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アナフィラキシーの緊急評価を極めようじゃ

看護師国家試験 第107回 午前 第99問 / 小児看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第99問

Aちゃん( 3歳、女児 )は、父親( 会社員 )と母親( 会社員 )との3人暮らし。Aちゃんは、生後11か月のときに、卵による食物アレルギー( food allergy )と診断され、医師の指示で卵の除去食療法をしていた。保育所では卵を除去した給食が提供されている。Aちゃんは保育所の給食の時間に、隣の席の園児の卵が入ったおかずを摂取し、蕁麻疹と咳嗽が出現した。保育士に連れられて救急外来を受診した。Aちゃんは保育士に抱っこされ、「かゆい」と訴えており、咳込みがみられた。 受診時に観察する項目で優先度が高いのはどれか。

  1. 1.体温
  2. 2.心拍数
  3. 3.腸蠕動音
  4. 4.蕁麻疹の範囲

対話形式の解説

博士 博士

Aちゃんは卵を誤食して蕁麻疹と咳が出ておる。これはなんの状態じゃと思う?

サクラ サクラ

アナフィラキシーの可能性が高いですね。

博士 博士

そうじゃ。皮膚・粘膜・呼吸器・消化器・循環器のうち2臓器以上に症状が出たらアナフィラキシーと診断される。Aちゃんは皮膚と呼吸器の2つで該当じゃ。

サクラ サクラ

もしショックに進行したら大変ですね。

博士 博士

血圧低下や意識障害が加わればアナフィラキシーショックじゃ。命に関わる緊急事態じゃから、最優先で見るのは循環動態じゃ。

サクラ サクラ

それで心拍数が答えなんですね。

博士 博士

その通り。血圧低下に先行して頻脈や不整脈が出ることが多いから、心拍モニタリングが鍵じゃ。

サクラ サクラ

小児だとどれくらいの心拍数が正常ですか?

博士 博士

3歳児なら80〜120回/分が目安じゃ。それを超える頻脈や脈の微弱化があればショックを疑う。

サクラ サクラ

体温はどうして優先度が低いのでしょう?

博士 博士

アナフィラキシーの診断基準に体温は含まれん。ショック末期には低体温になるが、初期評価では循環が最優先じゃ。

サクラ サクラ

腸蠕動音や蕁麻疹の範囲は?

博士 博士

消化器症状も皮膚症状も診断材料にはなるが、生命維持指標より後回しじゃ。

サクラ サクラ

アナフィラキシーの初期対応はどうするんですか?

博士 博士

第一選択はアドレナリン筋注じゃ。大腿前外側に0.01mg/kgを注射し、仰臥位で下肢挙上、酸素投与、輸液を行うんじゃ。

サクラ サクラ

呼吸が苦しそうなときは?

博士 博士

気道閉塞が進むようなら挿管の準備もする。β2刺激薬の吸入、ステロイド、抗ヒスタミン薬は補助療法じゃ。

サクラ サクラ

二相性反応というのも聞きました。

博士 博士

症状がいったん落ち着いた後、4〜12時間後に再燃することがあるんじゃ。だから少なくとも4〜6時間、できれば半日は観察する。

サクラ サクラ

保護者への説明も大切ですね。

博士 博士

エピペンの処方と使い方指導、原因食品の徹底回避、学校・園との連携まで含めて支援するんじゃ。

POINT

アナフィラキシーは皮膚・呼吸器・消化器・循環器の複数臓器症状を呈する即時型アレルギー反応で、ショックへ進行すると致命的となる。初期評価では循環動態を反映する心拍数のモニタリングが最優先で、頻脈や脈の微弱化からショック徴候を捉える。アドレナリン筋注・仰臥位下肢挙上・酸素・輸液が初期対応の柱であり、二相性反応に備えた観察と家族へのエピペン指導も欠かせない。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:Aちゃん( 3歳、女児 )は、父親( 会社員 )と母親( 会社員 )との3人暮らし。Aちゃんは、生後11か月のときに、卵による食物アレルギー( food allergy )と診断され、医師の指示で卵の除去食療法をしていた。保育所では卵を除去した給食が提供されている。Aちゃんは保育所の給食の時間に、隣の席の園児の卵が入ったおかずを摂取し、蕁麻疹と咳嗽が出現した。保育士に連れられて救急外来を受診した。Aちゃんは保育士に抱っこされ、「かゆい」と訴えており、咳込みがみられた。 受診時に観察する項目で優先度が高いのはどれか。

解説:正解は 2 です。食物アレルギーは、IgEを介した即時型反応で、皮膚・粘膜・呼吸器・消化器・循環器のうち2臓器以上に症状が出現するとアナフィラキシーと診断され、血圧低下や意識障害を伴えばアナフィラキシーショックに進展します。Aちゃんは既に皮膚症状(蕁麻疹・かゆみ)と呼吸器症状(咳嗽)を呈しており、アナフィラキシーの診断基準を満たしています。ショックへの移行を早期に捉えるためには、循環動態の指標である心拍数を最優先で確認する必要があり、頻脈・不整脈・脈の微弱化を見落とさないことが生命を左右します。

選択肢考察

  1. × 1.  体温

    アナフィラキシーの診断基準に体温は含まれず、ショック進行時に低体温を生じうるものの、初期評価での優先度は高くありません。

  2. 2.  心拍数

    アナフィラキシーショックでは循環虚脱に先行して頻脈や不整脈が出現するため、心拍数のモニタリングが循環動態悪化の早期発見に直結します。

  3. × 3.  腸蠕動音

    嘔吐・下痢など消化器症状は診断基準の一つですが、蠕動音単独ではショックの急変徴候を捉えにくく、生命維持指標より優先度は低いです。

  4. × 4.  蕁麻疹の範囲

    皮膚症状の範囲は重症度の参考にはなりますが、気道や循環の評価より優先されず、バイタル確認後に経時評価します。

小児のアナフィラキシー初期対応は『アドレナリン筋注(大腿前外側、0.01mg/kg)』『仰臥位+下肢挙上』『酸素投与』『輸液』の基本セット。ABC評価(気道・呼吸・循環)を繰り返し、二相性反応にも備えて少なくとも4〜6時間経過観察する。

食物アレルギーでアナフィラキシーが疑われる小児の初期評価として、循環動態を反映する観察項目を選ぶ問題です。