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放射線治療の基本ー単位・線種・照射法をまとめて整理

看護師国家試験 第106回 午前 第32問 / 疾病の成り立ちと回復の促進 / 疾病に対する医療

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第32問

放射線療法について正しいのはどれか。

  1. 1.Gyは吸収線量を表す。
  2. 2.主に非電離放射線を用いる。
  3. 3.電子線は生体の深部まで到達する。
  4. 4.多門照射によって正常組織への線量が増加する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は放射線療法の総論問題じゃ。単位・線種・照射法のポイントをまとめていくぞ。

アユム アユム

よろしくお願いします。まず「Gy」って何の単位でしたっけ?

博士 博士

Gy(グレイ)は吸収線量の単位で、物質1kgが1Jのエネルギーを吸収したときが1Gy。放射線治療では「○○Gyを○回に分けて照射する」と処方する。

アユム アユム

Svとは違うんですか?

博士 博士

違うぞ。Sv(シーベルト)は人体への影響を評価する等価線量・実効線量の単位。放射線の種類による影響の違いを補正した値じゃ。被ばく管理で使う。

アユム アユム

Bqという単位も聞きますが…

博士 博士

Bq(ベクレル)は放射性物質そのものの放射能、つまり1秒間に何個崩壊するかを表す。Bq(放つ側)→Gy(受ける側のエネルギー)→Sv(人体影響)と覚えるとよい。

アユム アユム

なるほど!次の選択肢ですが、放射線治療は「非電離放射線」を使うんですか?

博士 博士

それは誤りじゃ。治療に使うのは電離放射線(X線、γ線、電子線、陽子線、重粒子線)。細胞のDNAを電離・損傷して増殖能を奪うのが原理。可視光線やマイクロ波は非電離放射線で治療効果はない。

アユム アユム

電子線は深部まで届きますか?

博士 博士

電子線は飛程が短く、体表近くでエネルギーを集中的に落とす性質がある。だから皮膚癌、乳房温存術後の照射、表在リンパ節転移などに使う。深部病変にはX線・γ線・陽子線が向く。

アユム アユム

多門照射って、何方向も照射すると正常組織が傷つきそうですが…

博士 博士

むしろ逆じゃ。多門照射は2方向以上から腫瘍に焦点を合わせて照射することで、各経路の正常組織の線量を分散でき、腫瘍には十分な線量を集中できる。副作用軽減のための技術じゃよ。

アユム アユム

最近のIMRTとかSRTってそれの発展形ですか?

博士 博士

その通り。IMRT(強度変調放射線治療)は多門照射に加えて各方向のビーム強度を変えて複雑な形の腫瘍に線量を集中させる技術。SRT(定位放射線治療)はピンポイント照射で、脳腫瘍や早期肺癌に使う。

アユム アユム

副作用にはどんなものがありますか?

博士 博士

照射部位依存で、皮膚炎、粘膜炎、骨髄抑制、放射線肺臓炎、放射線食道炎、晩期には線維化や二次発癌などがある。看護師は毎日のスキンケア指導や感染予防、栄養管理が重要じゃ。

アユム アユム

治療中はお風呂を控えるとか聞きますが?

博士 博士

照射部位のマーキングを消さない、熱い湯・擦る・強い日光を避ける、保湿する、などが基本のスキンケア指導じゃ。

POINT

Gy(グレイ)は物質1kgが吸収したエネルギー量を表す「吸収線量」の単位で、放射線治療の処方線量として使われます。治療に用いるのはX線・γ線・電子線・陽子線・重粒子線などの電離放射線で、DNA損傷を通じて腫瘍細胞の増殖を止めます。電子線は飛程が短く表在病変向き、深部病変には高エネルギーX線や陽子線が選ばれます。多門照射は複数方向から腫瘍に線量を集中させ、各経路の正常組織への線量を分散して副作用を軽減する技術で、現代のIMRTやSRTにつながる重要な概念です。看護師は放射線治療中の皮膚・粘膜ケア、骨髄抑制の観察、治療計画の理解を通じて患者支援を行います。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:放射線療法について正しいのはどれか。

解説:正解は 1 です。Gy(グレイ)は物質1kgが放射線から吸収したエネルギー量(J/kg)を表す「吸収線量」の単位で、放射線治療の照射量を示すときに用いられます。放射線の人体への影響を評価する単位にはほかにSv(シーベルト、等価線量・実効線量)、Bq(ベクレル、放射能)などがあり、国試では混同しないよう区別して覚える必要があります。

選択肢考察

  1. 1.  Gyは吸収線量を表す。

    Gy(グレイ)は物質が吸収した放射線エネルギーを表す単位で、1Gy=1J/kg。放射線治療の処方線量は通常このGyで表す。

  2. × 2.  主に非電離放射線を用いる。

    放射線治療で用いられるのはX線、γ線、電子線、陽子線、重粒子線などの「電離放射線」である。細胞のDNAを損傷し増殖能を失わせる作用を利用するためで、可視光線やマイクロ波のような非電離放射線では治療効果は得られない。

  3. × 3.  電子線は生体の深部まで到達する。

    電子線は飛程(到達距離)が短く、表在性の病変に適している。皮膚癌、乳癌の術後照射、ケロイド、表在リンパ節転移などに用いられる。深部病変には高エネルギーX線やγ線、陽子線などが使われる。

  4. × 4.  多門照射によって正常組織への線量が増加する。

    多門照射は2方向以上から放射線を腫瘍に集中させ、各経路の正常組織への線量を分散することで副作用を減らしつつ腫瘍部に十分な線量を与える手法。正常組織への線量は減少する。

放射線関連の単位は整理が必須。Bq(ベクレル)は放射性物質が1秒間に崩壊する数(放射能)、Gy(グレイ)は物質が吸収したエネルギー量(吸収線量、J/kg)、Sv(シーベルト)は人体への影響を考慮した線量(等価線量・実効線量)。放射線治療の代表的な有害事象には皮膚炎、粘膜炎、骨髄抑制、放射線肺臓炎などがあり、照射部位と線量によって異なる。近年は強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療(SRT)により腫瘍への線量集中と正常組織の保護が高度化している。

放射線治療に関する単位・使用放射線・照射法の基本的理解を問う総合問題。Gyは吸収線量、治療には電離放射線、電子線は表在用、多門照射で正常組織の線量は減るという4つの原則を押さえる。