高齢者の術後呼吸器合併症
看護師国家試験 第111回 午後 第51問 / 老年看護学 / 高齢者の健康
国試問題にチャレンジ
高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい理由はどれか。
- 1.1秒率の減少
- 2.残気量の減少
- 3.嚥下反射の亢進
- 4.気道の線毛運動の亢進
対話形式の解説
博士
今日は高齢者が手術後に呼吸器合併症を起こしやすい理由を考えていこう。
サクラ
手術と加齢って、そんなに関係があるんですか?
博士
大いに関係があるよ。年齢を重ねると、胸郭は硬くなり呼吸筋の筋力も低下するんだ。
サクラ
つまり、深呼吸や咳がうまくできなくなるということですね。
博士
そのとおり。この問題の正解は1、つまり1秒率の減少だ。
サクラ
1秒率ってなんでしたっけ?
博士
努力性肺活量のうち最初の1秒間で吐き出せる割合のことで、70%未満だと閉塞性換気障害の目安になるんだ。
サクラ
選択肢2の残気量はどうですか?
博士
加齢で肺の弾性が失われるので、残気量はむしろ増加するんだよ。減少ではなく増加が正しい。
サクラ
選択肢3の嚥下反射と選択肢4の線毛運動は、どちらも「亢進」と書いてありますね。
博士
どちらも加齢で低下する機能で、誤嚥性肺炎の温床になる。気道の線毛運動が弱まると痰が出しにくくなり、術後の無気肺や肺炎につながるんだ。
サクラ
だから術前から呼吸訓練や禁煙が大事なんですね。
博士
そのとおり。術後は早期離床、口腔ケア、排痰援助も合併症予防の柱だよ。
サクラ
加齢による変化を知っていると看護計画も立てやすくなります。
POINT
加齢に伴い胸郭の硬化や呼吸筋力低下により1秒率が減少し、残気量は増加、嚥下反射・線毛運動は低下します。これらが複合して術後の喀痰排出能や換気能が低下し、無気肺・肺炎などの呼吸器合併症のリスクが高まります。予防には術前の呼吸訓練・禁煙、術後の早期離床と排痰援助、口腔ケアが重要です。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい理由はどれか。
解説:正解は 1 です。加齢に伴い胸郭の弾性低下、呼吸筋力の減弱、肺胞の弾性収縮力低下が生じ、1秒量・1秒率が低下します。これにより気道クリアランスが悪化し、無気肺・術後肺炎など呼吸器合併症のリスクが高まります。
選択肢考察
-
○ 1. 1秒率の減少
加齢により胸郭が硬化し呼吸筋力が低下するため、努力呼気に占める1秒量の割合である1秒率が低下します。閉塞性換気障害の指標であり、1秒率70%未満は術後呼吸器合併症のハイリスク因子です。
-
× 2. 残気量の減少
加齢で肺の弾性収縮力が低下すると呼気で吐ききれない空気が増え、残気量はむしろ増加します。
-
× 3. 嚥下反射の亢進
高齢者では嚥下反射・咳嗽反射ともに低下し、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。亢進ではなく低下が正しい記述です。
-
× 4. 気道の線毛運動の亢進
加齢に伴い気道粘膜の線毛運動は低下し、喀痰や異物の排出能力が減退します。そのため術後の気道浄化が困難となり感染リスクが上昇します。
術後呼吸器合併症の危険因子は、高齢、喫煙、肥満、COPDなどの基礎疾患、開胸・上腹部手術、全身麻酔時間の延長などです。術前からの禁煙指導、呼吸訓練(インセンティブスパイロメトリー)、術後の早期離床、口腔ケアが予防に重要です。
加齢に伴う呼吸機能の変化(1秒率低下、残気量増加、嚥下・線毛運動の低下)を理解し、術後呼吸器合併症のリスク要因として説明できるかを問う問題です。
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