加齢による心血管の変化を整理しよう
看護師国家試験 第105回 午後 第87問 / 老年看護学 / 高齢者の健康
国試問題にチャレンジ
加齢に伴う心血管系の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.心拍数の増加
- 2.左室壁の肥厚
- 3.収縮期血圧の上昇
- 4.圧受容機能の亢進
- 5.刺激伝導系の細胞数の増加
対話形式の解説
博士
第105回午後206は加齢に伴う心血管系の変化を2つ選ぶ問題じゃ。
サクラ
博士、加齢でまず起こるのはどんな変化ですか。
博士
血管の弾性線維が減少しコラーゲンが増加して動脈硬化が進む、これが出発点じゃ。
サクラ
正解は何番ですか。
博士
正解は2と3じゃ。3の収縮期血圧の上昇は大動脈の弾性低下により生じる現象で、脈圧が広がる孤立性収縮期高血圧が高齢者の特徴じゃ。
サクラ
2の左室壁肥厚はなぜ起こるのですか。
博士
大動脈硬化で後負荷が増えるから、それに対抗して左室壁が肥厚する。求心性リモデリングと呼ばれ、HFpEFの基盤になるのじゃ。
サクラ
HFpEFとは何ですか。
博士
駆出率が保たれた心不全のことで、拡張機能障害が主体で高齢女性に多いんじゃ。
サクラ
1の心拍数増加はなぜ誤りですか。
博士
洞結節細胞は加齢で減少し、交感神経応答も鈍化するから、最大心拍数はむしろ低下する。目安は220マイナス年齢じゃ。
サクラ
4の圧受容機能亢進は。
博士
加齢により頸動脈洞や大動脈弓の圧受容器反射は鈍化し、起立性低血圧や食後低血圧が起こりやすくなるんじゃ。
サクラ
5の刺激伝導系細胞数の増加はどうですか。
博士
洞結節や房室結節の細胞数は減少し線維化や脂肪浸潤が進むから、洞不全症候群や房室ブロックが増えるのじゃ。
サクラ
高齢者の降圧目標値を教えてください。
博士
日本高血圧学会では75歳以上でも140/90mmHg未満が目標で、忍容性があれば130/80mmHg未満を目指すのじゃ。
サクラ
看護のポイントは何ですか。
博士
起立時の血圧変動や失神歴、徐脈頻脈の有無を評価することじゃ。
POINT
加齢により大動脈の弾性が低下して収縮期血圧が上昇し、代償的に左室壁が肥厚します。一方で心拍数上昇、圧受容機能亢進、刺激伝導系細胞数増加は誤りで、いずれも加齢で低下・減少します。起立性低血圧やHFpEFへの配慮が高齢者の循環器管理で重要です。
解答・解説
正解は 2 ・ 3 です
問題文:加齢に伴う心血管系の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 2 と 3 です。加齢に伴う心血管系の変化は、血管の弾性線維減少とコラーゲン増加による動脈硬化、心筋のアミロイド沈着や間質線維化、洞結節細胞数の減少などが中心です。大動脈のstiffnessが増すと収縮期血圧が上昇し拡張期血圧は低下、脈圧が増大します。後負荷の増大を代償するため左室壁は肥厚(求心性リモデリング)します。一方で心拍数の最大値は低下し、圧受容器反射は鈍化、刺激伝導系の細胞数は減少します。
選択肢考察
-
× 1. 心拍数の増加
加齢により洞結節細胞は減少し、交感神経応答も鈍化するため、安静時心拍数は不変から軽度低下、最大心拍数は低下します(目安:220 − 年齢)。
-
○ 2. 左室壁の肥厚
大動脈硬化による後負荷増大を代償するため、左室壁は肥厚し拡張機能が低下します。これは高齢者のHFpEF(駆出率保持心不全)の基盤にもなります。
-
○ 3. 収縮期血圧の上昇
大動脈の弾性低下により収縮期血圧は上昇し拡張期血圧は低下、結果として脈圧が広がります。高齢者の孤立性収縮期高血圧(ISH)の病態です。
-
× 4. 圧受容機能の亢進
頸動脈洞や大動脈弓の圧受容器反射は加齢により感受性が低下し、起立性低血圧や食後低血圧を起こしやすくなります。
-
× 5. 刺激伝導系の細胞数の増加
洞結節や房室結節の細胞数は加齢で減少し、線維化や脂肪浸潤が進むため、洞不全症候群や房室ブロックが生じやすくなります。
高齢者の高血圧管理では、起立性低血圧や食後低血圧に注意しつつ降圧を進めることが重要で、日本高血圧学会のガイドラインでは75歳以上でも140/90mmHg未満(忍容性があれば130/80mmHg未満)が目標です。HFpEFは女性・高齢者に多く、利尿薬や併存症コントロールが中心となります。加齢による不整脈リスクから、失神歴や徐脈・頻脈の評価も重要です。
加齢に伴う心血管系の生理学的変化を正確に理解しているかを問う設問です。
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