災害拠点病院って何?DMATを持つ災害医療の司令塔
看護師国家試験 第106回 午前 第90問 / 看護の統合と実践 / 災害と看護
国試問題にチャレンジ
災害拠点病院について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.広域災害医療に対応する。
- 2.災害発生時に指定される。
- 3.医療救護班の派遣機能を持つ。
- 4.免震構造であることが指定要件である。
- 5.救急救命士の配置が義務付けられている。
対話形式の解説
博士
今回は災害拠点病院についてじゃ。災害看護の基本となる重要な施設じゃから、しっかり理解するぞ。
アユム
災害拠点病院って聞いたことはあるんですが、普通の病院と何が違うんですか?
博士
良い質問じゃ。災害拠点病院は阪神淡路大震災、1995年の教訓を受けて1996年から整備が始まった、災害時医療の中核施設じゃ。都道府県知事が平時から指定しておる。
アユム
選択肢2の「災害発生時に指定される」は×ですね。
博士
その通り。災害が起きてから指定していたら間に合わん。平常時から指定して、研修・訓練・備蓄・施設整備を行っておくことが重要じゃ。
アユム
どんな機能があるんですか?
博士
大きく4つじゃ。①広域災害医療への対応、②DMATの保有と派遣、③応急用医療資器材の貸出し、④地域医療機関の支援。これが選択肢1と3の正解の根拠じゃ。
アユム
DMATって何の略ですか?
博士
Disaster Medical Assistance Teamの略。災害派遣医療チームじゃ。医師、看護師、業務調整員からなる機動性の高いチームで、発災から48時間以内に活動開始することを想定しておる。
アユム
災害のとき、看護師もDMATとして活動できるんですね。
博士
その通り。全国で登録されたDMAT隊員が研修を受けて活動する。看護師もDMAT看護師として研修を修了すれば派遣隊員になれるんじゃ。
アユム
選択肢4の「免震構造が指定要件」は?
博士
×じゃ。施設要件は「耐震構造」。免震ではなく耐震でよい。耐震と免震の違いは分かるかな?
アユム
耐震は建物を強くして揺れに耐える、免震は…ゴムとかで揺れを伝えないようにする?
博士
その通り!免震は地震動を建物に伝えない構造で、免震ゴムや積層ゴムで切り離す。建築コストは免震のほうが高い。災害拠点病院は耐震構造が必須、免震は望ましいが必須ではないんじゃ。
アユム
選択肢5の「救急救命士の配置」は?
博士
×じゃ。救急救命士は主に救急搬送に関わる国家資格で、院内配置の義務はない。災害拠点病院の要件は救命救急センターまたは二次救急医療機関であることと、DMATの保有じゃ。
アユム
災害拠点病院の施設要件を整理すると?
博士
①耐震構造、②自家発電(72時間以上)、③水の確保(受水槽や井戸)、④食料・医薬品・医療資器材の3日分備蓄、⑤ヘリポート、⑥EMISへの参画、⑦DMATの保有、などじゃ。
アユム
EMISって何ですか?
博士
広域災害救急医療情報システムのことじゃ。災害時に各医療機関の被害状況や受入可能状況をリアルタイムで共有するシステムで、災害拠点病院は必ず登録される。
アユム
災害時の医療チームはDMATだけですか?
博士
いや、多様なチームが連携する。DMAT(急性期災害医療)、DPAT(精神)、JMAT(日本医師会)、日赤救護班、DWAT(福祉)など。フェーズに応じて役割が変わるんじゃよ。
アユム
看護師として災害時に求められる役割は?
博士
トリアージ、重症患者の救命処置、避難所での健康管理、被災者への心理的ケアなど多岐にわたる。平時からの訓練と災害看護の知識が命を救うんじゃ。
アユム
災害大国日本の看護師として必須の知識ですね。
POINT
災害拠点病院は、阪神淡路大震災を契機に整備が始まった災害時医療の中核施設で、都道府県知事が平常時に指定します。広域災害医療への対応とDMAT(災害派遣医療チーム)の保有・派遣が中核機能であり、耐震構造・自家発電・備蓄・ヘリポート・EMIS参画などの施設要件が定められています。免震構造や救急救命士配置は必須要件ではなく、耐震構造とDMAT保有が本質的要件である点に注意が必要です。災害看護ではトリアージ、重症患者の救命、避難所での健康管理、心理的ケアなど多面的な役割が求められ、平時からの訓練と多職種連携の理解が、災害大国日本で看護師として活動する上での不可欠な基盤となります。
解答・解説
正解は 1 ・ 3 です
問題文:災害拠点病院について正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 1 と 3 です。災害拠点病院は、阪神淡路大震災を契機に1996年から厚生労働省の通知に基づき整備が進められた、災害時の医療体制の要となる病院である。都道府県知事が平常時に指定し、2023年時点で全国に約760施設が指定されている。主な機能は、①広域災害医療への対応(重症患者の受入れ、広域搬送の対応)、②災害派遣医療チーム(DMAT)の保有と派遣、③災害時の応急用医療資器材の貸出し、④地域の医療機関への支援、などである。施設要件として耐震構造・自家発電・水や食料の備蓄・ヘリポートの確保などが定められている。
選択肢考察
-
○ 1. 広域災害医療に対応する。
災害拠点病院は広域にわたる災害時に重症患者の受入れ、広域搬送の対応、被災地外からの医療支援の受入れなどを担う、災害医療の中核施設である。
-
× 2. 災害発生時に指定される。
災害拠点病院は平常時から都道府県知事が指定し、災害に備えた体制整備や研修・訓練を行っている。災害発生時に慌てて指定するものではない。
-
○ 3. 医療救護班の派遣機能を持つ。
災害拠点病院には災害派遣医療チーム(DMAT)を保有し派遣する機能が要件として定められている。被災地内外での医療救護活動を担う。
-
× 4. 免震構造であることが指定要件である。
施設要件は「耐震構造」であり、免震構造までは必須ではない。耐震は建物自体の強度で揺れに耐える構造、免震は地震動を建物に伝えない構造で別概念である。
-
× 5. 救急救命士の配置が義務付けられている。
救急救命士の配置は災害拠点病院の指定要件に含まれていない。医師・看護師・業務調整員などからなるDMATの保有が重要な要件である。
災害拠点病院は基幹災害拠点病院(都道府県に原則1か所)と地域災害拠点病院(二次医療圏に1か所以上)に分類される。施設要件には①耐震構造、②自家発電設備(72時間以上の電力確保)、③受水槽や井戸等による水の確保、④食料・医薬品・医療資器材の備蓄(3日分以上)、⑤ヘリポートの確保、⑥広域災害・救急医療情報システム(EMIS)への参画、⑦DMATの保有、⑧救命救急センターまたは二次救急医療機関であること、などが定められている。災害時の医療提供体制はDMAT、DPAT(精神)、JMAT(日本医師会)、日赤救護班など多様なチームが連携する。
災害拠点病院の機能と指定要件を正確に理解しているかを問う問題。平時指定・DMAT保有・耐震構造などがキーワード。
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