院初日や手術後の夜間に発症しやすいのが特徴です。基礎疾患の改善や環境調整で多くは数日〜数週間で改善する可逆的・一過性の状態であり、認知症とは異なります。

選択肢考察

  1. × 1.  「認知症(dementia)の一種です」

    せん妄は急性発症で可逆的・一過性の意識障害、認知症は緩徐進行で慢性かつ不可逆的な認知機能障害です。両者は鑑別すべき別の病態で、せん妄は認知症の一種ではありません。

  2. × 2.  「昼間に起こりやすいです」

    せん妄は夜間に増悪する「夜間せん妄」が特徴で、暗さによる視覚刺激減少や日中との見当識のずれ、医療スタッフ減少などが誘因となります。

  3. × 3.  「一度起こると治りません」

    せん妄は誘因の除去や身体疾患の改善、環境調整により多くは数日〜数週間で改善する可逆的状態です。「治らない」と説明するのは誤りで、家族をいたずらに不安にさせます。

  4. 4.  「環境の変化で起こることがあります」

    高齢者は環境適応能力が低下しており、入院による生活環境の急変・身体疾患・薬剤などが誘因となってせん妄が発症します。家族への説明として正しい内容です。

せん妄は3つのサブタイプ(過活動型・低活動型・混合型)があり、低活動型は見逃されやすいので注意が必要です。予防には日中の覚醒促進、夜間の良好な睡眠、見当識を促す声かけ、視聴覚補助具(眼鏡・補聴器)の活用、家族との面会、不要な身体抑制を避けることが重要です。CAM(Confusion Assessment Method)でスクリーニングします。

せん妄と認知症の鑑別、誘発因子、可逆性、出現時間帯の特徴を家族にわかりやすく説明できるかを問う問題です。「急性・可逆性・夜間増悪・環境因子」の4キーワードで覚えます。