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ペプロウが示した看護の本質、専門的援助関係はどこに焦点を置く?

看護師国家試験 第109回 午前 第31問 / 基礎看護学 / 看護の基本となる概念

国試問題にチャレンジ

109回 午前 第31問

患者と看護師の間の専門的な援助関係で適切なのはどれか。

  1. 1.自然発生的に成立する。
  2. 2.援助方法は看護師に一任される。
  3. 3.患者のニーズに焦点がおかれる。
  4. 4.日常的な会話を中心に展開する。

対話形式の解説

博士 博士

今回は看護師と患者の間に築かれる『専門的援助関係』について学ぶぞ。よく出題される基本だが、案外言葉の意味をきちんと押さえていない学生が多いのじゃ。

サクラ サクラ

専門的援助関係って、普通の人間関係と何が違うんですか?

博士 博士

良い問いじゃ。日常の友人関係は自然発生的で、目的や期限もない。一方、看護における援助関係は、看護師が専門的知識と技術をもって意図的に構築する関係で、患者の健康上のニーズを解決することを目的にしておる。

サクラ サクラ

じゃあ出会った瞬間から関係ができているわけではないんですね。

博士 博士

そうじゃ。ペプロウは対人関係理論のなかで、方向づけ→同一化→開拓利用→問題解決という4段階のプロセスを経て援助関係が発展すると説明した。関係は育てるものなのじゃ。

サクラ サクラ

なるほど。ところで選択肢にある『患者のニーズに焦点がおかれる』というのが正解だそうですが、これはペプロウの考えと関係がありますか?

博士 博士

大いに関係がある。ペプロウは専門職看護の5つの特性を挙げ、その筆頭が『焦点は患者にある』ことじゃ。看護師は自分の価値観や都合ではなく、常に患者のニーズを中心に据えて関わるのじゃよ。

サクラ サクラ

援助方法は看護師に一任されるというのはダメなんですか?専門家だから任せたほうが良さそうに感じます。

博士 博士

ここが落とし穴じゃ。現代看護では患者の自己決定権やインフォームドコンセントを尊重するため、援助は患者との協働で決める。看護師が独断で進めるのは専門的援助関係ではなく、むしろ患者を受け身にしてしまうのじゃ。

サクラ サクラ

日常的な会話を中心に展開する、というのも違うんですね。

博士 博士

日常会話はラポール形成、つまり信頼関係を作るきっかけとしては使う。しかし援助関係の中心はあくまで治療的コミュニケーションで、患者の療養・疾病・生活課題に結びつく意図的な対話なのじゃ。

サクラ サクラ

治療的コミュニケーションって、傾聴や共感、沈黙の活用などですね。

博士 博士

その通り。開かれた質問で患者の思いを引き出し、沈黙で思考の時間を与え、反映で患者自身の気づきを促す、といった技法がある。こうした意図的な関わりがあってこそ援助関係が成立するのじゃ。

サクラ サクラ

ペプロウ以外の理論家も似たことを言っているんですか?

博士 博士

オーランドは『患者の言動→看護師の反応→看護師の行為』というプロセスを、トラベルビーは『人間対人間の関係』を強調した。表現は違えど、焦点を患者に置くという点は共通しておる。

サクラ サクラ

国試ではどんな形で問われることが多いですか?

博士 博士

『専門的援助関係で適切なのはどれか』『ペプロウの4段階』『治療的コミュニケーション』がよく狙われる。本問のように、自然発生的・看護師に一任・日常会話中心といった選択肢は典型的な誤答の形じゃから覚えておくとよい。

サクラ サクラ

看護の土台になる考え方なので、しっかり押さえておきます。

POINT

患者と看護師の専門的援助関係は、看護師が専門的知識と技術を用いて患者のニーズに意図的・計画的に関わる協働的関係であり、ペプロウの対人関係理論では『焦点は患者にある』ことが最大の特性とされます。援助は自然発生的に生じるものでも、看護師が一方的に決定するものでもなく、方向づけから問題解決までの段階を経て発展します。治療的コミュニケーションを基盤に患者のニーズを中心に据え、自己決定を尊重して共に課題に取り組む姿勢が看護の専門性の核です。国家試験では本問のように基本原則を確認する出題が繰り返されるため、ペプロウの理論の骨格とともに理解しておくことが重要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:患者と看護師の間の専門的な援助関係で適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。看護における専門的な援助関係は、看護師が専門的知識と技術を用いて患者のニーズ(健康上の課題・欲求)を把握し、その解決や充足に向けて意図的に働きかける関係性である。ペプロウは看護を「人間関係のプロセス」と定義し、専門職看護の特性のひとつとして『焦点は患者にある』ことを挙げた。すなわち、援助の中心軸は常に患者のニーズに置かれ、看護師は自らの価値観や都合ではなく、患者が抱える課題に寄り添いながら共に解決を目指す存在とされる。

選択肢考察

  1. × 1.  自然発生的に成立する。

    専門的援助関係は偶発的・自然発生的に生まれるものではなく、看護師が意図的・計画的に関わることで構築される。ペプロウは方向づけ・同一化・開拓利用・問題解決という4段階を経て相互作用が展開するとした。

  2. × 2.  援助方法は看護師に一任される。

    援助は看護師と患者の協働によって進められ、患者の意向・価値観・自己決定を尊重することが必須である。一方的に看護師が決定するのは専門的援助関係とは言えない。

  3. 3.  患者のニーズに焦点がおかれる。

    専門的援助関係の本質であり、正解。患者のニーズを中心に据えて情報収集・アセスメント・計画・実施・評価の看護過程が展開される。

  4. × 4.  日常的な会話を中心に展開する。

    日常会話はラポール形成の手段として用いられるが、それ自体が中心ではない。専門的援助関係は治療的コミュニケーションに基づき、患者の健康課題に向けた目的的な対話を展開する。

ペプロウの対人関係理論は1952年の著書『人間関係の看護論』で体系化された。看護師は「見知らぬ人」「情報提供者」「教育者」「リーダー」「代理人」「カウンセラー」など複数の役割を状況に応じて果たすと位置づけられている。オーランドやトラベルビーなど他の対人関係理論家も、援助関係の中心は常に患者であると共通して強調している。

看護における専門的援助関係の本質的特徴、とくにペプロウが提唱した『焦点は患者にある』という原則を問う問題。