酸素投与器具の選び方を理解しよう
看護師国家試験 第108回 午後 第37問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
1回換気量に関係なく吸入酸素濃度を調節できる器具はどれか。
- 1.鼻カニューレ
- 2.フェイスマスク
- 3.ベンチュリーマスク
- 4.リザーバー付酸素マスク
対話形式の解説
博士
今日は酸素投与器具について学ぶぞ。『1回換気量に関係なく吸入酸素濃度を調節できる器具』を選ぶ問題じゃ。
サクラ
正解は3のベンチュリーマスクですね。なぜでしょうか。
博士
ベンチュリーマスクは高流量システムに分類される。ダイリューターという色分けされたアダプターで酸素と室内気を一定比率で混合し、患者の呼吸パターンに左右されず正確なFiO₂を供給できるのじゃ。
サクラ
高流量と低流量って何が違うんですか。
博士
重要な概念じゃ。患者の1回の吸気流量はだいたい毎分30L前後。低流量システムは酸素流量がこれを満たさないから、不足分を室内気で補う。その補い方が換気量で変わるからFiO₂が変動するのじゃ。
サクラ
高流量システムは吸気流量を上回るガスを供給するんですね。
博士
そのとおり。ベンチュリーマスクではベンチュリー効果で酸素が高速で噴出し、周囲の空気を引き込んで総流量30L/分以上のガスを作る。だから換気量が変わってもFiO₂が安定するのじゃ。
サクラ
ダイリューターの色と濃度はどう対応していますか。
博士
一般的に青24%・黄28%・白31%・緑35%・赤40%・橙50%じゃ。メーカーにより多少違うから現物を確認することが大切じゃ。
サクラ
1の鼻カニューレはなぜ違うのですか。
博士
鼻カニューレは低流量システムで流量1〜4L/分、FiO₂は約24〜36%。口呼吸や鼻閉、換気量の変化で大きく変動する。
サクラ
2のフェイスマスクも同じ理由ですか。
博士
そうじゃ。低流量で最低5L/分流さんとマスク内にCO₂が貯留する。やはり換気量でFiO₂が変わる。
サクラ
4のリザーバー付酸素マスクは高濃度酸素が出ますよね。
博士
貯留バッグに溜めた酸素を吸入するから60〜90%以上の高濃度が得られる。しかし低流量システムなのでFiO₂は換気量で変動する。高濃度=安定ではないのじゃ。
サクラ
ベンチュリーマスクの臨床適応は何ですか。
博士
COPDのようなⅡ型呼吸不全で、CO₂ナルコーシスを避けるため精密な酸素濃度管理が必要なときに使う。高濃度酸素で呼吸中枢が抑制されるのを防ぐためじゃ。
サクラ
CO₂ナルコーシスとは何ですか。
博士
慢性高CO₂血症の患者で高濃度酸素を投与すると、低酸素刺激が除かれて換気が減り、さらにCO₂が貯留して意識障害や呼吸停止を来す病態じゃ。
サクラ
低流量と高流量の違いをしっかり覚えます。
POINT
ベンチュリーマスクは高流量システムに属し、ダイリューターで酸素と空気を一定比率混合することで1回換気量に関係なくFiO₂を24〜50%で正確に調節できます。鼻カニューレ・フェイスマスク・リザーバーマスクは低流量システムで換気量によりFiO₂が変動します。Ⅱ型呼吸不全でCO₂ナルコーシス予防が必要な際にベンチュリーマスクが選択されることを押さえましょう。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:1回換気量に関係なく吸入酸素濃度を調節できる器具はどれか。
解説:正解は 3 です。ベンチュリーマスクはベンチュリー効果を利用した酸素投与器具で、ダイリューター(色分けされたアダプター)によって酸素と室内気を一定比率で混合します。患者の1回換気量や呼吸パターンに左右されず吸入酸素濃度(FiO₂)を24〜50%の範囲で正確に設定できる高流量システムで、Ⅱ型呼吸不全(COPDなど)でCO₂ナルコーシスを避けるために精密な酸素濃度管理が必要な患者に適しています。
選択肢考察
-
× 1. 鼻カニューレ
低流量システムで、口呼吸・鼻閉・換気量の変化によりFiO₂が変動します。流量1〜4L/分でFiO₂約24〜36%です。
-
× 2. フェイスマスク
低流量システムでマスク内のCO₂貯留を避けるため最低5L/分必要。換気量によりFiO₂が変動します。
-
○ 3. ベンチュリーマスク
高流量システムで、ダイリューターにより酸素と空気を一定比率で混合し、換気量に依存せず正確なFiO₂を供給できます。
-
× 4. リザーバー付酸素マスク
貯留バッグに酸素を溜めて高濃度酸素(60〜90%以上)を供給できますが、低流量システムのため換気量でFiO₂が変動します。
酸素投与器具は低流量システム(鼻カニューレ・フェイスマスク・リザーバーマスク)と高流量システム(ベンチュリーマスク・ネブライザー式酸素吸入器)に大別されます。低流量は総吸気流量を満たさないため不足分を室内気で補い、換気量でFiO₂が変動。高流量は総吸気流量を上回る混合ガスを供給するためFiO₂が安定します。ベンチュリーマスクのダイリューターは青24%・黄28%・白31%・緑35%・赤40%・橙50%と色分けされ、製造業者により多少異なります。CO₂ナルコーシス予防のためⅡ型呼吸不全では低濃度から開始する点が重要です。
酸素投与器具の分類(低流量・高流量)と、FiO₂の安定性の違いを理解しているかを問う問題です。
「診療に伴う看護技術」の関連記事
-
改訂水飲みテストの正解は「呼吸を見る」 ―誤嚥スクリーニングを使い分ける
改訂水飲みテストの実施方法(冷水3mL・口腔底注入・5段階評価)と評価項目(嚥下、呼吸状態、湿性嗄声、反復嚥下)…
114回
-
ホルター心電図のミソ ―普段通り生活しつつ電磁波を避ける
ホルター心電図は「日常生活下での24時間連続記録」が目的であることを軸に、電極装着部位・装着時間・電磁干渉の回…
114回
-
新鮮凍結血漿の温度管理―凝固因子を守る30〜37℃のルール
新鮮凍結血漿の取り扱い(融解温度・使用期限・保管条件・輸血セット)を問う問題。30〜37℃で融解し速やかに使用する…
114回
-
胃カメラ前後の看護、押さえるべきポイント
上部消化管内視鏡検査における前処置(絶食)、検査中体位、検査後の飲食制限など、看護師が把握しておくべき検査管…
114回
-
成人の骨髄穿刺はどこを刺す? 〜後腸骨稜が第一選択になる理由〜
成人骨髄穿刺の第一選択部位(後腸骨稜)と、混同されやすい腰椎穿刺・胸骨穿刺の部位の違いを問う問題。
114回