StudyNurse

鼓膜が破れたらなぜ聞こえにくい?伝音性難聴の仕組みを徹底整理

看護師国家試験 第114回 午後 第51問 / 成人看護学 / 感覚器・運動器系

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第51問

伝音性難聴について正しいのはどれか。

  1. 1.加齢で増悪する。
  2. 2.鼓膜穿孔は原因となる。
  3. 3.内耳から中枢側の障害で発生する。
  4. 4.アミノグリコシド系抗菌薬が原因である。

対話形式の解説

博士 博士

今日は伝音性難聴の話じゃ。音が耳に届いて脳で「聞こえた」と感じるまでの経路を意識するのが攻略のカギじゃよ。

サクラ サクラ

外耳から鼓膜、耳小骨、内耳の蝸牛、そして聴神経から脳ですよね。

博士 博士

その通り。この経路のうち、外耳と中耳の「音を機械的に伝える部分」が壊れて起こるのが伝音性難聴。一方、内耳より奥の「音を感じ取って脳へ送る部分」の障害は感音性難聴と呼ぶのじゃ。

サクラ サクラ

じゃあ鼓膜が破れる「鼓膜穿孔」はどっちですか?

博士 博士

鼓膜は外耳と中耳の境界にある膜じゃから、ここに孔があくと音圧が耳小骨にうまく伝わらなくなる。だから伝音性難聴に分類されるのじゃよ。

サクラ サクラ

慢性中耳炎で繰り返し炎症があると鼓膜が薄くなって穴があくと習いました。

博士 博士

うむ、外傷や急激な気圧変化、平手打ちでも穿孔は起きる。耳垢塞栓や耳硬化症も外耳・中耳の問題じゃから、これらも伝音性難聴の原因になるぞ。

サクラ サクラ

逆に加齢でだんだん耳が遠くなるのは…?

博士 博士

あれは内耳の有毛細胞が加齢で減ってしまう加齢性難聴で、感音性難聴の代表例じゃ。高音域から聞こえにくくなる特徴がある。

サクラ サクラ

ストマイやゲンタマイシンなどのアミノグリコシド系も難聴を起こすと聞きますが、これは?

博士 博士

あれも内耳の有毛細胞を傷害する薬剤性の感音性難聴じゃ。だから選択肢4は伝音性ではなく感音性の説明になる。

サクラ サクラ

見分け方ってあるんですか?

博士 博士

オージオグラムで気導と骨導の差(air-bone gap)を見るのじゃ。伝音性は骨導正常で気導だけ低下、感音性は両方低下する。混合性難聴ではその両方が出るぞ。

サクラ サクラ

治療面でも違いはありますか?

博士 博士

伝音性は耳垢除去や鼓膜形成術、耳小骨再建術などで聴力が戻る可能性があるが、感音性は基本的に元に戻らず、補聴器や人工内耳でカバーする。だからこそ早期発見が大事なのじゃ。

サクラ サクラ

「伝音は治せる、感音は守る」と覚えるとわかりやすいですね。

POINT

伝音性難聴は外耳道・鼓膜・耳小骨など音を機械的に伝える部位の障害で生じる難聴であり、鼓膜穿孔・耳垢塞栓・滲出性中耳炎・耳硬化症などが代表的な原因となります。一方、加齢性難聴やアミノグリコシド系抗菌薬による薬剤性難聴、内耳から中枢側の障害は感音性難聴に分類され、両者は障害部位だけでなく治療の方向性も大きく異なります。鑑別にはオージオグラムでの気導と骨導の差を確認することが基本で、伝音性では骨導が保たれるのが特徴です。看護では難聴の種類に応じてコミュニケーション方法や生活指導を工夫し、特に高齢者では加齢性難聴を背景に持つ患者が多いことを念頭に置く必要があります。難聴の分類は国家試験でも頻出であり、原因疾患と障害部位をセットで整理しておくことが得点につながります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:伝音性難聴について正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。伝音性難聴は、音を機械的に伝える経路である外耳道・鼓膜・耳小骨(中耳)のいずれかに障害が生じることで、音そのものが内耳まで十分に伝わらなくなる難聴である。鼓膜穿孔は、慢性中耳炎・外傷・気圧変化などにより鼓膜に孔が開く病態で、音圧を効率よく耳小骨へ伝えられなくなるため伝音性難聴の代表的な原因となる。耳垢塞栓・滲出性中耳炎・耳硬化症なども同じ機序で伝音性難聴を起こし、原因の除去や手術により聴力の回復が期待できる点が特徴である。

選択肢考察

  1. × 1.  加齢で増悪する。

    加齢に伴って進行するのは内耳の有毛細胞や聴神経の変性による加齢性難聴で、これは感音性難聴に分類される。伝音性難聴の主因は外耳・中耳の器質的異常であり、加齢が直接的な原因とはならない。

  2. 2.  鼓膜穿孔は原因となる。

    鼓膜が破れると振動エネルギーが耳小骨に効率よく伝わらず音圧損失が生じる。慢性中耳炎や外傷性穿孔は伝音性難聴の典型的な原因疾患である。

  3. × 3.  内耳から中枢側の障害で発生する。

    内耳(蝸牛)・聴神経・脳幹・大脳の聴覚路の障害は、音の感受や信号変換・伝達の障害であり感音性難聴に該当する。伝音性難聴は音を「伝える」外耳・中耳の障害で起こる。

  4. × 4.  アミノグリコシド系抗菌薬が原因である。

    ストレプトマイシンやゲンタマイシンなどのアミノグリコシド系抗菌薬は内耳の有毛細胞を傷害し、薬剤性の感音性難聴を起こす。伝音性難聴の原因ではない。

難聴は障害部位により伝音性・感音性・混合性に分類される。鑑別にはオージオグラムでの気導・骨導差(air-bone gap)が有用で、伝音性難聴では骨導は正常で気導のみ低下する。一方、感音性難聴では気導・骨導ともに低下し、両者の混合では両方の所見を呈する。伝音性難聴は耳垢除去・鼓膜形成術・耳小骨再建術などで聴力改善が見込めるが、感音性難聴は補聴器や人工内耳など代償的アプローチが中心となる点が臨床上の重要な違いである。

難聴を伝音性と感音性に正しく分類し、それぞれの原因疾患・部位を区別できるかを問う問題。鼓膜穿孔は外耳と中耳の境界の障害であり、伝音性難聴の代表例として押さえる。