ペン型インスリン自己注射の指導ポイントを押さえよう
看護師国家試験 第113回 午後 第87問 / 成人看護学 / 内部環境と内分泌系
国試問題にチャレンジ
成人の糖尿病患者(diabetes mellitus)に対するペン型インスリン自己注射の指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.「ブドウ糖を携帯してください」
- 2.「注射部位は毎回変えてください」
- 3.「注射をした後は注射部位をよくもんでください」
- 4.「針は皮膚に対して30度の角度で刺してください」
- 5.「未使用のインスリンは冷凍庫で保管してください」
対話形式の解説
博士
今日はインスリン自己注射の指導について学ぶのじゃ。
サクラ
よろしくお願いします。何から気をつければよいのでしょうか。
博士
まず押さえたいのは低血糖対策じゃ。食事量が少なかったり運動量が多いと血糖が下がりすぎるからのう。
サクラ
なるほど、だからブドウ糖を携帯してもらうのですね。
博士
そのとおり。意識があるうちに素早く補給できることが大事じゃ。
サクラ
次に部位のローテーションですが、なぜ必要なのですか。
博士
同じ場所ばかりに打つと皮下が硬くなってな、インスリンが効きにくくなるのじゃ。リポハイパートロフィーというぞ。
サクラ
毎回少しずつずらすのですね。覚えました。
博士
注射後に揉むのも禁物じゃ。吸収が早まって低血糖を招くでな。
サクラ
角度はどうでしょう。30度と書いてあったのですが。
博士
成人では90度の垂直刺しが基本じゃ。ペン針は短いからのう。
サクラ
保管は冷蔵庫、冷凍庫ではダメなのですね。
博士
凍るとインスリンが変性してしまう。2〜8℃が鉄則じゃ。
POINT
本問ではインスリン自己注射の基本指導として、低血糖時のブドウ糖携帯と注射部位ローテーションが正解となります。注射後は揉まない、針は垂直に刺入する、未使用品は冷蔵保管するといった細かい指導もあわせて覚えておきましょう。低血糖症状の早期対処とシックデイ時の対応も実臨床では必須です。安全にインスリン治療を継続できるよう、看護師は患者の生活背景にあわせた具体的な助言を行うことが重要です。
解答・解説
正解は 1 ・ 2 です
問題文:成人の糖尿病患者(diabetes mellitus)に対するペン型インスリン自己注射の指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は1と2です。インスリン自己注射では低血糖に備えたブドウ糖の携帯と、皮下組織の硬結(リポハイパートロフィー)を防ぐための注射部位のローテーションが基本指導となります。
選択肢考察
-
○ 1. 「ブドウ糖を携帯してください」
食事量の減少や運動量の増加、単位誤認などでインスリン過剰状態となると低血糖を起こし得ます。意識があるうちに速やかに糖を摂取できるよう、吸収が早いブドウ糖(またはブドウ糖含有飲料)を常時携帯させる指導が必要です。
-
○ 2. 「注射部位は毎回変えてください」
同一部位への反復注射は皮下の硬結や脂肪肥厚を生じ、インスリン吸収が不安定になり血糖コントロールが乱れます。腹壁・大腿前外側・上腕外側・殿部などを使い分け、前回の刺入点から2〜3cmずらすよう指導します。
-
× 3. 「注射をした後は注射部位をよくもんでください」
揉むと血流が増加し吸収速度が早まるため、作用発現時間が前倒しとなり低血糖を誘発します。注射後は押さえる程度にとどめ、揉まないよう伝えます。
-
× 4. 「針は皮膚に対して30度の角度で刺してください」
現在普及しているペン型針は4〜8mmと短く、成人では皮膚に対して垂直(90度)に刺入するのが標準です。皮下脂肪が極端に薄い痩せ型や小児に限り、つまみ上げて斜め刺しを検討します。
-
× 5. 「未使用のインスリンは冷凍庫で保管してください」
インスリン製剤は蛋白質であり凍結で変性し効力を失います。未使用品は2〜8℃の冷蔵庫で保管し、使用開始後は直射日光・高温を避け室温で1か月程度を目安に使い切ります。
低血糖症状(冷汗・動悸・手指振戦・空腹感)を覚え、早期にブドウ糖10g程度を摂取するよう教育します。シックデイ対応、単位確認のダブルチェック、空打ちによる針詰まり確認もあわせて指導します。
インスリン自己注射指導の基本項目(低血糖対策・部位ローテーション・揉まない・垂直刺入・冷蔵保管)を正しく整理できているかを問う設問です。
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