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ヨード制限食はなぜ必要?甲状腺シンチグラフィの原理から学ぶ食事管理

看護師国家試験 第106回 午前 第41問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第41問

ヨード制限食が提供されるのはどれか。

  1. 1.甲状腺シンチグラフィ
  2. 2.慢性腎不全( chronic renal failure )の治療
  3. 3.肝臓の庇護
  4. 4.貧血( anemia )の治療

対話形式の解説

博士 博士

今日はヨード制限食が必要な場面について学ぶのじゃ。選択肢は「甲状腺シンチグラフィ」「慢性腎不全」「肝庇護」「貧血治療」じゃが、正解はどれじゃと思う?

サクラ サクラ

うーん、腎不全って塩分制限のイメージが強いですけど…ヨードも関係あるのかな?

博士 博士

いや、腎不全で制限するのは塩分・カリウム・タンパク質・水分・リンじゃ。ヨードは関係ないぞ。正解は1の甲状腺シンチグラフィじゃな。

サクラ サクラ

あ、甲状腺とヨードは関係があるって習った気がします!

博士 博士

その通り!甲状腺ホルモン、つまりT3(トリヨードサイロニン)とT4(サイロキシン)は、名前の中に「ヨード」が入っておる。ヨウ素3個と4個という意味じゃ。

サクラ サクラ

えっ、そういう意味だったんですか!ホルモン名がそのまま構造を表してるんですね。

博士 博士

そうじゃ。だから甲状腺はヨードを貪欲に取り込む性質がある。甲状腺シンチグラフィはこの性質を利用して、放射性ヨードを投与し、甲状腺への集積具合をガンマカメラで撮影する検査じゃ。

サクラ サクラ

なるほど!でも、どうして検査の前にヨードを制限する必要があるんですか?

博士 博士

もし普段から海藻をたっぷり食べていたら、甲状腺は既にヨードでお腹いっぱいの状態じゃ。そこに放射性ヨードを追加しても取り込まれず、正確な集積率が測定できないのじゃ。

サクラ サクラ

あー、それで1週間前くらいから制限するんですね。具体的にはどんな食品を避けるんでしょう?

博士 博士

昆布・わかめ・ひじき・のり・たらこ・貝類などじゃな。特に昆布は日本食で出汁によく使われるから要注意。あと、うがい薬のイソジン、ヨード卵、造影剤なども含まれる。

サクラ サクラ

造影CTを受けた後も、甲状腺の検査はすぐできないってことですか?

博士 博士

鋭い!その通りじゃ。造影剤には大量のヨードが含まれるから、造影CT後はしばらく期間を空ける必要があるのじゃ。

サクラ サクラ

臨床では見落としがちなポイントですね。バセドウ病の治療でも似たような制限がありますか?

博士 博士

あるぞ。バセドウ病の放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ治療)や、分化型甲状腺癌の術後補助療法でも、治療前に厳格なヨード制限食を行う。看護師は患者に具体的な食品リストを示して指導する役割がある。

サクラ サクラ

食事指導って、患者さんの生活に密着した看護の大切な部分ですね。

POINT

ヨード制限食は、放射性ヨードを用いる甲状腺シンチグラフィやアイソトープ治療を行う前に、食事由来のヨードが甲状腺の取り込みを妨げないようにするために提供されます。甲状腺ホルモン(T3・T4)はヨードを構成元素とするため、甲状腺は積極的にヨードを取り込む性質を持ち、この性質を利用した診断・治療が成立します。制限対象は海藻類・貝類・ヨード卵・ヨード含有うがい薬・ヨード造影剤など多岐にわたり、通常は検査の1週間程度前から制限を開始します。看護師は検査の原理を理解したうえで、日本食文化に多いヨード含有食品を具体的に示した患者指導を行う必要があります。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:ヨード制限食が提供されるのはどれか。

解説:正解は 1 です。ヨード(ヨウ素)は甲状腺ホルモン(T3・T4)の構成元素であり、摂取すると甲状腺に選択的に取り込まれる性質がある。甲状腺シンチグラフィは放射性ヨード(通常¹²³Iなど)を経口投与または注射し、甲状腺への集積度合いをガンマカメラで画像化する核医学検査である。検査前に通常のヨード含有食(海藻類、貝類、ヨード含有うがい薬など)を摂取すると、体内のヨードプールが飽和してしまい放射性ヨードの甲状腺への取り込みが低下するため、検査精度が著しく損なわれる。そのため検査の1週間前程度からヨード制限食が必要となる。

選択肢考察

  1. 1.  甲状腺シンチグラフィ

    放射性ヨードを用いた甲状腺の機能・形態評価検査。食事由来のヨードが甲状腺に取り込まれると正確な集積率が測定できなくなるため、検査前1週間程度のヨード制限食が必要となる。

  2. × 2.  慢性腎不全( chronic renal failure )の治療

    慢性腎不全の食事療法で制限されるのは塩分・カリウム・タンパク質・リン・水分などであり、ヨードは制限項目ではない。

  3. × 3.  肝臓の庇護

    肝庇護を目的とした食事ではアルコールを避け、適正エネルギーと良質なタンパク質を中心にバランスを整える。ヨード制限は関係しない。

  4. × 4.  貧血( anemia )の治療

    貧血の食事療法では鉄分・タンパク質・ビタミンB12・葉酸・ビタミンCなどの補給が中心で、ヨードの制限は行わない。

ヨードを多く含む代表的な食品は昆布・わかめ・ひじき・のりなどの海藻類、たらこ・貝類、ヨード卵、ヨードを含むうがい薬(ポビドンヨード)、造影剤などである。甲状腺シンチグラフィのほか、バセドウ病に対するアイソトープ治療(放射性ヨウ素内用療法)や分化型甲状腺癌の術後補助療法でも検査・治療前のヨード制限が必須となる。また、造影CT後には体内のヨード量が増えるため、甲状腺関連の核医学検査は一定期間空ける必要がある点も覚えておきたい。

放射性ヨードを用いる検査・治療の前には、食事由来のヨードが甲状腺取り込みを妨げないよう制限食が必要になるという原則を理解しているかを問う問題。