クリティカル・シンキングの本質
看護師国家試験 第111回 午後 第34問 / 基礎看護学 / 看護の基本となる概念
国試問題にチャレンジ
クリティカル・シンキングで適切なのはどれか。
- 1.物事を否定的にみる。
- 2.根拠に基づいて考える。
- 3.主観的な情報を重視する。
- 4.直感的に状況を判断する。
対話形式の解説
博士
クリティカル・シンキングの意味を問う基本問題じゃ。看護師の思考法の土台じゃから確実に押さえたい。
アユム
先生、クリティカルって「批判する」ってイメージで少し怖いです。
博士
多くの学生がそう誤解するのじゃ。クリティカル・シンキングの「批判的」は「否定する」ではなく「吟味する・検討する」という意味じゃぞ。
アユム
なるほど。正解はどれですか?
博士
正解は2の「根拠に基づいて考える」じゃ。これがクリティカル・シンキングの中核じゃ。
アユム
選択肢1の否定的にみるとの違いは?
博士
否定は「ダメだと決めつける」、批判は「前提や根拠を検証して妥当性を評価する」。似ているようで全然違う態度なのじゃ。
アユム
選択肢3の主観的情報の重視はどうですか?
博士
主観も大切じゃが、それだけに頼ると判断がぶれる。クリティカル・シンキングでは客観的データや研究結果を重視して、主観は補足として扱う。
アユム
選択肢4の直感的判断はどうでしょう?
博士
直感的判断はヒューリスティックスといって、熟練看護師が瞬時に異変に気づく場面では有用じゃが、クリティカル・シンキングとは異なる。クリティカル・シンキングは「なぜそう判断したか」を論理的に説明できる思考じゃ。
アユム
看護過程のどの段階で使いますか?
博士
アセスメント、看護診断、計画立案、実施、評価のすべてじゃ。特にアセスメントで「この情報は本当に正しいか」「他の解釈はないか」を問う姿勢が重要じゃ。
アユム
エビデンスに基づく看護(EBN)にも関連しますか?
博士
大いに関連する。EBNは最新の研究エビデンスを臨床判断に活かす考え方で、クリティカル・シンキングはその土台となる思考法じゃ。
アユム
ロジカル・シンキングとは何が違うんですか?
博士
ロジカル・シンキングは「筋道を立てて考える」、クリティカル・シンキングは「その筋道自体を疑い吟味する」というイメージじゃ。両者は相互補完関係にある。
アユム
先入観を排除して、根拠を問い続ける姿勢が大事なんですね。
博士
その通り。看護師は毎日の判断にクリティカル・シンキングを組み込むことで、安全で質の高いケアを提供できるのじゃ。
POINT
クリティカル・シンキングは「根拠に基づく客観的・論理的な思考」であり、否定的思考や直感的判断とは異なります。看護過程の全段階で必要となり、EBN(エビデンスに基づく看護)の土台として機能します。「批判」は「吟味」と捉え、先入観を排して前提を検証する姿勢を意識しましょう。国試では他の思考法との対比で問われることもあります。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:クリティカル・シンキングで適切なのはどれか。
解説:正解は 2 です。クリティカル・シンキング(批判的思考)とは、物事を鵜呑みにせず、客観的な根拠・基準・論理に基づいて分析・評価・判断する思考態度のことです。看護では先入観や慣習にとらわれず、エビデンスに基づく看護(EBN)を実践するための基盤となります。
選択肢考察
-
× 1. 物事を否定的にみる。
「批判的」は「否定的」とは異なります。否定ではなく、前提や根拠を検証しながら客観的に吟味する態度を指します。
-
○ 2. 根拠に基づいて考える。
クリティカル・シンキングの中核的要素です。エビデンスや論理的根拠に基づき、客観的に分析・評価・判断します。
-
× 3. 主観的な情報を重視する。
主観に偏らず、客観的情報を重視するのがクリティカル・シンキングです。主観は補助情報として扱います。
-
× 4. 直感的に状況を判断する。
直感ではなく論理的・分析的に判断します。直感的判断はヒューリスティックスと呼ばれ、クリティカル・シンキングとは異なる思考法です。
関連する思考法としてロジカル・シンキング(論理的思考)、リフレクティブ・シンキング(内省的思考)があります。看護過程のアセスメントから評価に至るすべての段階でクリティカル・シンキングは必要で、特に「なぜこの症状が出ているのか」「この計画は本当に患者に合っているか」を問い続ける姿勢が重要です。
クリティカル・シンキング=批判的思考の本質が「根拠に基づく客観的思考」であることを問う問題です。
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