立位腹部X線のニボー像と腹部膨満
看護師国家試験 第103回 午前 第40問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
立位の腹部エックス線写真を別に示す。 この状態で出現している所見はどれか。
- 1.体液波動
- 2.皮膚線条
- 3.腹部膨満
- 4.皮下静脈の怒張
対話形式の解説
博士
今日は立位の腹部X線でみられる鏡面像、いわゆるニボー像について学ぼう。腸内にガスと液体が貯留して、その境界が水平の線として描出される所見じゃ。
アユム
ニボーというのはフランス語で水準という意味なんですよね?
博士
そう、よく覚えておるのう。腸内容の通過障害でガスと液体が腸管内に滞留し、立位や座位で重力により水平面ができることで描出されるんじゃ。
アユム
博士、正解はどれですか?
博士
正解は 3 の腹部膨満じゃ。ニボー像は腸閉塞の代表所見で、腸管拡張により腹腔内容が増えてX線像でも腹部全体が膨らんで見える。
アユム
1の体液波動はどうですか?
博士
これは腹水貯留時に腹部を叩いて反対側で波動を触知する身体所見じゃ。X線写真の所見ではないんじゃのう。
アユム
2の皮膚線条は?
博士
急激な体重増加や妊娠で真皮の弾性線維が裂けて生じる線状の皮膚変化で、視診で評価するもの。X線では描出されんのじゃ。
アユム
4の皮下静脈の怒張は?
博士
門脈圧亢進などで腹壁に怒張した静脈が見える視診所見じゃ。これもX線写真上の所見ではないから誤りじゃ。
アユム
腸閉塞の看護のポイントは何ですか?
博士
腹痛・嘔吐・排ガス排便停止・腹部膨満の4徴の観察、補液による脱水・電解質補正、イレウス管や経鼻胃管による減圧管理が中心じゃ。
アユム
絞扼性腸閉塞は怖いと聞きました。
博士
腹膜刺激症状や頻脈、血圧低下、白血球増多、乳酸値上昇は絞扼性のサインで早期手術が必要じゃ。立位がとれない患者では左側臥位X線で代用することも覚えておくとよいぞ。
POINT
立位腹部X線でみられるニボー像は腸閉塞の代表的所見で、腸内のガスと液体の境界が水平線として描出される。腸管拡張に伴い腹部膨満が認められ、X線像でも腹部全体が膨らんで描出される。看護では4徴の観察、補液、減圧、絞扼性腸閉塞の早期発見が重要となる。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:立位の腹部エックス線写真を別に示す。 この状態で出現している所見はどれか。
解説:正解は 3 です。立位の腹部単純X線写真で、腸管内にガスが貯留し液体との境界面が水平な線として描出される所見を「鏡面像(ニボー像、niveau像)」といいます。これは腸内容の通過障害が起きてガスと液体が腸管内に滞留している状態を示し、腸閉塞(イレウス)の代表的所見です。腸管が拡張するため腹部全体が膨隆し、視診・触診で腹部膨満を認めます。原因には機械的腸閉塞(癒着、腫瘍、ヘルニア嵌頓など)と機能的腸閉塞(麻痺性、痙攣性)があり、急性発症では絞扼性腸閉塞の見逃しが最重要です。
選択肢考察
-
× 1. 体液波動
体液波動は腹水貯留時に腹部を片手で叩いた波動を反対側で触知する所見で、触診により評価する身体所見であり、X線写真上の所見ではないため誤りです。
-
× 2. 皮膚線条
皮膚線条は急激な体重増加や妊娠などで真皮の弾性線維が断裂して生じる線状の皮膚変化であり、視診で確認するもので腹部X線では描出されません。
-
○ 3. 腹部膨満
ニボー像を伴う腸管拡張により腹腔内容が増し、X線像でも腸管の著明な拡張・腹部全体の膨らみが描出され、腹部膨満が認められるため正解となります。
-
× 4. 皮下静脈の怒張
皮下静脈の怒張は門脈圧亢進症などで皮膚を視診して評価する所見であり、腹部単純X線で評価する所見ではないため誤りです。
腸閉塞の看護では、腹痛・嘔吐・排ガス排便停止・腹部膨満の4徴の経時観察、嘔吐や絶食に伴う脱水・電解質異常への補液、イレウス管・経鼻胃管による減圧、腹膜刺激症状の有無確認が重要です。バイタルサインの変化(頻脈・血圧低下)や血液検査での白血球増多・乳酸値上昇は絞扼性腸閉塞を示唆し、早期手術が必要となります。立位X線で評価ができない患者では左側臥位の腹部X線で代用します。
立位腹部X線で鏡面像(ニボー像)が描出される病態と、その代表的身体所見である腹部膨満を結びつけて理解しているかを問う設問です。
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