触覚はなぜ『体性感覚』?—感覚分類を一気に整理
看護師国家試験 第112回 午前 第10問 / 必修問題 / 人体の構造と機能
国試問題にチャレンジ
体性感覚はどれか。
- 1.視覚
- 2.触覚
- 3.聴覚
- 4.平衡覚
対話形式の解説
博士
今回は人体の感覚の分類を問う基本問題じゃ。『体性感覚』という言葉を聞いたら、まず3分類を思い出すのじゃぞ。
アユム
感覚って、どう分類されるんですか?
博士
大きく3つじゃ。①特殊感覚、②体性感覚、③内臓感覚。
アユム
特殊感覚には何が含まれますか?
博士
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・平衡覚の5つじゃ。専用の受容器(網膜・内耳・鼻粘膜・味蕾・前庭)があり、頭部に集中しておる。
アユム
体性感覚は?
博士
皮膚感覚(表在感覚)と深部感覚に分けられる。皮膚感覚は触覚・圧覚・温覚・冷覚・痛覚、深部感覚は位置覚・運動覚・振動覚などじゃ。
アユム
内臓感覚は?
博士
内臓由来の感覚で、空腹感、口渇感、尿意・便意、嘔気、内臓痛覚などじゃ。
アユム
それで正解は触覚、ですね。
博士
その通り。選択肢の視覚・聴覚・平衡覚は全て特殊感覚じゃ。
アユム
触覚はどんな受容器が働くんですか?
博士
皮膚の機械受容器じゃ。マイスナー小体は軽い触覚、メルケル盤は持続的な圧覚、パチニ小体は振動、ルフィニ小体は持続的な伸張を感知する。
アユム
伝導路はどうなっていますか?
博士
2系統ある。精細な触覚・振動・位置覚は後索-内側毛帯路、粗大な触覚・痛覚・温度覚は脊髄視床路じゃ。どちらも最終的には対側の一次体性感覚野(中心後回)に到達する。
アユム
対側、というのがポイントですね。
博士
そう。交叉の位置が違う(後索路は延髄、脊髄視床路は脊髄レベル)のじゃ。脳卒中や脊髄損傷の症状解釈に直結する重要ポイントじゃ。
アユム
ペンフィールドのホムンクルスって聞いたことがあります。
博士
一次体性感覚野には身体部位が地図のように配置されておる。手・顔・唇の領域が極端に広く描かれる図じゃな。感覚鋭敏な部位ほど皮質が大きく割り当てられておる。
アユム
深部感覚が障害されるとどうなりますか?
博士
位置覚障害ではRomberg試験陽性、運動失調が起きる。糖尿病性神経障害や脊髄後索障害(ビタミンB12欠乏など)で見られる。
アユム
看護アセスメントで大事な点は?
博士
表在感覚と深部感覚を別々に評価することじゃ。触覚・痛覚・温度覚は綿花・鈍針・試験管などで、深部感覚は関節の位置覚・振動覚(音叉)を使って評価する。
アユム
平衡覚は体で感じる感覚な気がしますが、特殊感覚なんですね。
博士
そこが紛らわしい。内耳の前庭という専用受容器があり、頭部の回転・傾きを感知するので『特殊感覚』に分類されるのじゃ。『体で感じる=体性』という素朴なイメージだけでは解けない問題じゃ。
POINT
人間の感覚は特殊感覚(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・平衡覚)、体性感覚(皮膚感覚+深部感覚)、内臓感覚の3つに大別され、触覚は皮膚感覚の代表として体性感覚に分類されます。体性感覚の伝導路は、精細な触覚・振動覚・位置覚を伝える後索-内側毛帯路と、痛覚・温度覚・粗大な触覚を伝える脊髄視床路の2系統があり、最終的に対側の大脳一次体性感覚野(中心後回)に至ります。一次体性感覚野には身体部位が地図状に配置されたペンフィールドのホムンクルスとして知られる構造があり、手・顔・口唇など感覚鋭敏な部位に広い皮質領域が割り当てられています。看護では表在感覚と深部感覚を区別してアセスメントし、脳卒中や脊髄損傷、糖尿病性神経障害などの病変部位と症状を結び付けて理解することが、神経学的観察の基礎として極めて重要です。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:体性感覚はどれか。
解説:正解は 2 の『触覚』です。人間の感覚は大きく①特殊感覚、②体性感覚、③内臓感覚の3つに分類されます。体性感覚はさらに『皮膚感覚(表在感覚)』と『深部感覚』に分けられ、皮膚感覚には触覚・圧覚・温覚・冷覚・痛覚が、深部感覚には位置覚・運動覚・振動覚などが含まれます。視覚・聴覚・嗅覚・味覚・平衡覚の5つは特殊感覚に分類され、それぞれ専門的な受容器(網膜・内耳・鼻粘膜・味蕾・前庭など)を介して中枢に伝えられます。
選択肢考察
-
× 1. 視覚
特殊感覚に分類される。網膜で光を電気信号に変換し、視神経を経て後頭葉の視覚野へ伝えられる。
-
○ 2. 触覚
体性感覚の中の皮膚感覚(表在感覚)の一つ。マイスナー小体・メルケル盤などの機械受容器で感知され、脊髄後索・内側毛帯路を経て大脳皮質の一次体性感覚野(中心後回)へ伝えられる。
-
× 3. 聴覚
特殊感覚に分類される。内耳の蝸牛にある有毛細胞が音を受容し、蝸牛神経を経て側頭葉の聴覚野へ伝えられる。
-
× 4. 平衡覚
特殊感覚に分類される。内耳の前庭(三半規管・耳石器)が頭部の回転や傾きを感知し、前庭神経を経て小脳や脳幹へ伝えられる。
体性感覚の伝導路は大きく2系統ある。①後索-内側毛帯路:触覚(精細)・振動覚・位置覚を伝え、同側後索を上行して延髄で交叉、対側の視床(VPL核)を経て中心後回へ。②脊髄視床路(外側・前):痛覚・温度覚・粗大な触覚を伝え、脊髄レベルで交叉して対側視床(VPL核)経由で中心後回へ。一次体性感覚野には身体部位が地図のように配置されており、手や顔の領域が広く描かれたペンフィールドの『感覚のホムンクルス』として知られる。
感覚の分類(特殊感覚・体性感覚・内臓感覚)と、体性感覚の内訳(皮膚感覚+深部感覚)を整理する解剖生理の基本問題。
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