心臓が勝手に動く秘密!刺激伝導系の出発点『洞房結節』
看護師国家試験 第112回 午後 第12問 / 必修問題 / 人体の構造と機能
国試問題にチャレンジ
心臓の刺激伝導系で最初の興奮部位はどれか。
- 1.洞房結節
- 2.房室結節
- 3.His<ヒス>束
- 4.Purkinje<プルキンエ>線維
対話形式の解説
博士
今日は心臓の刺激伝導系を学ぶぞい。心臓は自分でリズムを刻めるという驚きの臓器じゃ。
アユム
そういえば、摘出した心臓でもしばらく拍動し続けるって聞いたことがあります。
博士
その通り。これを『自動能』という。その指令を出す最初の場所はどこじゃろう?
アユム
えーっと、洞房結節ですか?
博士
正解!右心房の上部、上大静脈開口部のすぐ近くにある小さな細胞群じゃ。ここが1分間に約60〜80回のペースで自発的に電気信号を発する。
アユム
だからペースメーカー細胞って呼ばれるんですね。
博士
そうじゃ。発した信号は心房全体に広がり、次に房室結節に集まる。房室結節はちょっと特殊でな…
アユム
どう特殊なんですか?
博士
あえて興奮を0.1秒ほど遅らせるのじゃ。そうすることで心房がしっかり収縮してから心室に血液を送り込むタイミングを作れる。
アユム
なるほど!心房と心室が同時に収縮したら効率が悪いですもんね。
博士
賢いぞ。その後、興奮はヒス束を通り、左脚と右脚に分かれて心室中隔を下降し、最後にプルキンエ線維が心室内膜下で枝分かれして心室全体に一気に伝える。
アユム
プルキンエ線維ってそんなに速いんですか?
博士
伝導速度は秒速2〜4メートルと超高速じゃ。これのおかげで心室全体がほぼ同時に収縮し、効率よく血液を駆出できる。
アユム
もし洞房結節が壊れたらどうなるんですか?
博士
房室結節が代わってペースを刻むが、40〜60回/分とゆっくり。さらに下位の心室性ペースメーカーになると20〜40回/分まで落ちる。これを補充収縮と呼ぶ。
アユム
徐脈になってめまいや失神が起こりそうですね。
博士
まさに洞不全症候群や完全房室ブロックがそれじゃ。重症例ではペースメーカー植込みが必要になる。国試でも頻出じゃから、順序と位置をしっかり頭に入れておくのじゃ。
POINT
心臓の刺激伝導系は、洞房結節→心房筋→房室結節→ヒス束→左脚・右脚→プルキンエ線維→心室筋という一方向の興奮伝導経路で構成されています。最初の興奮部位である洞房結節は右心房上部の上大静脈開口部付近に位置し、自発的に脱分極を起こす能力(自動能)を持つ一次ペースメーカーです。房室結節は心房と心室の興奮伝導に生理的遅延を設けることで、心房収縮後に心室が収縮する効率的なポンプ機能を可能にしています。臨床では洞不全症候群・房室ブロックなど刺激伝導系の異常が徐脈性不整脈として現れ、ペースメーカー適応の判断や心電図読影の基礎となるため、国家試験・実臨床の両面で必須知識といえます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:心臓の刺激伝導系で最初の興奮部位はどれか。
解説:正解は 1 です。心臓は自らのリズムで拍動する自動能をもっており、その起点となるのが右心房上部の上大静脈開口部付近にある洞房結節(SA node)です。ここで発生した電気的興奮が心房→房室結節→ヒス束→左右脚→プルキンエ線維→心室筋の順に伝わり、規則正しい心拍が生まれます。洞房結節は『生理的ペースメーカー』とも呼ばれます。
選択肢考察
-
○ 1. 洞房結節
右心房の上大静脈開口部付近に位置し、約60〜80回/分の周期で自発的に脱分極を起こす一次ペースメーカー。刺激伝導系の最上流。
-
× 2. 房室結節
心房中隔下部にあり、洞房結節の次に興奮する。心房から心室への興奮伝導を0.1秒ほど遅らせ、心室充満時間を確保する『関所』の役割を担う。
-
× 3. His<ヒス>束
房室結節から下流に続き、心房と心室の間の興奮を中継する。左脚・右脚へと分岐する。
-
× 4. Purkinje<プルキンエ>線維
左右脚の末端から心室内膜下に広がる特殊心筋線維で、興奮を高速で心室筋全体に伝える。刺激伝導系の最終段。
刺激伝導系の順序は『洞→房→His→脚→プルキンエ』とリズミカルに唱えて覚える。洞房結節が機能不全に陥ると房室結節(40〜60回/分)、さらに下位の心室(20〜40回/分)が代行するが、下位になるほどレートが遅く不安定になる。洞不全症候群や完全房室ブロックではペースメーカー植込みが検討される。
心臓刺激伝導系の起始部を問う基礎問題。解剖学的位置(右心房上部)と『生理的ペースメーカー』という名称を押さえる。
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