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在宅での膀胱留置カテーテル管理 ― 外出前に尿を廃棄する理由

看護師国家試験 第112回 午後 第65問 / 地域・在宅看護論 / 在宅療養生活を支える看護

国試問題にチャレンジ

112回 午後 第65問

Aさん(70歳、男性)は神経因性膀胱(neurogenic bladder)のため、膀胱留置カテーテルを挿入し在宅療養を開始することになった。 Aさんが行う膀胱留置カテーテルの管理で適切なのはどれか。

  1. 1.外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄する。
  2. 2.カテーテルは大腿の内側に固定する。
  3. 3.蓄尿バッグに遮光カバーをかぶせる。
  4. 4.カテーテルと蓄尿バッグの接続は外さない。

対話形式の解説

博士 博士

今回はAさん70歳男性、神経因性膀胱で膀胱留置カテーテルを入れて在宅療養を始める場面じゃ。

サクラ サクラ

留置カテーテルって尿路感染が一番心配ですよね。

博士 博士

その通り。カテーテル関連尿路感染、CAUTIと呼ばれる。在宅管理の原則は『閉鎖式を保つ』『バッグは膀胱より低く』『逆流させない』じゃ。

サクラ サクラ

正解はどれですか?

博士 博士

1番『外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄する』じゃ。理由は2つある。1つはバッグが重くなって動作制限や転倒リスクが増えるため、もう1つは外出先での廃棄は清潔操作が難しく感染リスクが高いためじゃ。

サクラ サクラ

2番『大腿の内側に固定』はダメなんですか?

博士 博士

それは女性の固定方法じゃ。男性の場合、陰茎を下に向けて固定すると陰嚢と陰茎の角(尿道陰嚢角)がカテーテルで圧迫され、尿道皮膚瘻や尿道損傷を起こすことがある。

サクラ サクラ

男性はどう固定するんですか?

博士 博士

陰茎を頭側(上向き)にして下腹部へ固定するのが基本じゃ。ここは国試頻出ポイントじゃよ。

サクラ サクラ

3番『遮光カバー』はどうですか?

博士 博士

医学的な遮光は不要じゃ。遮光が必要なのは一部の光分解性薬剤の点滴など。カバーは羞恥心への配慮として使われることはあるが義務ではない。

サクラ サクラ

4番の『接続を外さない』は一見正しそう…。

博士 博士

閉鎖式システムの維持は大事じゃが、外出時にレッグバッグに付け替えたり、尿を捨てる際に接続を外す場面は実際に生じる。その際に清潔操作を徹底するのが正解で、『絶対に外さない』は現実的ではない。

サクラ サクラ

尿の廃棄って、どれくらいの頻度でやるものですか?

博士 博士

バッグが1/2〜2/3溜まったら廃棄するのが目安じゃ。溜めすぎはバッグが重くなるし、逆流リスクも上がる。

サクラ サクラ

水分摂取量はどのくらいがいいんですか?

博士 博士

1500mL/日程度を目安に、尿量を確保することが結石や感染予防に有効じゃ。ただし心不全や腎不全などで制限がある場合は指示に従う必要がある。

サクラ サクラ

留置の長さも男女で違いましたよね。

博士 博士

うむ。男性は18〜20cm、女性は5〜6cmが目安じゃ。バルーンの位置が適切でないと膀胱粘膜損傷を起こすため、挿入長は重要じゃよ。

POINT

在宅で膀胱留置カテーテルを管理するAさんへの指導では、外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄することが最も適切です。これはバッグの重量を軽減し、外出先での不衛生な廃棄操作を避けることで、逆行性尿路感染(CAUTI)の予防とQOLの維持を同時に図る行動です。男性のカテーテル固定は陰茎を上向きにして下腹部に、女性は大腿内側へ固定し、バッグは常に膀胱より低く保ち、閉鎖式を維持することが基本です。清潔操作・水分摂取・定期的な廃棄といったセルフマネジメントを丁寧に指導することが、在宅看護師の役割となります。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:Aさん(70歳、男性)は神経因性膀胱(neurogenic bladder)のため、膀胱留置カテーテルを挿入し在宅療養を開始することになった。 Aさんが行う膀胱留置カテーテルの管理で適切なのはどれか。

解説:正解は 1 です。外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄しておくことで、バッグの重量を軽くして歩行・動作の負担を減らし、尿の逆流による逆行性尿路感染のリスクも低減できる。また外出先での廃棄操作は衛生確保が難しいため、自宅で清潔操作により廃棄しておくことが在宅自己管理のポイントとなる。

選択肢考察

  1. 1.  外出前に蓄尿バッグの尿を廃棄する。

    蓄尿バッグに尿が溜まった状態では重くなり動作が制限され、バッグが膀胱より高くなると尿の逆流が起こりやすい。外出前の廃棄はQOL維持と感染予防の両面で適切。

  2. × 2.  カテーテルは大腿の内側に固定する。

    大腿内側への固定は女性の固定法。男性は陰茎を頭側(上方)に向けて下腹部に固定することで、尿道陰嚢角への圧迫を避け、尿道皮膚瘻や尿道損傷を予防する。

  3. × 3.  蓄尿バッグに遮光カバーをかぶせる。

    膀胱留置カテーテルの蓄尿バッグに医学的な遮光の必要はない(遮光が必要なのは一部の光分解性薬剤の輸液など)。外出時の羞恥心への配慮でカバーを使うことはあるが義務ではない。

  4. × 4.  カテーテルと蓄尿バッグの接続は外さない。

    在宅では外出時に小型のレッグバッグへ付け替えたり、尿を廃棄するために接続を外す場面が生じる。接続部からの感染を避けるため清潔操作を指導するが、『絶対に外さない』は誤り。

カテーテル関連尿路感染(CAUTI)を予防する在宅管理のポイントは、①手指衛生、②蓄尿バッグを膀胱より低く保つ、③ループ状にたるませない、④定期的な廃棄(1/2〜2/3溜まったら)、⑤水分摂取1500mL/日程度、⑥カテーテルは牽引されないよう固定、⑦閉鎖式システムの維持、である。男性は陰茎を下腹部に固定し尿道陰嚢角を保護、女性は大腿内側に固定するのが基本。留置カテーテル挿入長は男性で約18〜20cm、女性で約5〜6cmが目安。

在宅での膀胱留置カテーテル自己管理の要点を問う問題。QOL維持と逆行性尿路感染予防という2つの視点から妥当な行動を選ぶ。