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大腸の仕事は『水を吸って便を作る』——栄養素吸収との分業を整理

看護師国家試験 第109回 午後 第11問 / 必修問題 / 人体の構造と機能

国試問題にチャレンジ

109回 午後 第11問

大腸で吸収されるのはどれか。

  1. 1.脂質
  2. 2.水分
  3. 3.糖質
  4. 4.蛋白質

対話形式の解説

博士 博士

今日は消化管の部位ごとの役割を整理するぞ。大腸で吸収されるものは何か、即答できるかの?

サクラ サクラ

えーと、栄養吸収は小腸のイメージが強いですけど、大腸はあまり思い浮かびません…。

博士 博士

そう、まさにそこが狙いじゃ。糖質・脂質・蛋白質の三大栄養素はほぼ100%小腸で吸収される。大腸が担うのは主に水分と電解質の吸収じゃ。

サクラ サクラ

じゃあ正解は『水分』ですね。でも、どうして栄養は小腸、水は大腸って分業になっているんですか?

博士 博士

小腸には絨毛と微絨毛があって吸収面積が極めて大きく、長さも約6〜7mある。栄養素の吸収に最適化されておるのじゃ。大腸は絨毛を持たず、かわりにNa⁺ポンプが強く働いて水と電解質を引き込む構造になっておる。

サクラ サクラ

なるほど、構造から役割が決まっているんですね。ちなみに水分ってどれくらい吸収されるんですか?

博士 博士

1日に回盲弁を通過する液体は約1.5〜2L。そのうち90%以上が大腸で再吸収され、最終的に便として出る水分は100〜200mL程度じゃ。

サクラ サクラ

すごい再吸収率ですね!だから下痢になると一気に脱水になるんだ…。

博士 博士

その通り。腸液にはカリウムも豊富だから、下痢が続けば低カリウム血症にもなりやすい。看護では水分出納の管理が重要じゃな。

サクラ サクラ

逆に水を吸いすぎると便秘になるんですよね?

博士 博士

うむ、高齢者や長期臥床の患者では腸蠕動が低下して内容物の滞留時間が延び、水分が吸収されすぎてコロコロ便になる。ブリストルスケールで1〜2型にあたるぞ。

サクラ サクラ

大腸にはビタミンも吸収する働きがあるって聞いたことがあります。

博士 博士

よく知っておるな。腸内細菌が産生するビタミンKやビタミンB群の一部を大腸から吸収できる。抗菌薬の長期使用で菌叢が乱れるとビタミンK欠乏性の出血傾向が起こりうる。

サクラ サクラ

部位ごとの役割を押さえると、症状の理由までつながって理解しやすいですね。

博士 博士

まさにその視点が臨床では大切じゃ。解剖生理は単なる暗記ではなく、症状の根拠を考える土台になるのじゃよ。

POINT

大腸は水分と電解質を吸収して内容物を固形化し便を形成する器官であり、糖質・脂質・蛋白質といった主要栄養素の吸収はすべて小腸が担うという明確な分業があります。1日に回盲弁を通過する液体のうち90%以上が大腸で再吸収されるため、下痢では急速に脱水や低カリウム血症を招きやすく、逆に腸蠕動低下で滞留時間が延びれば便秘となります。大腸はまた腸内細菌が産生するビタミンK・B群の一部も吸収しており、抗菌薬長期投与による菌叢異常は出血傾向のリスクとなります。この基本を押さえることで、排便ケアや水電解質管理、栄養アセスメントの臨床判断に直結する土台が身につきます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:大腸で吸収されるのはどれか。

解説:正解は 2 です。消化管の役割は部位ごとに分業されており、三大栄養素である糖質・脂質・蛋白質の吸収はほぼ全てが小腸で行われる。大腸(盲腸・結腸・直腸)に送られてくる内容物は水分を多く含む半液状であり、大腸粘膜はここから水分と電解質(特にナトリウムやクロール)を再吸収することで内容物を固形の便へと形づくる。ゆえに大腸で吸収される代表的な物質は「水分」である。

選択肢考察

  1. × 1.  脂質

    脂質は胆汁で乳化された後、膵リパーゼによって脂肪酸とモノグリセリドに分解され、小腸(主に空腸)の絨毛上皮細胞から吸収されてカイロミクロンの形でリンパ管に入る。大腸では吸収されない。

  2. 2.  水分

    大腸の主要な機能は水分と電解質の吸収である。1日に回盲部を通過する腸内容のうち大部分の水分が結腸で再吸収され、便として排出される水分は100〜200mL程度まで減る。この吸収能が低下すると下痢となる。

  3. × 3.  糖質

    糖質はアミラーゼや二糖類分解酵素によってグルコース・フルクトース・ガラクトースなどの単糖まで消化され、小腸上皮からナトリウム共輸送体や促進拡散によって吸収される。大腸では吸収されない。

  4. × 4.  蛋白質

    蛋白質は胃のペプシン、膵臓のトリプシン・キモトリプシンなどで分解され、最終的にアミノ酸やジ・トリペプチドとして小腸上皮から吸収される。大腸での吸収はない。

大腸はビタミンK・B群など腸内細菌が産生する一部のビタミンを吸収する働きもあり、抗菌薬の長期投与で腸内細菌叢が乱れるとビタミンK欠乏による出血傾向が問題になる。また、水分吸収が過剰に進めば便秘、不十分ならば下痢となるため、排便ケアを考える際には大腸の吸収機能を常に意識したい。

消化管の部位別役割を整理する問題で、三大栄養素は小腸、水・電解質は大腸で吸収されるという分業を押さえることがポイント。