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点滴の極意—80cmの高さと「関節を避ける」という基本

看護師国家試験 第114回 午前 第23問 / 必修問題 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第23問

成人の持続点滴静脈内注射の方法で適切なのはどれか。

  1. 1.点滴筒には1/5の薬液を満たす。
  2. 2.刺入部が見えないように固定する。
  3. 3.刺入部は関節などの活動を妨げる部位を避ける。
  4. 4.液面が刺入部から30cmの高さになるように輸液バッグをかける。

対話形式の解説

博士 博士

今日は持続点滴静脈内注射の基本手技について整理するぞ。臨床で最も頻度の高い処置じゃから、確実に押さえたい。

サクラ サクラ

点滴の管理ってよく見ますけど、覚えるポイントが多くて混乱します。

博士 博士

安心せい。数値と原則を整理すれば難しくないぞ。まず穿刺部位はどこを選ぶ?

サクラ サクラ

血管が見えるところ…手の甲とか腕とかですか?

博士 博士

その通り。基本は前腕→手背→上腕の順で、関節付近は避けるのが原則じゃ。理由は何だと思う?

サクラ サクラ

関節を曲げると針が外れちゃうから?

博士 博士

正解!関節を動かすたびに滴下が止まったり、血管外漏出が起きたり、最悪抜けてしまう。患者さんも腕が動かせず苦痛じゃ。

サクラ サクラ

だから問題3が正解なんですね。次に点滴筒の薬液量はどのくらいが適切ですか?

博士 博士

点滴筒は1/2〜1/3程度満たすのが標準じゃ。1/5だと少なすぎて滴下が見えにくく、空気混入も防げない。

サクラ サクラ

輸液バッグの高さはどうですか?

博士 博士

刺入部から80〜100cmが目安じゃ。落差で薬液が流れる仕組みなので、30cmでは不足。逆に高すぎても急速滴下のリスクがある。

サクラ サクラ

刺入部の固定方法は?

博士 博士

透明フィルムドレッシング材で覆い、刺入部が常に見えるようにする。発赤・腫脹・漏出を早期発見するためじゃ。

サクラ サクラ

見えないように固定したほうが衛生的に思えますが、観察できることが優先なんですね。

博士 博士

その通り。さらに、輸液中は滴下数の確認、患者の痛み・腫脹の訴え、ルート内空気の有無を定期的にチェックするのじゃ。

サクラ サクラ

禁忌の部位はありますか?

博士 博士

シャント側、乳がん術後の側、麻痺側は避けるのが鉄則じゃ。これは血流障害やリンパ浮腫を悪化させるからな。

サクラ サクラ

数字と原則をセットで覚えると整理しやすいですね。

POINT

成人の持続点滴静脈内注射では、刺入部は関節付近を避け、前腕や手背の血管を選択するのが基本です。点滴筒は1/2〜1/3、輸液バッグは刺入部から80〜100cmの高さ、刺入部は透明フィルムで可視化という3つの数値と原則をセットで押さえましょう。観察項目は滴下速度、ルート内空気、刺入部の発赤・腫脹・漏出、患者の訴えです。シャント側・乳がん術後側・麻痺側は禁忌部位として暗記しておく必要があり、安全で安楽な輸液管理は看護の基本技術として国試・臨床ともに最重要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:成人の持続点滴静脈内注射の方法で適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。持続点滴静脈内注射では、関節付近に穿刺すると屈曲・伸展に伴い滴下不良、血管外漏出、針の抜去、患者の苦痛などが生じやすい。そのため、刺入部は手関節や肘関節などを避け、前腕や手背の血管を選択するのが基本である。やむを得ず関節付近に留置した場合はシーネで固定する必要がある。

選択肢考察

  1. × 1.  点滴筒には1/5の薬液を満たす。

    点滴筒の薬液量は1/2〜1/3程度が適切。1/5では量が少なすぎて滴下確認やルート内への空気混入防止が不十分となる。

  2. × 2.  刺入部が見えないように固定する。

    刺入部は発赤・腫脹・漏出などの異常を早期に発見するため、透明フィルムドレッシング材で常に観察可能な状態に固定するのが原則。

  3. 3.  刺入部は関節などの活動を妨げる部位を避ける。

    関節付近では屈曲時に滴下不良や血管外漏出、抜去のリスクが高まり、患者のADLも制限される。前腕や手背の血管を選び、安楽と安全を両立させる。

  4. × 4.  液面が刺入部から30cmの高さになるように輸液バッグをかける。

    輸液バッグは刺入部から80〜100cm程度の高さに吊るす。30cmでは落差が不足し滴下が遅延するうえ、空気混入やサイフォニング現象の予防にも不適切。

持続点滴の管理では、滴下数の計算、ルート内空気の有無、刺入部の感染徴候(発赤・熱感・腫脹・疼痛)、薬液の漏出(点滴部位の腫脹や患者の痛み)の観察が看護のポイント。穿刺部位の選択順位は一般に「前腕→手背→上腕」で、利き手や関節は避け、シャント側・乳房切除側・麻痺側は禁忌。輸液バッグの高さ80〜100cm、点滴筒の薬液1/2〜1/3、刺入部は透明フィルムで可視化、という3つの数値・原則をセットで覚えるとよい。

成人の末梢静脈持続点滴の基本手技を問う問題。穿刺部位の選択原則がポイント。