男性への膀胱留置カテーテル挿入と固定のコツ
看護師国家試験 第113回 午前 第38問 / 基礎看護学 / 診療に伴う看護技術
国試問題にチャレンジ
成人男性への膀胱留置カテーテルの挿入で適切なのはどれか。
- 1.挿入時は腹圧をかけるように促す。
- 2.カテーテルを挿入する長さの目安は12〜14cmである。
- 3.尿の流出の開始と同時に固定用バルーンを膨らませる。
- 4.陰茎を頭側に向け、カテーテルを下腹部に固定する。
対話形式の解説
博士
今回は膀胱留置カテーテル、いわゆるバルーンカテーテルの挿入について解説するぞ。
アユム
男性は尿道が長いので特に慎重にしないといけませんね。
博士
その通り。男性の尿道長は16〜20cmあり、途中に前立腺部と陰茎陰嚢角という屈曲がある。
アユム
挿入時に患者さんに腹圧をかけてもらうのは良いのでしょうか?
博士
それは逆効果じゃ。腹圧で外尿道括約筋が収縮してしまうからのう。
アユム
ではどうすればいいですか?
博士
口からゆっくり息を吐いてもらい、括約筋を弛緩させると挿入がスムーズになる。
アユム
カテーテルは何cm入れればいいのでしょう?
博士
男性では約18〜20cm、あるいは分岐部近くまで進めて、尿流出を確認後さらに2〜3cm進めてからバルーンを膨らませる。
アユム
尿が出たらすぐ膨らませるのはダメなんですね。
博士
先端が膀胱頸部にあると尿道損傷を起こす。必ず余裕を持って膀胱内に入れてから固定する。
アユム
固定位置にも決まりがあるんですよね。
博士
男性は陰茎を頭側に向けて下腹部に固定する。陰茎陰嚢角で屈曲すると尿道皮膚瘻の原因になるからじゃ。
アユム
女性は違うんですか?
博士
女性は大腿内側に固定する。女性の尿道は4〜6cmしかない。
アユム
留置後はCAUTI予防のため閉鎖式回路を保ち、バッグは膀胱より低く保つんですね。
POINT
成人男性の膀胱留置カテーテルは無菌操作が必須で、呼気誘導で括約筋を弛緩させ、18〜20cmほど挿入します。尿流出確認後さらに2〜3cm進めてからバルーンを拡張し、陰茎を頭側に向けて下腹部に固定することで陰茎陰嚢角での屈曲と尿道損傷を防ぎます。閉鎖式回路の維持とバッグの位置管理はCAUTI予防の基本です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:成人男性への膀胱留置カテーテルの挿入で適切なのはどれか。
解説:正解は 4 です。成人男性では陰茎を頭側(臍方向)に向けて腹壁にテープ固定することで、陰茎陰嚢角部のカテーテル屈曲による圧迫・尿道損傷を防げます。固定位置の工夫は尿道皮膚瘻や膀胱尿道逆流の予防につながる重要なポイントです。
選択肢考察
-
× 1. 挿入時は腹圧をかけるように促す。
腹圧をかけると外尿道括約筋が収縮して挿入抵抗が増し、尿道損傷の危険が高まります。患者にはゆっくり口から息を吐くよう促し、括約筋を弛緩させて挿入します。
-
× 2. カテーテルを挿入する長さの目安は12〜14cmである。
成人男性の尿道長は16〜20cm程度あり、カテーテルは約18〜20cm、あるいは分岐部近くまで進めます。12〜14cmでは膀胱に到達せず、尿道内でバルーンを膨らませる重大事故につながります。
-
× 3. 尿の流出の開始と同時に固定用バルーンを膨らませる。
尿流出を確認した時点ではカテーテル先端が膀胱頸部付近にある可能性があり、そのままバルーンを膨らませると尿道損傷や出血を招きます。流出確認後さらに2〜3cm進めてから滅菌蒸留水でバルーンを拡張します。
-
○ 4. 陰茎を頭側に向け、カテーテルを下腹部に固定する。
陰茎を頭側に向けて下腹部に固定することで、陰茎陰嚢角でカテーテルが鋭角に屈曲するのを防ぎ、尿道皮膚瘻・尿道潰瘍・閉塞を予防できます。固定テープは皮膚トラブル予防のため位置を定期的に変更します。
膀胱留置カテーテル挿入は無菌操作が必須で、CAUTI(カテーテル関連尿路感染症)予防のため閉鎖式回路の維持、尿バッグを膀胱より低く保つこと、長期留置の回避が推奨されます。女性の尿道長は4〜6cmで、大腿内側にテープ固定します。抗凝固薬使用中や前立腺肥大症患者では尿道損傷リスクが高く、医師による挿入が望ましい場面もあります。
成人男性の膀胱留置カテーテル挿入と固定における解剖学的根拠と合併症予防、特に陰茎の固定方向を理解しているかを問う問題です。
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