細気管支炎悪化児からの情報収集
看護師国家試験 第110回 午後 第104問 / 小児看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
Aちゃん( 5か月、女児)は、父親(会社員)、母親(主婦)、兄のB君( 3歳)と4人家族である。近所に祖父母が住んでいる。Aちゃんは3日前から鼻汁と咳嗽があり、昨日夕方より39℃の発熱がみられ小児科外来を受診した。自宅で哺乳量の低下はなく、1日に1、2回咳嗽とともに嘔吐がみられていた。来院時、体温39.3℃、呼吸数45/分、脈拍142/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%( room air )であった。診察と検査の結果、RSウイルスによる急性細気管支炎( acute bronchiolitis )と診断され、去痰薬が処方された。 Aちゃんは、発熱が続き、哺乳量が減ってきたため2日後に再度来院した。来院時、体温39.4℃、呼吸数60/分、脈拍154/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >92%( room air )、口唇色と顔色はやや不良であった。胸部エックス線撮影で肺炎像は認められない。Aちゃんは、経口摂取不良と呼吸困難のため、母親が付き添って入院することとなった。酸素吸入と点滴静脈内注射が開始された。 入院前のAちゃんについて母親から収集すべき情報で優先度が高いのはどれか。
- 1.去痰薬の内服状況
- 2.最終排尿の時間
- 3.皮膚搔痒の有無
- 4.排便の状況
対話形式の解説
博士
Aちゃん、2日後に再受診じゃ。呼吸数60、脈拍154、SpO2 92%、口唇色も不良…かなり悪化しておるのう。
アユム
最初の受診と比べて呼吸数も脈拍も跳ね上がっています。脱水と呼吸不全の両方が進んでいる印象です。
博士
そうじゃ。この状態で母親から聞き取る情報として最優先なのはどれじゃろう?
アユム
選択肢2の「最終排尿の時間」だと思います。
博士
なぜそう考えた?
アユム
哺乳量が減って発熱も続いているので脱水が強く疑われます。乳児の脱水評価では尿量が最も鋭敏な指標なので、最後の排尿時間を確認することで脱水の程度を推定できます。
博士
見事じゃ。排尿が6時間以上ないなら中等度以上の脱水を疑うサインじゃな。
アユム
選択肢1の去痰薬内服状況はどうですか?
博士
治療継続の観点では大事じゃが、今はそれどころではないじゃろう。輸液と酸素投与が始まる場面じゃから、循環血液量の把握が最優先なんじゃ。
アユム
3の皮膚搔痒はRSウイルスと関係ないですよね。
博士
その通り。アレルギーや皮疹の評価項目じゃから場違いじゃ。
アユム
4の排便状況は?
博士
下痢の記載がないから優先度は低いのう。RSで咳嗽に伴う嘔吐はあっても、消化器症状主体ではないからじゃ。
アユム
SpO2 92%というと酸素化もぎりぎりですよね。
博士
そうじゃ。室内気でSpO2 92%は乳児では危険域じゃから酸素投与が必要じゃな。頻呼吸・陥没呼吸・多呼吸も評価しながら管理するんじゃぞ。
アユム
脱水は大泉門陥凹や皮膚ツルゴールでも見ますね。
博士
その通り。複数の徴候を組み合わせて総合判断するのが肝心じゃ。
POINT
発熱持続と哺乳量低下で脱水が進行している乳児では、最終排尿時間が最も優先度の高い情報となります。尿量は乳児の脱水評価における鋭敏な指標で、輸液量決定の根拠にもなります。去痰薬内服状況は治療継続に必要ですが優先度は下がり、皮膚搔痒や排便はRSウイルス感染症の病態と直接関連しません。大泉門、皮膚ツルゴール、体重変化なども合わせて評価しましょう。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:Aちゃん( 5か月、女児)は、父親(会社員)、母親(主婦)、兄のB君( 3歳)と4人家族である。近所に祖父母が住んでいる。Aちゃんは3日前から鼻汁と咳嗽があり、昨日夕方より39℃の発熱がみられ小児科外来を受診した。自宅で哺乳量の低下はなく、1日に1、2回咳嗽とともに嘔吐がみられていた。来院時、体温39.3℃、呼吸数45/分、脈拍142/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >98%( room air )であった。診察と検査の結果、RSウイルスによる急性細気管支炎( acute bronchiolitis )と診断され、去痰薬が処方された。 Aちゃんは、発熱が続き、哺乳量が減ってきたため2日後に再度来院した。来院時、体温39.4℃、呼吸数60/分、脈拍154/分、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO 2 >92%( room air )、口唇色と顔色はやや不良であった。胸部エックス線撮影で肺炎像は認められない。Aちゃんは、経口摂取不良と呼吸困難のため、母親が付き添って入院することとなった。酸素吸入と点滴静脈内注射が開始された。 入院前のAちゃんについて母親から収集すべき情報で優先度が高いのはどれか。
解説:正解は2です。Aちゃんは発熱持続・哺乳量低下・頻脈・頻呼吸が重なり、脱水の進行が強く疑われる状況です。乳児の脱水評価では尿量が鋭敏な指標となるため、最終排尿の時間を把握することが最優先になります。排尿が長時間みられない場合は中等度以上の脱水と判断し、輸液量の調整につながる重要情報です。
選択肢考察
-
× 1. 去痰薬の内服状況
内服状況の確認は治療継続の観点から必要ではありますが、今まさに脱水が進行している状況下では優先度は下がります。
-
○ 2. 最終排尿の時間
発熱と哺乳低下による脱水の評価に最も直結する情報です。乳児は排尿間隔の延長が脱水の鋭敏な徴候となり、輸液方針の決定に不可欠な情報となります。
-
× 3. 皮膚搔痒の有無
皮膚搔痒はアレルギー性疾患や皮膚疾患で問題となる症状で、RSウイルス感染症の病態や脱水評価とは直接関連しません。
-
× 4. 排便の状況
Aちゃんに下痢などの消化器症状は記載されておらず、咳嗽に伴う嘔吐もRSウイルスの典型像です。排便状況の確認は必要ですが、優先度は低くなります。
乳児の脱水評価では体重減少率、大泉門陥凹、皮膚ツルゴール、毛細血管再充満時間、涙の有無、口腔粘膜の乾燥、そして尿量の減少が重要指標です。とくに尿量は3〜4時間以上排尿がない、またはおむつが軽い状態が続くなら中等度以上の脱水を疑います。細気管支炎では不感蒸泄も増え、急速に脱水が進行するため早期の輸液開始が有効です。
急性細気管支炎で経口摂取が不良となった乳児について、脱水評価に最も直結する情報を選べるかを問う問題です。
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