StudyNurse

体温の司令塔・視床下部を極める

看護師国家試験 第112回 午前 第12問 / 必修問題 / 人体の構造と機能

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第12問

体温変化をとらえ、体温調節の指令を出すのはどれか。

  1. 1.
  2. 2.小脳
  3. 3.視床下部
  4. 4.大脳皮質

対話形式の解説

博士 博士

今日は体温調節の司令塔について学ぶぞ。君、体温調節の中枢はどこにあると思う?

アユム アユム

脳のどこか…小脳でしょうか?

博士 博士

残念、小脳は運動の協調を司る場所じゃ。正解は視床下部、間脳にある小さな領域じゃよ。

アユム アユム

視床下部ってよく聞きますが、具体的にどんな働きをするんですか?

博士 博士

視床下部は自律神経系と内分泌系の最高中枢じゃ。体温だけでなく、血圧・心拍・摂食・飲水・睡眠・性行動・情動など、生命維持に必須の機能を統合制御している。

アユム アユム

体温はどうやって測って調節してるんですか?

博士 博士

2つの情報源を使うのじゃ。1つは視床下部自身を流れる血液温、もう1つは皮膚の温点・冷点から感覚神経を通って届く末梢温情報。これを統合し、セットポイントと比較して調節する。

アユム アユム

セットポイントって何ですか?

博士 博士

体温計の基準値のようなもので、通常は約37℃に設定されておる。実測体温がこれより低ければふるえや血管収縮で熱産生・保温、高ければ発汗・血管拡張で放熱する仕組みじゃ。

アユム アユム

発熱ってどういうメカニズムなんでしょう?

博士 博士

感染で放出される炎症性サイトカイン(IL-1・IL-6・TNF-α)が視床下部でプロスタグランジンE2を作らせ、セットポイント自体が上昇するのじゃ。体は新しい基準に体温を合わせようとし、悪寒やふるえで熱を産生する。

アユム アユム

だから熱が出る前に寒気がするんですね。解熱薬はそこに効くんですか?

博士 博士

そうじゃ。NSAIDsやアセトアミノフェンはPGE2の産生を抑えてセットポイントを元に戻し、結果として発汗・放熱が起き解熱に至る。

アユム アユム

視床下部が障害されたらどうなるんですか?

博士 博士

中枢性高体温を起こし、発汗を伴わない40℃以上の高熱を呈することがある。頭部外傷・脳腫瘍・くも膜下出血などでみられ、感染性発熱との鑑別が治療方針を左右する。

アユム アユム

同じ脳でも部位ごとに全然違う働きをするんですね。

博士 博士

その通り。橋は呼吸、小脳は運動協調、大脳皮質は高次機能、そして間脳の視床下部が自律神経と内分泌。看護師はこれらを紐づけて観察に活かすのじゃ。

POINT

体温変化を感知して調節指令を出す中枢は間脳の視床下部にあり、自律神経系と内分泌系を束ねる最高中枢として機能します。視床下部は血液温と皮膚の温度受容器情報を統合し、セットポイントと比較して発汗・血管収縮・ふるえ・褐色脂肪の熱産生などを指令します。発熱は感染時のサイトカインが誘導するPGE2によってセットポイントが上昇する現象であり、解熱薬はこのPGE2産生を抑制して解熱をもたらします。視床下部障害では発汗を伴わない中枢性高体温をきたすこともあり、熱型の観察は感染性発熱との鑑別に重要です。脳の各部位の機能を整理して理解することは、バイタルサイン異常の原因推定と看護ケアの選択に直結する基礎知識です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:体温変化をとらえ、体温調節の指令を出すのはどれか。

解説:正解は 3 の視床下部である。視床下部は間脳の腹側にあり、自律神経系と内分泌系の最高中枢として体温・血圧・摂食・飲水・睡眠・性行動などを統合調節している。その中の視索前野(preoptic area)に体温調節中枢があり、体内を流れる血液の温度と、皮膚の温点・冷点から感覚神経を介して届く末梢温情報を受け取る。設定温度(セットポイント)と実際の体温を比較し、差があれば交感神経系・骨格筋・内分泌系を介して熱産生や熱放散を調節する。

選択肢考察

  1. × 1.  橋

    橋は脳幹の一部で中脳と延髄に挟まれ、呼吸調節中枢(橋呼吸中枢)や顔面神経核・三叉神経核などを含むが、体温調節の中枢ではない。

  2. × 2.  小脳

    小脳は随意運動の円滑化、姿勢保持、平衡感覚の統合を担う。体温調節には関与しない。

  3. 3.  視床下部

    視床下部には体温調節中枢があり、血液温と皮膚受容器からの情報をもとに発汗・血管収縮・ふるえ・褐色脂肪組織の熱産生などを指令する。

  4. × 4.  大脳皮質

    大脳皮質は運動・感覚・言語・思考などの高次機能を担う。暑さ寒さの快・不快として意識されるが、自律的な調節指令を出すのは視床下部である。

発熱のメカニズムも視床下部で理解できる。感染などでマクロファージからIL-1、IL-6、TNF-αなどの内因性発熱物質が放出されると、視床下部血管内皮でプロスタグランジンE2(PGE2)が産生されセットポイントが上昇する。結果として体は新しいセットポイントに体温を合わせようとし、ふるえ(shivering)や末梢血管収縮で熱を産生し発熱に至る。解熱薬(NSAIDs・アセトアミノフェン)はこのPGE2産生を抑えてセットポイントを下げる薬である。視床下部の障害(腫瘍・外傷)では中枢性高体温として発汗を伴わない高熱をきたすことがあり、感染性発熱と鑑別が必要である。

体温調節の司令塔が視床下部であることを問う基本問題。間脳=視床下部=自律神経・内分泌の最高中枢というキーワードの関連づけが鍵。