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A君の検査データをアセスメント

看護師国家試験 第107回 午後 第99問 / 小児看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

107回 午後 第99問

A君( 14歳、男子 )は、夏休みのサッカー部の部活動で、朝10時から12時まで屋外で練習した。昼食時におにぎり2個とお茶を500mL摂取し、休憩後の13時から15時まで再び練習した。この日は晴天で、外気温は32℃であった。15分休憩し練習を再開したところ、A君は突然頭痛と悪心とを訴え、グラウンドの隅に座り込んだ。サッカー部担当のB教諭が、A君を日陰で横にして休ませ様子をみていたが、症状が改善せず、顔面蒼白、冷汗が出現した。A君は「気持ち悪い」と言った後に嘔吐した。 B教諭に付き添われて、A君は病院に到着した。来院時、A君のバイタルサインは、体温38.5℃、呼吸数26/分、脈拍128/分、血圧90/48mmHgであった。口唇粘膜は乾燥し、皮膚をつまむとゆっくり戻る状態であった。血液検査データは、赤血球580万/μL、白血球12,500/μL、Hb16.8g/dL、Na152mEq/L、K4.0mEq/L、Cl109mEq/L、クレアチニン0.9mg/dLであった。尿比重1.035。受診時の身長165cm、体重57kg( 発症前60kg )。 A君の状態に対するアセスメントとして適切なのはどれか。

  1. 1.貧血である。
  2. 2.低カリウム血症である。
  3. 3.高ナトリウム血症である。
  4. 4.循環血液量が増加している。
  5. 5.ツルゴール反応は正常である。

対話形式の解説

博士 博士

A君のNaは152mEq/Lじゃ。どんな状態じゃ?

サクラ サクラ

基準値を超えているので高ナトリウム血症です。

博士 博士

正解じゃ。発汗で水分が失われ相対的にナトリウム濃度が上がっておるのじゃ。

サクラ サクラ

Hbは16.8g/dLで高値傾向、血液濃縮を示しますね。

博士 博士

赤血球も580万と高い。脱水所見が揃っておるのう。

サクラ サクラ

尿比重1.035もかなり濃縮されています。

博士 博士

通常は1.030以下が目安で、濃縮尿の典型じゃ。

サクラ サクラ

皮膚をつまむとゆっくり戻るのはツルゴール低下ですよね。

博士 博士

正常は2秒以内に戻る。低下しておるから選択肢5は誤りじゃ。

サクラ サクラ

血圧90/48mmHgで脈拍128/分、体重が3kg減っていますから循環血液量は減少していますね。

博士 博士

低血圧、頻脈、体重減少、濃縮尿はすべて脱水による循環血液量減少のサインじゃ。

サクラ サクラ

カリウムは4.0で正常範囲内ですね。

博士 博士

基準値3.5〜5.0の範囲内じゃから低カリウム血症ではない。

サクラ サクラ

治療は輸液ですよね。

博士 博士

生理食塩液で循環を立て直し、高ナトリウムは低張液でゆっくり補正するのじゃ。急速補正は脳浮腫を招くから注意じゃぞ。

POINT

熱中症による脱水は汗からの水分喪失が電解質喪失を上回るため高張性脱水となり、高ナトリウム血症、血液濃縮、尿比重上昇、ツルゴール低下、頻脈、血圧低下といった所見が揃います。A君のNa152mEq/L、Hb16.8g/dL、尿比重1.035、体重3kg減、血圧低下、頻脈はすべて合致します。治療は等張晶質液で循環動態を立て直した後、高ナトリウム血症の補正は脳浮腫予防のためゆっくり行うのが原則です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:A君( 14歳、男子 )は、夏休みのサッカー部の部活動で、朝10時から12時まで屋外で練習した。昼食時におにぎり2個とお茶を500mL摂取し、休憩後の13時から15時まで再び練習した。この日は晴天で、外気温は32℃であった。15分休憩し練習を再開したところ、A君は突然頭痛と悪心とを訴え、グラウンドの隅に座り込んだ。サッカー部担当のB教諭が、A君を日陰で横にして休ませ様子をみていたが、症状が改善せず、顔面蒼白、冷汗が出現した。A君は「気持ち悪い」と言った後に嘔吐した。 B教諭に付き添われて、A君は病院に到着した。来院時、A君のバイタルサインは、体温38.5℃、呼吸数26/分、脈拍128/分、血圧90/48mmHgであった。口唇粘膜は乾燥し、皮膚をつまむとゆっくり戻る状態であった。血液検査データは、赤血球580万/μL、白血球12,500/μL、Hb16.8g/dL、Na152mEq/L、K4.0mEq/L、Cl109mEq/L、クレアチニン0.9mg/dLであった。尿比重1.035。受診時の身長165cm、体重57kg( 発症前60kg )。 A君の状態に対するアセスメントとして適切なのはどれか。

解説:正解は3です。血清ナトリウム152mEq/Lは基準値135〜145mEq/Lを上回っており高ナトリウム血症です。発汗による水分喪失が大きく相対的に電解質濃度が上昇した脱水所見と合致します。

選択肢考察

  1. × 1.  貧血である。

    Hb16.8g/dL、赤血球580万/μLと男性基準値の上限付近で、むしろ脱水による血液濃縮が示唆されます。貧血の所見は認められません。

  2. × 2.  低カリウム血症である。

    血清カリウム4.0mEq/Lは基準値3.5〜5.0mEq/L範囲内で正常です。低カリウム血症とは言えません。

  3. 3.  高ナトリウム血症である。

    血清ナトリウム152mEq/Lは基準値を上回っており高ナトリウム血症です。発汗量に対して水分摂取が不足した状態では水分喪失優位の脱水となり、ナトリウム濃度が上昇します。

  4. × 4.  循環血液量が増加している。

    血圧90/48mmHgと低値、脈拍128/分と頻脈、体重が3kg減少、尿比重1.035と濃縮尿、口唇乾燥といった所見は循環血液量の減少を示します。増加しているとは言えません。

  5. × 5.  ツルゴール反応は正常である。

    皮膚をつまむとゆっくり戻る所見はツルゴール低下を意味し、脱水による皮膚の張りの低下を示します。正常ではありません。

熱中症による脱水は汗からの水分喪失が電解質喪失を上回るため高張性脱水となりやすく、血清ナトリウム上昇、血液濃縮(Hb・Hct上昇)、尿比重上昇、ツルゴール低下、口唇乾燥、頻脈、血圧低下といった所見が揃います。治療は生理食塩液や乳酸リンゲル液で循環動態を立て直した後、高ナトリウムの場合は低張液でゆっくり補正します。急速な補正は脳浮腫の原因になるため注意が必要です。

熱中症による脱水は高張性で、高ナトリウム血症と血液濃縮、ツルゴール低下、頻脈、血圧低下を総合評価します。