五角形を描けますか MMSEが測る視空間認知の世界
看護師国家試験 第109回 午前 第49問 / 老年看護学 / 高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護
国試問題にチャレンジ
被験者が図形を描き写す内容が含まれる認知機能の評価はどれか。
- 1.認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
- 2.Mini − Mental State Examination〈 MMSE 〉
- 3.高齢者の総合機能評価 CGA 簡易版〈 CGA 7 〉
- 4.改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈 HDS − R 〉
対話形式の解説
博士
今日は認知機能評価スケールの比較問題じゃ。選択肢の中で『図形を描き写す』項目を含むのはどれか、わかるかの?
サクラ
MMSEで五角形を描く課題があったような気がします。
博士
その通り、正解は2のMMSEじゃ。交差する2つの五角形を描き写す問題が最後にあり、視空間認知・構成能力を評価する。
サクラ
MMSEはどんな項目で構成されているんですか?
博士
30点満点で11項目じゃ。時間の見当識、場所の見当識、即時再生(3語)、注意と計算(serial 7sまたはWORLD逆唱)、遅延再生、物品呼称、文章復唱、3段階の口頭命令、書字命令、自発書字、そして図形模写じゃ。
サクラ
カットオフ値はどのくらいでしたか?
博士
一般的に23/24点で認知症疑い、27/28点で軽度認知障害の疑いとされることが多い。ただし教育歴や文化背景で調整が必要じゃ。
サクラ
日本ではHDS-Rもよく使われますよね。
博士
うむ。HDS-Rは9項目・30点満点で、年齢、見当識、3語即時再生と遅延再生、計算、数字逆唱、物品記銘、言語流暢性からなる。言語性中心で図形模写は含まれない。20点以下で認知症を疑う。
サクラ
MMSEとHDS-Rは併用されることもありますか?
博士
あるある。MMSEは視空間認知を評価できる、HDS-Rは日本語に自然な質問で記銘力を細かく見るという長所があり、補完的に使うのじゃ。
サクラ
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準は何を評価するんでしょう?
博士
本人に質問するのではなく、家族や介護者からの情報で日常生活の自立度と介護必要度をⅠ〜Mで分類する。要介護認定の資料として用いられるのじゃ。
サクラ
CGA7は?
博士
高齢者総合機能評価の簡易版で、ADL、意欲、認知、うつ、栄養、社会との関わりなどを7項目で評価する。包括的ケアプラン作成の糸口となる。
サクラ
認知症の確定診断にはスクリーニングだけでは足りないですよね?
博士
そうじゃ。MMSEやHDS-Rで疑ったら、画像検査(MRIで萎縮、SPECTで血流)、神経心理検査、生活歴、ADL・IADL評価を総合して診断する。
サクラ
看護で重要なポイントは何でしょう?
博士
評価を一度きりで終わらせず、定期的に行って経過を追うこと、被験者が緊張しすぎないよう配慮しリラックスして答えられる環境を整えること、結果を本人・家族のケアにつなげること、じゃ。
サクラ
スクリーニングは入り口、ケアにつなげるまでが仕事ですね。
博士
その通り。点数は手段であって目的ではない。生活の質を守るためにスケールを使うのじゃ。
POINT
MMSEは時間・場所の見当識から記銘、計算、言語、そして交差する五角形を描き写す図形模写まで含む11項目30点満点の認知機能スクリーニングで、視空間認知を評価できる点が特徴である。HDS-Rは日本発の9項目30点満点のスケールで言語性中心、認知症高齢者の日常生活自立度は介護必要度の観察評価、CGA7は高齢者の身体・精神・社会機能を包括的に見る7項目評価と、それぞれ目的と構造が異なる。国試では『図形模写=MMSE』『物品記銘=HDS-R』のように特徴を押さえて区別する。評価は診断の入り口であり、定期的な実施と生活支援につなげるケアこそが看護の本質である。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:被験者が図形を描き写す内容が含まれる認知機能の評価はどれか。
解説:正解は 2 です。Mini-Mental State Examination(MMSE)は1975年にFolsteinらが開発した30点満点の認知機能スクリーニング検査で、時間・場所の見当識、即時再生、計算または注意(serial 7sまたはWORLD逆唱)、遅延再生、物品呼称、文章復唱、3段階口頭命令、書字命令、自発書字、そして『図形模写(交差する五角形を描く)』の11項目からなる。この図形模写の項目により、視空間認知・構成能力を評価できる点がMMSEの大きな特徴である。一般に27点以下で軽度認知障害の疑い、23点以下で認知症の疑いとされる。
選択肢考察
-
× 1. 認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
日常生活や介護の必要度をⅠ〜M段階で分類する観察評価で、本人に図形を描かせる検査ではない。要介護認定の資料として用いられる。
-
○ 2. Mini − Mental State Examination〈 MMSE 〉
30点満点で11項目からなる認知機能検査。交差する五角形を描き写す図形模写が含まれ、視空間認知を評価できる。認知症スクリーニングの国際標準。
-
× 3. 高齢者の総合機能評価 CGA 簡易版〈 CGA 7 〉
高齢者の身体・精神・社会機能を包括的に評価する7項目のスクリーニングで、ADL・意欲・認知・うつ・栄養・社会などを見る。図形模写は含まれない。
-
× 4. 改訂長谷川式簡易知能評価スケール〈 HDS − R 〉
30点満点・9項目の日本発の認知症スクリーニングで、口頭の質問と簡単な記銘試験で構成される。図形模写は含まれない。
認知症スクリーニング検査としてMMSEとHDS-Rは国試頻出。MMSEは国際的に最も広く用いられ、カットオフは23/24点、軽度認知障害の検出には27/28点も用いられる。HDS-Rは言語性中心で書字や図形模写はないが、日本文化に合わせた日付・計算・記銘の項目構成で臨床現場に浸透している。どちらも20点前後で認知症が疑われるが、確定診断には画像検査(MRI、SPECT)、神経心理検査、生活歴の聴取が必要となる。認知症高齢者の日常生活自立度は介護保険認定、CGA7は包括的ケアプラン作成に用いる。
代表的な認知機能評価スケールの構造を比較し、『図形模写』を含むMMSEを同定する問題。各スケールの目的と構成を区別できることが鍵。
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