StudyNurse

静脈採血の安全管理

看護師国家試験 第108回 午前 第36問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術

国試問題にチャレンジ

108回 午前 第36問

静脈血採血時に使用する器具の取り扱いで適切なのはどれか。

  1. 1.真空採血管で採血する場合は素手で行う。
  2. 2.抜針した採血針はキャップをして破棄する。
  3. 3.針専用の廃棄容器は実施者の手の届く範囲に置く。
  4. 4.針専用の廃棄容器は廃棄物が投入口まで達したら交換する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は静脈血採血時の器具取り扱いを学ぼう。針刺し事故防止が主テーマだ。

アユム アユム

針刺し事故ってどれくらいリスクがあるんですか?

博士 博士

HBV陽性血液刺傷で約30%、HCVで約3%、HIVで約0.3%の感染率とされていて、医療従事者の職業感染の主要経路なんだ。

アユム アユム

それは怖いですね。正解は何番ですか?

博士 博士

正解は3番「針専用廃棄容器は実施者の手の届く範囲に置く」だ。針を持つ手側に廃棄容器を配置することで、廃棄動作の距離と露出時間を最短化できるんだよ。

アユム アユム

なるほど、動線を短くするんですね。

博士 博士

その通り。採血トレイの上に携帯型廃棄容器を置いておくのが理想的だね。

アユム アユム

選択肢1の素手採血はどうですか?

博士 博士

標準予防策では血液や体液に触れる可能性がある処置で必ずディスポーザブル手袋を着用するんだ。真空管採血でも血液逆流や飛散の可能性があるから、素手はNGだよ。

アユム アユム

選択肢2のリキャップは?

博士 博士

リキャップは針刺し事故の最大原因で、CDCガイドラインでも禁忌とされている。抜針後は即座に専用容器に廃棄するのが鉄則だ。

アユム アユム

どうしてもキャップが必要なときは?

博士 博士

片手すくい上げ法といって、キャップを机に置いて片手だけで針をキャップにすくい入れる方法があるが、原則は即廃棄だよ。

アユム アユム

選択肢4の廃棄容器の交換時期はどうですか?

博士 博士

容器には満杯ラインが記載されていて、通常8割程度だ。投入口まで満杯にすると廃棄時に針が飛び出して事故の原因になるから、ラインに達したら投入口を閉鎖して交換するんだ。

アユム アユム

容器の色は決まってるんですか?

博士 博士

感染性廃棄物のバイオハザードマーク(黄色)付き容器を使うんだ。日本では医療廃棄物の3区分(感染性一般、感染性産業、その他)を覚えておこう。

アユム アユム

針刺し事故が起きたらどうしますか?

博士 博士

まず流水で十分に洗浄し、上司や感染管理部門へ報告。源患者のHBV・HCV・HIV検査を行い、必要に応じてHBVワクチンや抗HIV薬の暴露後予防投与PEPを開始するんだ。

アユム アユム

PEPって聞いたことあります。

博士 博士

post-exposure prophylaxisの略で、HIV曝露後2時間以内の開始が理想、遅くとも72時間以内に開始する必要があるよ。

アユム アユム

予防のための工夫もありますか?

博士 博士

安全機構付き翼状針や採血ホルダーの使用、抜針後にアンカバー状態を作らないこと、採血後直ちに廃棄することが重要だね。

アユム アユム

標準予防策の基本ですね。

博士 博士

そう、感染源の有無に関わらず全ての患者に適用するのが標準予防策の考え方だ。試験でも頻出だから必ず押さえておこう。

POINT

針刺し事故防止のため、採血時はディスポ手袋着用、リキャップ禁止、抜針後即座の専用容器廃棄が原則。廃棄容器は針を持つ手側の手の届く範囲に配置し、満杯ラインに達したら交換する。正解は3。事故時は洗浄・報告・源患者検査・PEPの手順で対応する。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:静脈血採血時に使用する器具の取り扱いで適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。針刺し切創事故は医療従事者にとってHBV・HCV・HIV感染のリスクがあり、標準予防策(スタンダードプリコーション)と針刺し防止の観点から、使用済み針は即座にリキャップせず携帯型の専用廃棄容器に廃棄するのが基本です。廃棄容器は採血実施者の手の届く範囲、特に針を持つ手側に置くことで動作距離を短くし、事故リスクを最小化します。

選択肢考察

  1. × 1.  真空採血管で採血する場合は素手で行う。

    血液・体液曝露の可能性がある処置では、標準予防策に基づき必ずディスポーザブル手袋を着用します。真空採血でも血液飛散や針刺しリスクは同様で、素手での実施は不適切です。

  2. × 2.  抜針した採血針はキャップをして破棄する。

    リキャップは針刺し事故の最大原因とされ、CDCガイドラインでも禁忌。抜針後は即座に専用廃棄容器に廃棄します。やむを得ない場合は片手すくい上げ法(one-hand scoop technique)を用います。

  3. 3.  針専用の廃棄容器は実施者の手の届く範囲に置く。

    廃棄動作を最短化して針刺し事故を防ぐため、廃棄容器は実施者の手の届く範囲、特に針を持つ手側に配置します。移動中に針が露出する時間を減らすのが目的です。

  4. × 4.  針専用の廃棄容器は廃棄物が投入口まで達したら交換する。

    投入口まで満杯にすると廃棄時に針が飛び出し事故の原因となります。容器に記載された満杯ライン(通常8割程度)に達したら投入口を閉鎖し、新しい容器に交換します。

針刺し事故発生時は、①流水で十分に洗浄、②上司・感染管理部門へ報告、③源患者のHBV・HCV・HIV検査、④必要に応じてHBVワクチン・抗HIV薬暴露後予防投与(PEP)を開始、の手順で対応します。採血の安全対策としては、安全機構付き翼状針・採血ホルダーの使用、採血後の針のアンカバー状態をつくらないことが重要です。標準予防策の7要素(手指衛生、個人防護具、呼吸器衛生、患者配置、器具の取扱い、環境整備、リネン取扱い)も合わせて覚えましょう。

採血時の針刺し事故防止の基本原則(リキャップ禁止、手袋着用、廃棄容器の配置・交換)を理解しているかを問う問題です。