低体温から回復する生体反応
看護師国家試験 第111回 午後 第15問 / 必修問題 / 人体の構造と機能
国試問題にチャレンジ
低体温から回復するための生体の反応はどれか。
- 1.発汗
- 2.ふるえ
- 3.乳酸の蓄積
- 4.体表面への血流増加
対話形式の解説
博士
今日は体温調節を学ぶぞ。低体温から回復するための生体反応はどれじゃ?
サクラ
ふるえですよね。寒いとき震えるのは体温を上げるためって聞きました。
博士
正解は2のふるえじゃ。骨格筋を不随意的に細かく収縮させることで、熱産生を高めて体温を上げるんじゃ。
サクラ
ふるえってどうして熱を生むんですか?
博士
骨格筋が収縮するときに消費するATPのエネルギーは、仕事をほとんどしない不随意収縮ではほぼすべて熱として放出されるんじゃ。動筋と拮抗筋が同時に収縮するので、関節運動は起きず熱だけが産生されるぞ。
サクラ
1の発汗は違うんですか?
博士
発汗は熱を下げる反応じゃ。汗が蒸発するときに気化熱を奪うことで熱放散が起こる。高体温時に働く反応であり、低体温時にはむしろ抑制される。
サクラ
3の乳酸の蓄積はどうですか?
博士
乳酸は嫌気性代謝で生じる疲労物質じゃ。激しい運動で筋肉に酸素が不足すると蓄積するが、体温調節とは直接の関係はないぞ。
サクラ
4の体表面への血流増加は?
博士
これも熱放散の反応じゃ。皮膚血管が拡張して体表面に血流が増えると、輻射や伝導・対流で熱が外へ逃げていく。体温を下げる反応だから低体温時には逆に皮膚血管が収縮する。
サクラ
体温調節中枢はどこにあるんでしたっけ?
博士
視床下部じゃ。設定温度セットポイントと比較して、体温が低ければ熱産生増・熱放散減、高ければその逆の指令を出すんじゃよ。
サクラ
熱産生にはふるえ以外にもありますか?
博士
あるぞ。褐色脂肪組織のUCP1による非ふるえ熱産生や、甲状腺ホルモンによる基礎代謝の亢進、交感神経による代謝亢進などがある。
サクラ
新生児は特に褐色脂肪組織が多いって聞きました。
博士
その通り。新生児はふるえの機構が未熟なので、肩甲骨間などの褐色脂肪組織で非ふるえ熱産生を行うんじゃ。
サクラ
低体温時の皮膚反応としては鳥肌もありますよね。
博士
よく覚えておるな。立毛筋が収縮することで鳥肌が立ち、皮膚表面に空気の層を作って熱放散を減らそうとする反応じゃ。哺乳類としての名残でもあるぞ。
POINT
本問は体温調節における熱産生反応を問う必修問題です。低体温時には熱産生を増やし熱放散を減らす方向に体が働き、代表的な熱産生反応が骨格筋の不随意収縮によるふるえです。発汗と体表面への血流増加は熱放散を促進して体温を下げる反応であり、乳酸の蓄積は筋疲労の産物で体温調節とは無関係です。視床下部を中心とした熱産生と熱放散のバランスを理解することがポイントとなります。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:低体温から回復するための生体の反応はどれか。
解説:正解は 2 です。体温は視床下部の体温調節中枢によって、熱産生と熱放散のバランスで一定に保たれています。低体温になった場合、生体は熱放散を減らし熱産生を増やす方向に働きます。熱産生の代表的な機構が骨格筋の不随意収縮であるふるえで、これは動筋と拮抗筋が同時に収縮することで、筋収縮に使われたATPがほぼすべて熱エネルギーに変換されて体温上昇に寄与します。
選択肢考察
-
× 1. 発汗
発汗は汗の気化熱によって熱を放散し体温を下げる反応で、高体温時の熱放散機構です。低体温時にはむしろ抑制されます。
-
○ 2. ふるえ
ふるえは寒冷刺激によって誘発される骨格筋の不随意収縮で、筋収縮のエネルギーを熱として産生し体温を上昇させる代表的な熱産生反応です。
-
× 3. 乳酸の蓄積
乳酸は嫌気性代謝の産物で、激しい運動時などに筋肉に蓄積する疲労物質です。体温調節との直接的な関連はありません。
-
× 4. 体表面への血流増加
体表面への血流増加は皮膚血管の拡張によって熱放散を促進する反応で、体温を下げる方向に働きます。低体温時には逆に皮膚血管が収縮します。
熱産生には骨格筋のふるえに加え、褐色脂肪組織の脱共役タンパク質UCP1による非ふるえ熱産生、甲状腺ホルモンによる代謝亢進などがあります。熱放散は輻射・伝導・対流による非蒸発性熱放散と、発汗や不感蒸泄による蒸発性熱放散があり、低体温時にはこれらを抑制するため皮膚血管が収縮し、立毛筋も収縮して鳥肌が立ちます。
熱産生と熱放散の機序を理解し、低体温時に働く生体反応を選別できるかを問う問題です。
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