静脈血採血の正しい手技を押さえよう
看護師国家試験 第111回 午前 第21問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
成人の静脈血採血で適切なのはどれか。
- 1.採血部位から2、3cm中枢側に駆血帯を巻く。
- 2.血管の走行に合わせ60度の角度で刺入する。
- 3.採血後は刺入部位を圧迫しながら抜針する。
- 4.刺入部位は5分以上圧迫し、止血する。
対話形式の解説
博士
今日は成人の静脈血採血についてじゃ。採血は看護師が最も頻繁に行う手技のひとつで、手順の一つひとつに根拠があるぞい。
サクラ
博士、採血って駆血帯を巻く場所から刺入角度、止血までポイントが多くて混乱します。
博士
そうじゃな、基本を一つずつ押さえよう。この問題の正解は4で、刺入部位は5分以上圧迫して止血する、が正しいのじゃ。
サクラ
3〜5分の圧迫でしたよね。なぜそんなに長く押さえるんですか?
博士
静脈とはいえ内腔には血圧がかかっておるから、短時間だと皮下に血が漏れて内出血や皮下血腫を起こしてしまうからじゃ。抗凝固薬を飲んでおる患者ではさらに長く押さえる必要があるぞい。
サクラ
選択肢1の「採血部位から2、3cm中枢側に駆血帯を巻く」は間違いですよね?
博士
そのとおり。駆血帯は穿刺部位から7〜10cm中枢側に巻くのが正解じゃ。近すぎると穿刺の邪魔になるし、静脈の怒張も十分得られん。
サクラ
選択肢2の「60度の角度で刺入」はどうでしょう?深すぎる気がします。
博士
その感覚は正しいぞい。静脈採血の穿刺角度は15〜20度が適切じゃ。60度も立てると血管を貫通したり、深部の動脈や神経を傷つける危険があるのじゃ。ちなみに筋肉内注射は45〜90度、皮下注射は10〜30度と手技ごとに違うから区別が必要じゃよ。
サクラ
選択肢3の「圧迫しながら抜針」も違うんですね。
博士
圧迫したまま針を抜くと、針先が血管壁や皮膚を傷つけて痛みや血管損傷の原因になる。だから抜針してから圧迫するのが鉄則じゃ。
サクラ
なるほど、順序が大事なんですね。揉んじゃダメというのもよく聞きます。
博士
そうじゃ、揉むと凝固し始めた血栓が崩れて逆に出血が続いてしまう。垂直方向に押さえ続けるのがコツじゃよ。真空採血管を使う時は、逆流防止のため駆血帯を先に外してから抜針する点も忘れずにな。
サクラ
患者さんが痛みやしびれを訴えたら?
博士
神経損傷のサインじゃから直ちに針を抜き、医師に報告するのじゃ。安全な採血のためには患者の訴えを見逃さない観察力も大切じゃぞ。
POINT
成人の静脈血採血では駆血帯を穿刺部位の7〜10cm中枢側に巻き、15〜20度の角度で刺入します。抜針は圧迫せずに行い、抜いた後に3〜5分以上揉まずに圧迫止血することで皮下血腫を予防します。抗凝固薬内服中の患者や出血傾向がある場合はさらに長時間の圧迫が必要です。正解は4で、穿刺後の確実な止血が合併症予防の鍵となります。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:成人の静脈血採血で適切なのはどれか。
解説:正解は 4 です。静脈血採血では、穿刺後の止血不十分による皮下血腫や内出血を防ぐため、抜針後に刺入部位を3〜5分以上しっかりと圧迫して止血することが推奨されます。抗凝固薬(ワルファリンやDOACなど)を内服している患者や出血傾向のある患者では、より長時間の圧迫止血が必要となります。揉まずに、垂直方向に圧をかけ続けることがポイントです。
選択肢考察
-
× 1. 採血部位から2、3cm中枢側に駆血帯を巻く。
駆血帯は穿刺部位から約7〜10cm中枢側に巻きます。2〜3cmでは穿刺操作の妨げとなり、十分な静脈怒張も得られません。
-
× 2. 血管の走行に合わせ60度の角度で刺入する。
静脈血採血の穿刺角度は15〜20度が適切です。60度では血管を貫通したり、深部の神経や動脈を損傷する危険があります。
-
× 3. 採血後は刺入部位を圧迫しながら抜針する。
圧迫しながら抜針すると針先が血管壁や皮膚を傷つけ、痛みや血管損傷の原因となります。抜針後に圧迫するのが正しい手順です。
-
○ 4. 刺入部位は5分以上圧迫し、止血する。
静脈穿刺後は3〜5分以上の圧迫止血が必要です。揉まずに垂直方向に押さえ、皮下血腫や内出血を予防します。
採血時は真空採血管使用時に逆流防止のため駆血帯を先に外し、抗凝固薬内服患者ではさらに長く圧迫します。神経損傷を避けるため、患者が痛みやしびれを訴えた場合は直ちに針を抜くことも重要です。
静脈血採血の基本手技(駆血帯の位置、穿刺角度、抜針・圧迫止血の順序と時間)を問う問題です。
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