高齢者の循環器系の変化
看護師国家試験 第111回 午後 第52問 / 老年看護学 / 高齢者の健康
国試問題にチャレンジ
加齢に伴う高齢者の循環器系の変化で正しいのはどれか。
- 1.運動時の心拍出量が増大する。
- 2.拡張期血圧が上昇する。
- 3.心室壁が厚くなる。
- 4.脈圧が狭小化する。
対話形式の解説
博士
今回は加齢によって心臓や血管がどう変わるかを確認しよう。
アユム
お年寄りは動脈硬化というイメージがあります。
博士
そのとおり。動脈壁の弾性が失われて硬くなると、心臓が血液を押し出すのに必要な圧が高くなる。
アユム
正解は何番ですか?
博士
正解は3の「心室壁が厚くなる」だよ。末梢血管抵抗の増大に対抗するため、左心室は求心性に肥大するんだ。
アユム
選択肢1の運動時心拍出量はどうでしょうか。
博士
高齢者では最大心拍数が低下し、心収縮力も落ちるので、運動時の最大心拍出量は減少するんだ。
アユム
選択肢2の拡張期血圧上昇も違いますよね。
博士
そう、動脈が硬くなると拡張期にうまく縮まないので、拡張期血圧はむしろ下がる。収縮期血圧だけが上がる孤立性収縮期高血圧が典型だよ。
アユム
選択肢4の脈圧の狭小化は?
博士
上が上がり下が下がれば、差である脈圧は大きくなるね。狭小化ではなく拡大が正しい。
アユム
脈圧が大きいことは何を意味するんですか?
博士
大動脈の動脈硬化の進行度を示していて、心血管イベントのリスク指標になるんだよ。
アユム
心肥大が進むとどんな弊害がありますか?
博士
拡張障害が進み、心不全やうっ血が起こりやすくなる。高齢者のHFpEFの背景にもなっているんだ。
アユム
薬の効き方にも注意が必要ですね。
博士
降圧薬やジギタリスは慎重投与、起立性低血圧もあるので転倒予防も重要だよ。
POINT
加齢により動脈硬化が進行し末梢血管抵抗が増大すると、左心室壁が厚くなる求心性肥大が起こります。収縮期血圧は上昇し拡張期血圧は低下するため脈圧は拡大し、運動時の最大心拍出量は低下します。高齢者では拡張障害・起立性低血圧が起こりやすく、降圧薬や循環動態の評価では慎重な観察が必要です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:加齢に伴う高齢者の循環器系の変化で正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。加齢により動脈壁が硬化し末梢血管抵抗が増大すると、左心室は高い後負荷に対抗するために求心性肥大を起こし、心室壁が厚くなります。いわゆる高血圧性心肥大の機序です。
選択肢考察
-
× 1. 運動時の心拍出量が増大する。
加齢により最大心拍数は低下し心筋収縮力も衰えるため、運動時に得られる最大心拍出量は若年者に比べて減少します。
-
× 2. 拡張期血圧が上昇する。
加齢による動脈硬化では収縮期血圧が上昇する一方、拡張期血圧はむしろ低下傾向となり、孤立性収縮期高血圧を呈しやすくなります。
-
○ 3. 心室壁が厚くなる。
動脈硬化により後負荷が増大するため、左心室は壁厚を増して対応します。これは求心性肥大と呼ばれ、拡張障害の原因となります。
-
× 4. 脈圧が狭小化する。
収縮期血圧の上昇と拡張期血圧の低下により脈圧はむしろ拡大します。脈圧の増大は大動脈の動脈硬化の指標です。
高齢者の循環器系の特徴は、動脈硬化の進行による後負荷増大、心肥大、拡張障害、最大心拍数の低下、圧受容体反射の鈍化による起立性低血圧の出現などです。ジギタリスやβ遮断薬の効果や副作用の出方にも影響するため、アセスメントでは既往歴と服薬歴を丁寧に確認します。
加齢に伴う血管・心臓の構造変化と血圧・脈圧・心拍出量への影響を統合的に理解できるかを問う問題です。
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