経鼻胃管の誤挿入を見抜け!咳嗽サインに注意
看護師国家試験 第107回 午前 第36問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
成人に経鼻経管栄養法を行う際の胃管を挿入する方法で適切なのはどれか。
- 1.体位は仰臥位とする。
- 2.管が咽頭に達したら頸部を後屈する。
- 3.咳嗽が生じた場合は直ちに抜去する。
- 4.嚥下運動よりも速い速度で挿入する。
対話形式の解説
博士
今日は経鼻経管栄養の胃管挿入手技を押さえるぞ。手技ミスは重大事故につながる大事な問題じゃ。
アユム
はい、国試でも臨床でも重要ですね。選択肢は4つ、どれも紛らわしくて迷います。
博士
まず1の『体位は仰臥位』はどうじゃ?
アユム
仰臥位って平らに寝ている状態ですよね。なんとなく挿入しやすそうですが…
博士
それはダメじゃ。仰臥位では誤嚥リスクが高く、解剖学的にも食道への誘導が難しい。基本は座位かファーラー位(45〜60度ギャッジアップ)じゃ。
アユム
体を起こした方が、食道の通り道がまっすぐになるんですね。
博士
その通り!さらに頸部を前屈することで、気管への入り口にふたをして食道へ導きやすくする。ここで2の選択肢を見てみよ。
アユム
『管が咽頭に達したら頸部を後屈する』…これは逆ですね!
博士
大正解!後屈すると気管の入り口が開いてしまい、誤挿入のリスクが高まる。あごを引く(前屈)のが鉄則じゃ。
アユム
4の『嚥下運動より速い速度で挿入』も明らかにダメですよね。
博士
うむ。嚥下に合わせてゆっくり進めないと、食道入口部で抵抗が出たり粘膜を傷つけたりする。患者には『唾を飲み込んでください』と声をかけながら進めるのじゃ。
アユム
すると正解は3の『咳嗽が生じたら直ちに抜去する』ですね。
博士
その通り!激しい咳やむせ、チアノーゼ、声が出ないなどは、管が気管に入ったサインじゃ。迷わず抜いて呼吸状態を確認する。
アユム
気管に入ったまま栄養剤を入れたら…
博士
肺に栄養剤が流れ込み、重篤な誤嚥性肺炎や窒息、時に死亡事故につながる。絶対に避けねばならんぞ。
アユム
挿入後の位置確認はどうするんですか?
博士
現在はX線撮影や胃内容物吸引・pH測定(pH5.5以下で胃内と判断)が推奨されておる。昔は気泡音で確認していたが、誤挿入を見逃す事例が多く、気泡音だけでは不十分とされておるのじゃ。
アユム
経管栄養中の体位も気を付けるべきですよね?
博士
うむ、注入時と注入後30分〜1時間は上体を30度以上挙上して誤嚥を防ぐ。特に意識障害患者や高齢者で重要じゃ。
アユム
挿入から注入まで、すべての段階で誤嚥予防が鍵なんですね。
博士
その通り。経管栄養は『ルーチンだから』と油断すると事故につながる代表例じゃ。毎回、位置確認と体位の徹底を忘れないことじゃ。
アユム
ありがとうございます、臨床での怖さも含めて理解できました!
POINT
本問は経鼻胃管挿入の基本手技を問う設問で、正解は『咳嗽が生じた場合は直ちに抜去する』です。体位は座位・頸部前屈、嚥下に合わせてゆっくり挿入するのが原則で、仰臥位や頸部後屈、速すぎる挿入は誤挿入の誘因となります。気管誤挿入は重大事故に直結するため、兆候を見逃さず、留置後はX線やpHで位置確認し、注入時は上体挙上を徹底することが看護師に求められる基本です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:成人に経鼻経管栄養法を行う際の胃管を挿入する方法で適切なのはどれか。
解説:正解は3の『咳嗽が生じた場合は直ちに抜去する。』です。経鼻胃管挿入中に激しい咳嗽やチアノーゼ、声が出ないなどの症状が出現した場合、管が喉頭・気管内に誤挿入されている可能性が高く、直ちに抜去して呼吸状態を確認する必要があります。気管への誤挿入は窒息や肺炎、肺損傷の原因となるため重大な医療事故につながります。体位は頸部を前屈できる座位またはファーラー位(45〜60度ギャッジアップ)が基本で、管が咽頭に達した時点で頸部を前屈し、嚥下運動に合わせてゆっくり挿入します。胃管挿入後は胃内容物の吸引確認やpH測定、X線撮影などで留置位置を確認してから栄養剤を注入します。
選択肢考察
-
× 1. 体位は仰臥位とする。
仰臥位では誤嚥リスクが高くなります。可能な限り座位やセミファーラー位(45〜60度)をとり、頭頸部を少し前屈できる姿勢で実施します。
-
× 2. 管が咽頭に達したら頸部を後屈する。
頸部を後屈させると気管への誤挿入リスクが高まります。咽頭到達時は頸部を前屈させ、嚥下運動を利用して食道へ誘導します。
-
○ 3. 咳嗽が生じた場合は直ちに抜去する。
激しい咳嗽は気管への誤挿入を強く示唆します。窒息や誤嚥性肺炎を防ぐために、直ちに抜去し呼吸状態を確認してから再挿入します。
-
× 4. 嚥下運動よりも速い速度で挿入する。
嚥下運動に合わせゆっくり進めないと、食道入口部で抵抗が生じ、粘膜損傷や誤挿入の原因となります。患者に合わせた速度で丁寧に挿入します。
胃管留置の位置確認はかつて気泡音(エアー注入)で行われていましたが、現在はX線撮影や胃内容物吸引・pH測定(pH5.5以下)による確認が推奨されています。気泡音のみでは気管や胸腔内の誤挿入を見逃す事例が報告されており、特に初回挿入時や位置のずれが疑われる時はX線での確認が安全です。経管栄養中は30度以上の上体挙上で誤嚥予防を行うこともセットで覚えておきましょう。
経鼻胃管挿入時の体位・頸部の向き・異常時の対応・挿入速度など、安全に留置するための基本手技を問う問題です。
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