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緩和ケア病棟への転棟〜最優先は疼痛コントロール情報〜

看護師国家試験 第111回 午前 第73問 / 成人看護学 / 終末期看護

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第73問

多発性骨転移がある終末期の大腸癌(colon cancer)患者(53歳、女性)が、外科病棟から緩和ケア病棟に夫に付き添われ転棟してきた。 転棟時の申し送りについて、緩和ケア病棟の看護師が外科病棟の看護師から収集する情報で最も優先すべきなのはどれか。

  1. 1.疼痛コントロールの状況
  2. 2.自宅の居住環境
  3. 3.大腸癌(colon cancer)の術式
  4. 4.夫の面会頻度

対話形式の解説

博士 博士

今日は終末期看護の事例問題じゃ。53歳女性、多発性骨転移を伴う大腸癌の終末期患者が、外科病棟から緩和ケア病棟へ夫に付き添われて転棟してきた場面じゃな。

サクラ サクラ

緩和ケア病棟への転棟ということは、積極的治療ではなく症状緩和が主目的ですね。

博士 博士

そうじゃ。緩和ケア病棟は身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛、つまりトータルペインの緩和を目的とする病棟なんじゃ。

サクラ サクラ

問題は、申し送りで最も優先すべき情報を選ぶものです。選択肢は疼痛コントロール、自宅環境、術式、夫の面会頻度ですね。

博士 博士

患者さんの病態を考えてみよう。多発性骨転移という情報から何が予測できる?

サクラ サクラ

骨転移は強い癌性疼痛を引き起こしますよね。特に体動時痛が問題になると聞きました。

博士 博士

その通りじゃ。骨転移痛は安静時痛と体動時痛があっての、オピオイド、NSAIDs、ステロイド、放射線治療、ビスホスホネートやデノスマブなど多角的な治療が必要じゃ。これを途切れなく引き継ぐことが最優先なんじゃ。

サクラ サクラ

だから正解は1の疼痛コントロールの状況、ですね。

博士 博士

そうじゃ。具体的には、現在使用中のオピオイドの種類と用量、投与経路、レスキュー薬の使用頻度、NRSやFace Scaleでの疼痛評価、副作用の有無などを確認するんじゃ。

サクラ サクラ

選択肢2の自宅居住環境はどうですか?

博士 博士

在宅看取りを検討する段階では重要じゃが、転棟直後の最優先ではないの。身体症状が落ち着いてから退院支援の一環として情報収集すればよい。

サクラ サクラ

選択肢3の術式は外科的情報ですよね。

博士 博士

術式情報はストーマ管理や腹部合併症の予測に役立つ場合もあるが、終末期の症状緩和を目的とする緩和ケア病棟では優先度は高くない。

サクラ サクラ

選択肢4の夫の面会頻度は家族支援の情報ですね。

博士 博士

そうじゃ。家族支援や看取り準備において重要じゃが、やはり身体的苦痛の緩和が先。これも段階的に収集する情報じゃな。

サクラ サクラ

トータルペインという考え方は、誰が提唱したんですか?

博士 博士

イギリスのシシリー・ソンダースじゃ。近代ホスピスの創始者で、身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛を包括的にとらえる概念を打ち立てたんじゃ。

サクラ サクラ

終末期の患者さんを包括的にケアするためには、まず身体的苦痛を和らげることが他の苦痛への介入の前提になるんですね。

博士 博士

その通り。疼痛が強いままでは精神的ケアもスピリチュアルケアも受け入れられん。だから転棟時はまず疼痛コントロール情報が最優先となるんじゃ。

POINT

多発性骨転移のある終末期大腸癌患者では癌性疼痛の管理が中心課題となります。緩和ケア病棟転棟時の申し送りでは、オピオイドの種類・用量・投与経路、レスキュー使用状況、疼痛評価結果などの疼痛コントロール情報を最優先で収集します。他の情報は患者状態が安定した段階で段階的に収集し、トータルペインの視点で包括的ケアを展開します。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:多発性骨転移がある終末期の大腸癌(colon cancer)患者(53歳、女性)が、外科病棟から緩和ケア病棟に夫に付き添われ転棟してきた。 転棟時の申し送りについて、緩和ケア病棟の看護師が外科病棟の看護師から収集する情報で最も優先すべきなのはどれか。

解説:正解は 1 です。多発性骨転移を伴う終末期大腸癌患者では、癌性疼痛が最も顕著な苦痛となります。特に骨転移痛は体動時痛や安静時痛があり、オピオイドや鎮痛補助薬、放射線治療などで継続的コントロールが必要です。転棟直後のケアを途切れなく引き継ぐためには、現在使用中の鎮痛薬の種類・用量・投与経路、レスキュー薬の使用頻度、疼痛評価(NRSやFace Scale)の結果、効果と副作用の状況などを把握することが最優先となります。

選択肢考察

  1. 1.  疼痛コントロールの状況

    多発性骨転移を伴う終末期大腸癌では癌性疼痛管理が中心課題です。オピオイドの種類・用量・投与経路、レスキュー使用頻度、副作用(便秘・悪心・眠気)、疼痛の評価尺度などを途切れなく引き継ぐ必要があり、申し送り情報として最優先です。

  2. × 2.  自宅の居住環境

    在宅移行を検討する段階では重要ですが、緩和ケア病棟入棟直後の申し送りで最優先にはなりません。患者の身体状況が安定してから退院支援の一環で情報収集するのが適切です。

  3. × 3.  大腸癌(colon cancer)の術式

    術式情報はストーマ管理や腹部合併症の予測に役立つ場合もありますが、終末期の症状緩和を目的とする緩和ケア病棟では優先度は高くありません。疼痛コントロールが上位です。

  4. × 4.  夫の面会頻度

    家族支援や看取りの準備において重要な情報ですが、転棟直後の最優先事項は身体的苦痛の緩和です。家族情報は段階的に収集していきます。

終末期看護では、シシリー・ソンダースが提唱した「トータルペイン(全人的苦痛)」の概念が重要です。身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛を包括的にとらえます。特に骨転移痛は動作時痛が強く、オピオイドだけでなくNSAIDs、ステロイド、放射線照射、ビスホスホネート製剤、デノスマブなどを組み合わせます。WHO3段階除痛ラダーや持続皮下注射、PCAポンプの使用も頻出です。

終末期癌患者の緩和ケア病棟転棟時における情報収集の優先順位を、身体的苦痛緩和の視点から判断できるかを問う問題です。