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災害時の心のケアを担うDPAT!自己完結型活動と48時間ルールの意味

看護師国家試験 第109回 午前 第64問 / 看護の統合と実践 / 災害と看護

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第64問

災害派遣精神医療チーム〈 DPAT 〉で正しいのはどれか。

  1. 1.厚生労働省が組織する。
  2. 2.被災地域の精神科医療機関と連携する。
  3. 3.発災 1 か月後に最初のチームを派遣する。
  4. 4.派遣チームの食事は被災自治体が用意する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は災害派遣精神医療チーム、DPATについて学ぶぞ。東日本大震災をきっかけに整備された比較的新しい制度で、国試でも出題頻度が上がっておる分野じゃ。

アユム アユム

DMATなら聞いたことありますが、DPATとはどう違うのですか?

博士 博士

よい質問じゃ。DMATは外傷・救命など身体的な急性期医療を担う災害派遣医療チーム。一方DPATは精神科領域を担当し、被災地の精神科医療機関の機能低下や、被災ストレスによる新たな精神的問題への対応を行うのじゃ。

アユム アユム

災害時にはPTSDや不眠、うつなどの心理的ケアが必要になりますもんね。

博士 博士

うむ。さらに既存の精神疾患を持つ患者が薬を切らしたり、病院が被災して通院できなくなったりする事態も起こる。DPATはそうした医療継続の支援も重要な役割なのじゃ。

アユム アユム

組織は厚生労働省がやっているのですか?

博士 博士

ここがポイントじゃ。DPATは厚生労働省の委託事業ではあるが、実際にチームを組織して派遣するのは都道府県および政令指定都市じゃ。各自治体が研修を受けた精神科医・看護師・業務調整員などでチームを構成する。

アユム アユム

先遣隊という言葉も聞きます。

博士 博士

DPAT先遣隊は発災当日からおおむね48時間以内に被災地で活動を開始する。後続隊は1週間程度のローテーションで交代しながら活動を継続するのじゃ。

アユム アユム

1か月後に初めて派遣という選択肢は完全に誤りなんですね。

博士 博士

その通りじゃ。そして覚えてほしいのがDPAT活動3原則、SSS(スリーエス)じゃ。Self-sufficiency、Share、Supportの頭文字じゃ。

アユム アユム

Self-sufficiency は自己完結型ですよね?

博士 博士

そうじゃ。移動・食事・通信・宿泊はすべてチーム自身が確保する。被災地の資源を圧迫しないためじゃな。Shareは情報共有、Supportは『名脇役であれ』で、支援主体はあくまで被災地域の人々であることを忘れない姿勢じゃ。

アユム アユム

活動の主役は被災地の人で、DPATはそれを支える黒子なんですね。

博士 博士

その通り。だからこそ地域の精神科医療機関との連携が不可欠なのじゃ。DPAT独走ではなく、地域との協働で初めて意味ある支援になる。

アユム アユム

SSSの3原則、国試対策としても覚えやすいですね。

POINT

災害派遣精神医療チーム(DPAT)は、災害発生後に被災地の精神保健医療支援を行う専門チームで、都道府県および政令指定都市によって組織されます。先遣隊は発災後48時間以内に活動を開始し、被災地域の精神科医療機関と連携しながら既存患者の医療継続や新たな精神的問題への対応を担います。活動3原則SSS(自己完結型・情報共有・名脇役)のもと、食事や宿泊を自前で確保し被災地の資源を圧迫しないことが徹底されます。DMATが身体的救命、DPATが精神科領域と役割分担されており、災害医療体制の重要な構成要素となっています。看護師として災害時には多職種チームの一員として動く可能性があり、各チームの目的と原則を理解しておくことが求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:災害派遣精神医療チーム〈 DPAT 〉で正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。災害派遣精神医療チーム(DPAT:Disaster Psychiatric Assistance Team)は、自然災害や航空機・列車事故、犯罪被害などの集団災害発生後に、被災地域の精神科医療と精神保健活動を支援するために派遣される専門チームである。活動にあたって、被災地域の精神科医療機関や保健所、精神保健福祉センターなどと連携し、地域のニーズを把握しながら患者の診療継続や新たな精神的問題への対応を行う。単独で動くのではなく『地域との協働』が活動の根幹にある。

選択肢考察

  1. × 1.  厚生労働省が組織する。

    DPATは厚生労働省の委託事業ではあるが、実際にチームを組織し派遣するのは都道府県および政令指定都市である。各自治体が研修を受けた精神科医・看護師・業務調整員らでチームを構成する。

  2. 2.  被災地域の精神科医療機関と連携する。

    DPATは被災地の精神科医療機関と緊密に連携し、入院患者の転院支援、通院患者の医療継続、新たな精神的不調への対応などを行う。地域の医療機能が回復するまでの橋渡し役を担う。

  3. × 3.  発災 1 か月後に最初のチームを派遣する。

    先遣隊は発災当日からおおむね48時間以内に被災地で活動を開始することが求められる。急性期の精神保健ニーズに迅速に対応するため、1か月も待つことはない。

  4. × 4.  派遣チームの食事は被災自治体が用意する。

    DPAT活動3原則の一つ『自己完結型の活動(Self-sufficiency)』により、移動・食事・通信・宿泊はすべてチーム自身が確保する。被災地の資源を圧迫しないことが原則である。

DPAT活動3原則はSSSと覚える。Self-sufficiency(自己完結型)、Share(積極的情報共有)、Support(名脇役であれ)の3つで、支援主体はあくまで被災地域であり、DPATはそれを支える立場にあることを明確にしている。DPAT先遣隊は発災から48時間以内、後続隊は先遣隊からの引き継ぎで活動を継続し、活動は通常1週間単位でローテーションされる。類似組織としてDMAT(災害派遣医療チーム:急性期の外傷・救命主体、発災後48時間以内の活動)、JMAT(日本医師会災害医療チーム:亜急性期以降の医療支援)、DHEAT(災害時健康危機管理支援チーム:保健医療調整機能の支援)があり、DPATは精神科領域を担当する。

DPATの定義と活動原則を問う問題。組織主体は都道府県・政令指定都市、活動は自己完結型、先遣隊は48時間以内、地域の精神科医療機関と連携、というキーワードを押さえる。