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『おしっこが出たら止めるよ』5歳児に伝える自己導尿の正しいコツ

看護師国家試験 第114回 午後 第107問 / 小児看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第107問

次の文を読み、問いに答えよ。 A君(5歳6か月、男児)は、二分脊椎(spina bifida)のため、繰り返し使用できるカテーテルによる間欠的自己導尿を両親が実施している。現在、間欠的自己導尿は、保育所での実施を含めて1日6回行うよう医師が指示しており、自宅では両親が導尿している。A君は下肢の運動機能障害があるが、自分で車椅子からトイレに移動でき、指先の微細な動きもできる。 外来受診の際に母親から「地元の小学校に入学予定です。小学生になったら自分で導尿できたほうが良いと聞きました。Aも間欠的自己導尿をやってみたい、と言っています。どのように進めたらよいか分からず、焦っています」と看護師に相談があった。 その後、看護師は、A君が小学校で自立して間欠的自己導尿ができるようケア計画を立てた。 間欠的自己導尿の実施についてA君に伝えることで適切なのはどれか。

  1. 1.「おしっこの出口をきれいにするため外側から内側に向かって拭くよ」
  2. 2.「カテーテルの先はピンセット<鑷子>で持つよ」
  3. 3.「カテーテルを入れておしっこが出てきたらその位置でカテーテルを止めるよ」
  4. 4.「おしっこが出なくなったらカテーテルを急いで抜くよ」

対話形式の解説

博士 博士

今日は5歳のA君にどう導尿の手順を伝えるかを考えるぞ。

サクラ サクラ

子ども相手の説明って、難しそうですね。

博士 博士

まず手技として正しい順序を押さえないと、優しい言葉でも内容が間違っていたら意味がない。一緒に確認しよう。

サクラ サクラ

選択肢1の『外側から内側に向かって拭く』はどうですか?

博士 博士

ブー、逆じゃ。陰部の清拭は『清潔から不潔へ』が基本。尿道口を中心に内側から外側へ拭くのじゃ。外側から拭くと周りの菌を尿道口に運んでしまう。

サクラ サクラ

あ、創部の消毒と同じ考え方ですね。

博士 博士

その通りじゃ。次はピンセット使用じゃが…。

サクラ サクラ

これは医療現場の無菌操作のイメージですよね?

博士 博士

うむ。学校や家庭での自己導尿は『清潔操作』、つまり手洗いを徹底した素手でカテーテルを扱うのじゃ。鑷子は5歳児には使いこなせないし、誤って先端を傷つける危険もある。

サクラ サクラ

じゃあ『おしっこが出たら止めるよ』はどうですか?

博士 博士

これが正解じゃ。尿の流出は膀胱に届いたサイン。そこで止めれば膀胱壁を傷つけず、流れが止まるまで待てば残尿も少なくできる。

サクラ サクラ

子どもにも分かりやすい目印ですね。

博士 博士

最後の『出なくなったら急いで抜く』は?

サクラ サクラ

『急いで』が引っかかりますね…。

博士 博士

鋭い。急に抜くと尿道粘膜を傷つけたり、残尿を見逃したりする。ゆっくり少しずつ抜きながら、途中で再び出る尿がないか確認するのが正解じゃ。

サクラ サクラ

二分脊椎ではどうしてこの導尿が必要なんですか?

博士 博士

二分脊椎では神経因性膀胱になりやすく、自分の意思で排尿しづらかったり残尿が多くなる。放置すると尿路感染、膀胱尿管逆流、水腎症、最終的には腎不全につながるのじゃ。

サクラ サクラ

だから1日6回も決まった時間に導尿するんですね。

博士 博士

そうじゃ。膀胱を空にしておくことが腎臓を守る一番の対策なのじゃよ。

サクラ サクラ

学校でやるとなると、清潔な場所と時間の確保も大事ですね。

博士 博士

うむ。看護師は手技指導だけでなく、学校生活全体を見据えた環境調整も支援するのが役割じゃ。

POINT

間欠的自己導尿でカテーテルを進めると、膀胱に到達した時点で尿の流出が始まる。その位置でカテーテルを止めて流出が止まるまで待つことが、膀胱壁の損傷を防ぎ残尿を少なくする最も安全な手順であり、5歳児にも理解しやすい説明である。陰部清拭は内側から外側へ拭くのが原則で、家庭・学校での導尿は清潔操作(素手)で行い鑷子は不要。抜去はゆっくり行い、途中で再度の尿流出がないか確認しながら進める。二分脊椎による神経因性膀胱では尿路感染や腎機能障害の予防のために間欠的自己導尿が長期にわたり必要であり、発達段階に応じた言葉で正しい手技を教えることが看護師の重要な役割となる。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 A君(5歳6か月、男児)は、二分脊椎(spina bifida)のため、繰り返し使用できるカテーテルによる間欠的自己導尿を両親が実施している。現在、間欠的自己導尿は、保育所での実施を含めて1日6回行うよう医師が指示しており、自宅では両親が導尿している。A君は下肢の運動機能障害があるが、自分で車椅子からトイレに移動でき、指先の微細な動きもできる。 外来受診の際に母親から「地元の小学校に入学予定です。小学生になったら自分で導尿できたほうが良いと聞きました。Aも間欠的自己導尿をやってみたい、と言っています。どのように進めたらよいか分からず、焦っています」と看護師に相談があった。 その後、看護師は、A君が小学校で自立して間欠的自己導尿ができるようケア計画を立てた。 間欠的自己導尿の実施についてA君に伝えることで適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。間欠的自己導尿でカテーテルを尿道から挿入していくと、膀胱まで到達した時点で尿の流出が始まる。その位置でカテーテルを保持・固定すると、先端が膀胱壁に当たって粘膜を傷つけることや、カテーテルが抜けて尿路を再汚染することを防げる。さらに尿の流出が止まるまでその位置で待つことで、残尿を最小限にできる。これは小児にも理解しやすい指標で、5歳のA君に「おしっこが出てきた所で止めるよ」と伝えるのは適切である。

選択肢考察

  1. × 1.  「おしっこの出口をきれいにするため外側から内側に向かって拭くよ」

    陰部の清拭・消毒は尿道口を中心として、内側(尿道口)から外側へ向かって拭くのが原則。外側から内側だと周囲の常在菌を尿道口へ運んでしまい尿路感染のリスクが高まる。

  2. × 2.  「カテーテルの先はピンセット<鑷子>で持つよ」

    在宅・学校など日常場面の自己導尿は清潔操作(清潔手洗い後の素手)で行う。鑷子は無菌操作の医療場面で用いるもので、5歳児が安全に扱える道具ではなく、現実的でない。

  3. 3.  「カテーテルを入れておしっこが出てきたらその位置でカテーテルを止めるよ」

    尿の流出は膀胱到達のサイン。その位置で固定し流出が止まるまで待つことで、膀胱壁を傷つけず残尿も少なくできる。子どもにも理解しやすい説明として最も適切。

  4. × 4.  「おしっこが出なくなったらカテーテルを急いで抜くよ」

    排尿が止まっても急に抜くと、まだ膀胱内に残っている尿を見逃したり、尿道粘膜を損傷したりする。少しずつゆっくり抜去し、途中で残尿が出るか確認しながら抜くのが正しい手順。

二分脊椎では神経因性膀胱を呈することが多く、尿失禁・残尿・尿路感染・水腎症・腎機能低下を予防するために間欠的自己導尿(CIC)が標準治療となる。在宅・学校では清潔的自己導尿(clean intermittent catheterization)が一般的で、流水での手洗いと素手での操作、繰り返し使用カテーテルは使用後の洗浄・乾燥保管が原則。陰部の清拭は男児では尿道口から外側へ、女児では恥骨側から肛門側へと「清潔から不潔へ」が基本。発達段階に応じた言葉選びも看護指導の重要なスキル。

間欠的自己導尿の正しい手順を、5歳児に伝える表現として適切なものを選ぶ問題。手技の安全性と発達段階に応じた説明の両面を問う。