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退院後3か月の統合失調症患者と家族への支援

看護師国家試験 第103回 午後 第113問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

103回 午後 第113問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(40歳、男性)は、大学1年生のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神科病院に20年入院している。今回、退院して両親と同居することになった。入院中は定期的に作業療法に参加しており、日常生活は自立している。服薬は自己管理となっているが、時々飲み忘れることがある。 退院後3か月、Aさんは処方どおりに服薬している。Aさんの母親から「退院してからずっと1日中家の中で何もせず過ごしています。夫は本人に働くよう言っています」と看護師に相談があった。 母親への対応として最も適切なのはどれか。

  1. 1.「もう一度入院を考えてみますか」
  2. 2.「アルバイトを探してはいかがですか」
  3. 3.「Aさんはどう考えているようですか」
  4. 4.「お薬の調整を主治医に相談してみましょうか」

対話形式の解説

博士 博士

退院後3か月のAさん、服薬は処方どおり守られておるが、母親から『1日中何もせず、夫が働くよう言っている』と相談があったんじゃ。

サクラ サクラ

お父さんは早く社会復帰してほしい気持ちなんでしょうね。

博士 博士

そうじゃろうな。ただ服薬遵守できておるし、症状悪化の記載もない。病状は安定しておると見てよい。

サクラ サクラ

看護師としてどう答えるのが適切ですか。

博士 博士

正解は3の『Aさんはどう考えているようですか』じゃよ。

サクラ サクラ

本人の気持ちを確認するということですね。

博士 博士

そう、相談内容は母親と父親の視点ばかりで、Aさん自身の声が見えん。家族と本人の橋渡しが看護師の役割じゃ。

サクラ サクラ

1の入院を考えるのは。

博士 博士

再入院を検討する根拠がない段階で口にすると、家族の不安を必要以上に煽ってしまう。

サクラ サクラ

2のアルバイトを勧めるのは。

博士 博士

20年入院後で社会経験が乏しい。本人の準備性を確認せずに就労を急かすとストレスで再燃しかねん。

サクラ サクラ

4の薬剤調整の相談は。

博士 博士

服薬遵守ができ症状も安定しておるから、薬を変える根拠が乏しい。

サクラ サクラ

家族の不安に寄り添いつつ本人の意向も尊重するのが大切なんですね。

博士 博士

そうじゃ。退院後3〜6か月は慣れの時期として焦らず、本人・家族双方の声を傾聴し続けることが再発予防につながるんじゃよ。

POINT

退院後3か月で服薬遵守できているAさんに対し、家族の懸念だけで生活変化を促すのは早計である。看護師はまず本人の意向を確認し、家族と本人の認識をすり合わせる橋渡し役を担う。安易な再入院や薬剤調整、就労の提案は再発リスクを高めかねない。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(40歳、男性)は、大学1年生のときに統合失調症(schizophrenia)を発症し、精神科病院に20年入院している。今回、退院して両親と同居することになった。入院中は定期的に作業療法に参加しており、日常生活は自立している。服薬は自己管理となっているが、時々飲み忘れることがある。 退院後3か月、Aさんは処方どおりに服薬している。Aさんの母親から「退院してからずっと1日中家の中で何もせず過ごしています。夫は本人に働くよう言っています」と看護師に相談があった。 母親への対応として最も適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。退院後3か月のAさんは服薬がきちんとできており、病状は安定しているとみられます。一方で母親の相談はAさんの生活の様子と父親の意見が中心で、Aさん自身が今の状況をどう受け止めているかは語られていません。長期入院後の地域生活適応には本人の心理的負担への配慮が不可欠で、家族や周囲の期待が先行するとストレスから再燃する危険があるため、まずは『本人の意向』を確認し家族と本人の橋渡しをすることが看護師の中核的役割です。

選択肢考察

  1. × 1.  「もう一度入院を考えてみますか」

    服薬遵守ができ症状悪化の記載もないため、再入院を検討する状況ではありません。安易な入院提案は患者・家族の不安を煽ります。

  2. × 2.  「アルバイトを探してはいかがですか」

    20年入院後で社会経験が乏しいAさんに就労を急かすとストレス過多で再発を招く危険があり、本人の準備性を確認しないまま勧めるのは不適切です。

  3. 3.  「Aさんはどう考えているようですか」

    本人の意向を確認することで、家族と本人の認識のズレを把握し、無理のない次の一歩を共に考える土台ができます。

  4. × 4.  「お薬の調整を主治医に相談してみましょうか」

    服薬は守れており症状悪化の徴候もないため、薬剤調整を提案する根拠が乏しい段階です。

長期入院後の社会復帰では、退院後3〜6か月は『慣れの段階』として焦らせない関わりが推奨されます。家族心理教育や精神保健福祉士・保健所と連携し、訪問看護のなかで本人と家族双方の声を傾聴・調整することが再発予防の鍵となります。

家族からの相談に対し、本人の意向を確認したうえで支援方針を考えるという家族間調整の看護姿勢を問う問題です。