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扁桃摘出術後の7歳児、痛みをどう評価する?小児の疼痛スケール活用法

看護師国家試験 第109回 午後 第104問 / 小児看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第104問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aちゃん( 7 歳、女児、小学 1 年生)は、3 歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の 4 月から 7 月までの間に、急性扁桃炎( acute tonsillitis )を 3 回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8 月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。 手術後 1 日。Aちゃんはベッド上で、静かにぬり絵をして遊んでいたが、昼食時には黙って涙ぐみ、食事や水分も摂ろうとしない。付き添っている母親は「痛くて食べられないようです」と看護師に言った。Aちゃんのバイタルサインは、体温 37.6 ℃、血圧 100 / 60 mmHg。 看護師がAちゃんの痛みを把握するのに最も適切な方法はどれか。

  1. 1.Aちゃんの表情を観察する。
  2. 2.母親にAちゃんの痛みの様子を聞く。
  3. 3.Aちゃんに痛みの程度を話してもらう。
  4. 4.Aちゃんに痛みスケールを使って示してもらう。

対話形式の解説

博士 博士

今日は術後1日目の痛みのアセスメントの問題じゃ。7歳児への疼痛評価はどう行うべきか考えるぞ。

アユム アユム

Aちゃんは黙って涙ぐんで食事も水分も摂れない…相当痛そうですね。

博士 博士

扁桃摘出術後は嚥下時痛が強く、これは頻発する問題じゃ。十分な鎮痛ができないと脱水や低栄養、創治癒遅延につながる。

アユム アユム

だからこそ正確に痛みを評価して、鎮痛薬の調整が必要なんですね。

博士 博士

その通り。さて、痛みの評価にはどんな方法がある?

アユム アユム

表情観察、本人に聞く、家族に聞く、スケールを使う…いろいろありますね。

博士 博士

それぞれの長所短所を整理しよう。表情はどうじゃ?

アユム アユム

補助的にはなりますが、不安でも緊張でも涙ぐみますし、強さまではわからないです。

博士 博士

うむ。母親に聞くというのは?

アユム アユム

痛みは本人にしかわからない主観的体験ですよね。母親の代理評価は限界があります。

博士 博士

本人に言葉で聞くのは?

アユム アユム

7歳ですし話せますけど、「ちょっと痛い」「けっこう痛い」と曖昧で、前と比べてどうかも言いにくそう…。

博士 博士

そこじゃ。言語化だけでは経時比較や共有が難しい。そこで登場するのが痛みスケールじゃ。

アユム アユム

フェイススケールって聞いたことあります。笑顔から泣き顔までのイラストを見て選ぶんですよね?

博士 博士

Wong-Baker FACESというやつじゃな。3歳以上から使える。7歳以上ならNRS(0〜10の数値スケール)やVAS(視覚的アナログ)も有効じゃ。

アユム アユム

数値化できると、鎮痛薬を使った前後で効果を比べられますね。

博士 博士

その通り。看護師間の引き継ぎでも「今朝は6、午後は3に減少」と具体的に共有できる。

アユム アユム

痛みってバイタルサインの一つなんですか?

博士 博士

「第5のバイタルサイン」と呼ばれ、定期的な評価が推奨されておる。特に術後は必須じゃ。

アユム アユム

乳幼児のように話せない子はどうしますか?

博士 博士

FLACCスケールという他者評価ツールがある。顔、脚、活動、啼泣、安楽の5項目を観察者が点数化する。

アユム アユム

発達段階に応じて使い分けるんですね。

博士 博士

その通り。主観を客観化する工夫が小児看護の鍵じゃ。

POINT

小児の術後疼痛評価では、発達段階に応じたスケールを活用し、主観的体験を可視化・共有することが基本です。学童期のAちゃんにはWong-Baker FACESやNRS・VASといった痛みスケールが有効で、本人が示すことで痛みの強さを定量的かつ経時的に把握でき、鎮痛効果の判定や多職種間の情報共有にも役立ちます。表情観察や家族からの聴取は補助的情報にとどまり、単独では不十分です。扁桃摘出術後は嚥下時痛で経口摂取が困難になりやすいため、積極的な疼痛管理と飲水・食事支援を並行して行うことが、回復促進の重要な看護となります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aちゃん( 7 歳、女児、小学 1 年生)は、3 歳ころから夜間就寝中や保育所の昼寝の時に時々いびきがあり、保育所の友達に「Aちゃんがうるさくて眠れない」と言われた。母親が心配してAちゃんを小児科外来に連れて行った。その後、Aちゃんは外来で経過観察されてきたが、今年の 4 月から 7 月までの間に、急性扁桃炎( acute tonsillitis )を 3 回起こしていることや、睡眠時無呼吸がみられるようになったことから、8 月中に扁桃腺摘出術を受けることになった。 手術後 1 日。Aちゃんはベッド上で、静かにぬり絵をして遊んでいたが、昼食時には黙って涙ぐみ、食事や水分も摂ろうとしない。付き添っている母親は「痛くて食べられないようです」と看護師に言った。Aちゃんのバイタルサインは、体温 37.6 ℃、血圧 100 / 60 mmHg。 看護師がAちゃんの痛みを把握するのに最も適切な方法はどれか。

解説:正解は 4 です。7歳の学童期は自分の痛みをある程度言語化できるものの、曖昧な表現になりやすく、痛みの経時的変化や他者との比較が困難である。痛みスケール(フェイススケール、NRS、VASなど)を用いることで、子ども自身が主観的な痛みを視覚的・客観的に示せ、鎮痛処置の効果判定や他のスタッフとの情報共有が容易になる。学童期の術後疼痛評価に最も有用な方法である。

選択肢考察

  1. × 1.  Aちゃんの表情を観察する。

    表情の観察は補助的情報として大切だが、痛みだけでなく不安や疲労、環境要因でも変化し、強さを定量的に把握することはできない。単独では不十分。

  2. × 2.  母親にAちゃんの痛みの様子を聞く。

    家族からの情報は参考になるが、痛みは主観的体験であり、代理評価では本人の実感を正確に反映できない。特に母親も初めての経験で不安があり、客観性に欠ける。

  3. × 3.  Aちゃんに痛みの程度を話してもらう。

    口頭表現のみに頼ると、語彙の限界や羞恥心、状況への緊張から痛みを正確に伝えきれない。また経時評価の一貫性を欠き、他者への共有も難しい。

  4. 4.  Aちゃんに痛みスケールを使って示してもらう。

    学童期にはフェイススケールやNRSが有効で、本人が主観的な痛みを視覚的に表現できる。経時比較・共有・鎮痛効果判定に優れ、小児術後疼痛評価の標準的方法である。

小児の痛みスケールは発達段階別に選ぶ。乳幼児ではFLACCスケール(顔、脚、活動、啼泣、安楽の5項目を他者評価)、3歳以上ではWong-Baker FACES(フェイススケール)、7〜8歳以上ではNRS(数値評価スケール0〜10)やVAS(視覚的アナログスケール)が用いられる。痛みは第5のバイタルサインとされ、定期的な評価と鎮痛介入の効果判定が不可欠。扁桃摘出術後は特に嚥下時痛が強く、経口摂取や水分摂取を妨げるため、積極的な疼痛管理が重要である。

学童期における術後疼痛評価法として、主観的・客観的・経時的に把握できるスケール活用の優位性を問う問題。