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レビー小体型認知症進行期の看護

看護師国家試験 第111回 午前 第110問 / 精神看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第110問

次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(68歳、男性、自営業)は、妻(73歳)と2人暮らし。Aさんの就寝時刻は21時で、入眠後90分以上が経過した睡眠中に、大声で叫び、腕や足を振り回し暴れる行動が繰り返しみられたが、昼寝では夜間のような行動はみられない。日中、台所で子どもが遊んでいると言い、妻が台所を確認しても誰もいないことが何度かあった。心配になった妻がAさんとともに病院を受診し、Lewy〈レビー〉小体型認知症(dementia with Lewy bodies)と診断された。 Aさんは定期的に精神科外来を受診することになった。受診6か月後、Aさんは足の筋肉がこわばり、動きが鈍くなった。また、幻視を訴える頻度が増え、感情のコントロールができず、妻に暴言や暴力を振るうことが多くなったため、精神科病院に入院となった。入院2日、Aさんは歩行時に床に子どもが寝転んでいると訴えて、子どもをよける動作で転びそうになった。また、突然、興奮して大声で怒り出すため、同室患者が苦情を訴えた。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。

  1. 1.Aさんに別の病室へ移動することを提案する。
  2. 2.歩行時は看護師と一緒に歩くように声をかける。
  3. 3.怒りをコントロールできる方法を見つけるように伝える。
  4. 4.床に子どもがいるように見えるのは幻視であることを説明する。

対話形式の解説

博士 博士

111回午前110問じゃ。Aさんはパーキンソニズムと幻視が進行し、床の子どもをよけて転びそうになったり興奮したりしておる場面じゃ。

アユム アユム

博士、この状況で最も優先すべきリスクは何ですか?

博士 博士

転倒リスクじゃ。パーキンソニズムで足の筋強剛、動作緩慢が出ており、さらに幻視を避けて不自然な動きをしている。高齢者の転倒は大腿骨近位部骨折や硬膜下血腫に直結するから最優先じゃ。

アユム アユム

だから正解は2番の「看護師と一緒に歩くように声をかける」ですね。

博士 博士

その通り。付き添って歩行することで、幻視が残っていても転ばずに移動でき、身体的安全が確保できるんじゃ。

アユム アユム

1番の別の病室への移動はどうして違うんですか?

博士 博士

転室しても幻視と興奮は消えんじゃろ。同室者問題は解決したように見えても、移動先で同じトラブルが起きる可能性が高い。本人の症状への介入になっておらんのじゃ。

アユム アユム

3番の怒りのコントロール方法を見つけるようにというのは?

博士 博士

レビー小体型認知症の感情失禁は病気の症状であって、本人の意志で抑えられるものではないんじゃ。自己管理を求めるのは酷というものじゃ。

アユム アユム

4番の「幻視ですよ」と説明するのは?

博士 博士

本人にとって床の子どもは現実じゃ。頭ごなしに否定されると「自分を理解してくれない」と感じ、かえって怒りや不安を強めてしまう。否定も肯定もせず、「一緒に気をつけて歩きましょうか」と寄り添うのが基本じゃ。

アユム アユム

レビー小体型認知症の幻視への対応ポイントは?

博士 博士

まず否定しない。幻視のトリガーになる暗がりや、物の影を減らすため照明を明るくする。床に障害物を置かない。必要なら医師と相談して服薬調整じゃ。

アユム アユム

薬物療法で注意することはありますか?

博士 博士

レビー小体型認知症は抗精神病薬過敏性があるんじゃ。定型抗精神病薬でパーキンソニズムの急激な悪化や悪性症候群を起こすことがあり、使用には細心の注意が必要じゃ。

アユム アユム

同室者への配慮もいりますね。

博士 博士

うむ、同室者に状況を一定程度説明したり、興奮時は個室対応を検討したりする。家族・スタッフ・他患者を含む環境調整が重要じゃな。

アユム アユム

転倒予防以外にも、感情失禁や幻視に継続的に向き合う必要があるんですね。

博士 博士

その通り。この疾患の看護は「安全・受容・環境調整」の3本柱じゃ。本人の尊厳を守りながら、リスクを最小化していくんじゃ。

POINT

レビー小体型認知症進行期ではパーキンソニズムと幻視が重なり転倒リスクが最大の課題です。看護師が一緒に歩行することで安全確保でき、これが最優先の介入となります。幻視は否定せず受容的に対応し、感情失禁は症状として理解、転室や自己管理要求は不適切です。抗精神病薬過敏性にも留意した包括的ケアが求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:次の文を読み以下の問いに答えよ。 Aさん(68歳、男性、自営業)は、妻(73歳)と2人暮らし。Aさんの就寝時刻は21時で、入眠後90分以上が経過した睡眠中に、大声で叫び、腕や足を振り回し暴れる行動が繰り返しみられたが、昼寝では夜間のような行動はみられない。日中、台所で子どもが遊んでいると言い、妻が台所を確認しても誰もいないことが何度かあった。心配になった妻がAさんとともに病院を受診し、Lewy〈レビー〉小体型認知症(dementia with Lewy bodies)と診断された。 Aさんは定期的に精神科外来を受診することになった。受診6か月後、Aさんは足の筋肉がこわばり、動きが鈍くなった。また、幻視を訴える頻度が増え、感情のコントロールができず、妻に暴言や暴力を振るうことが多くなったため、精神科病院に入院となった。入院2日、Aさんは歩行時に床に子どもが寝転んでいると訴えて、子どもをよける動作で転びそうになった。また、突然、興奮して大声で怒り出すため、同室患者が苦情を訴えた。 Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。パーキンソニズムによる歩行障害に加え、床の幻視を避けようとする動作で転倒しそうになっており、転倒リスクが最優先課題です。看護師が一緒に歩行し付き添うことで、幻視が残っていても安全に歩行移動できます。

選択肢考察

  1. × 1.  Aさんに別の病室へ移動することを提案する。

    転室しても幻視と興奮は改善せず、移動先でも同様のトラブルが生じる可能性があります。本人の症状への直接的介入にならないため不適切です。

  2. 2.  歩行時は看護師と一緒に歩くように声をかける。

    パーキンソニズムによる動作緩慢と幻視を避ける動作で転倒リスクが高まっています。看護師の付き添いで転倒予防ができ、身体的安全確保を最優先とする対応です。

  3. × 3.  怒りをコントロールできる方法を見つけるように伝える。

    感情コントロールの困難はレビー小体型認知症の症状の一つで、本人の意志で解決できるものではありません。自己管理を求める介入は不適切です。

  4. × 4.  床に子どもがいるように見えるのは幻視であることを説明する。

    幻視は本人にとって現実であり、否定すると不安や怒りを増強させます。否定も肯定もせず訴えを受け止め、安全を確保する関わりが適切です。

レビー小体型認知症の症状進行期には、パーキンソニズムによる転倒リスク、幻視による逸脱行動、感情失禁など複数のリスクが重なります。ケアの原則は安全確保を最優先とし、幻視は否定せず受容的に対応、環境調整(床の物を減らす、照明を明るくする)や服薬調整を組み合わせます。抗精神病薬過敏性があるため薬物療法は慎重に行います。

レビー小体型認知症進行期における転倒リスクを認識し、安全確保を最優先とした介入を選べるかを問う問題です。