高齢者の生活史の聴き方
看護師国家試験 第108回 午前 第52問 / 老年看護学 / 老年看護の基本
国試問題にチャレンジ
高齢者に対する生活史の聴き方で適切なのはどれか。
- 1.認知機能の評価尺度を用いる。
- 2.事実と異なる聴取内容を訂正する。
- 3.話を聴く前に文書による同意を得る。
- 4.高齢者が話しやすい時代の思い出から聴く。
対話形式の解説
博士
今日は高齢者に生活史を聴く際のポイントを学ぶぞ。
アユム
博士、そもそも生活史って何のために聴くんですか?
博士
その人の生きてきた歴史や価値観、習慣を知ることで、その人らしいケアを提供するためじゃ。特に認知症ケアでは重要な手がかりになるんじゃよ。
アユム
正解はどれですか?
博士
正解は4の「高齢者が話しやすい時代の思い出から聴く」じゃ。楽しい思い出から入ることで本人の緊張が和らぎ、自然に語りが広がるんじゃな。
アユム
選択肢1の認知機能評価尺度はどうして違うんですか?
博士
MMSEや長谷川式などは認知機能障害をスクリーニングする検査じゃ。生活史聴取は評価ではなく共感的な対話が目的だから別物じゃよ。
アユム
選択肢2の「事実と異なる内容を訂正する」は?
博士
生活史は本人にとっての主観的真実なんじゃ。訂正すると語りが途切れて信頼関係も崩れてしまう。受容的に聴くことが大切じゃぞ。
アユム
選択肢3の文書同意は必要ないんですか?
博士
研究目的で公表する場合は必要じゃが、日常ケアでは口頭で「少しお話を伺ってよいですか」と確認すれば十分じゃ。ただしプライバシー保護は必須じゃ。
アユム
ライフレビューという言葉を聞いたことがありますが。
博士
Butlerが提唱した概念で、高齢者が過去を振り返り整理・統合する発達課題じゃ。自己肯定感を高める効果もあり、回想法として認知症ケアにも応用されておる。
アユム
聴取する時のコツはありますか?
博士
静かでプライバシーが守られる環境を整え、写真や昔の音楽など手がかりを活用すると語りが引き出しやすいぞ。時間に余裕を持って急かさないこともポイントじゃ。
アユム
否定せず聴くって難しそうですね。
博士
そうじゃな。バリデーション療法のように本人の感情に寄り添い、共感的に応答する技術が役立つ。事実より感情を受け止めるのがコツじゃ。
アユム
生活史がケアにどう活きるんですか?
博士
例えば元教師だった方には役割を意識した関わり、農家だった方には土や季節の話題でアプローチするなど、個別性のあるケアに直結するんじゃよ。
アユム
覚え方は?
博士
「話しやすい・否定しない・評価しない」の三原則じゃ。
POINT
高齢者の生活史聴取は、その人らしさを理解しパーソン・センタード・ケアに活かす重要な技法です。話しやすい時代の思い出から入り、否定せず受容的に聴く姿勢が基本となります。評価尺度や文書同意は通常不要であり、静かな環境と十分な時間を確保し、回想法的効果も意識して関わることが望まれます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:高齢者に対する生活史の聴き方で適切なのはどれか。
解説:正解は 4 です。生活史(ライフヒストリー)の聴取は、高齢者個々の価値観・習慣・人間関係を理解し、その人に合ったケアを提供するための重要な情報収集です。高齢者には回想法的効果もあり、本人が話しやすい時代の思い出から入ることで心理的負担を減らし、自然に語りを引き出せます。
選択肢考察
-
× 1. 認知機能の評価尺度を用いる。
認知機能評価尺度(MMSEや長谷川式など)は認知機能障害の有無をスクリーニングする検査であり、生活史を聴き取る目的では用いません。生活史聴取は評価ではなく共感的な対話が基本です。
-
× 2. 事実と異なる聴取内容を訂正する。
生活史は高齢者本人にとっての主観的真実であり、その人の体験・解釈そのものが重要です。事実と異なる部分を訂正すると語りが中断し信頼関係を損ないます。否定せず受容する姿勢が求められます。
-
× 3. 話を聴く前に文書による同意を得る。
研究目的で公表する場合は同意書が必要ですが、日常のケアで生活史を聴く際には文書同意は不要です。ただし口頭で話を聞いてよいか確認し、プライバシー保護に努める必要があります。
-
○ 4. 高齢者が話しやすい時代の思い出から聴く。
話しやすい楽しい思い出から始めると本人の緊張が和らぎ、自発的な語りが広がります。高齢者の人生の振り返り(ライフレビュー)は自己肯定感を高め、回想法としても有益です。
ライフレビュー(人生回顧)はButlerが提唱した概念で、高齢者が過去を整理・統合する発達的課題とされています。看護では生活歴聴取を通じて、その人らしさを尊重したパーソン・センタード・ケアや認知症ケア(ユマニチュード、バリデーションなど)に繋げます。聴取時は静かな環境を整え、写真・音楽など手がかりを活用するのも効果的です。
高齢者の生活史(ライフヒストリー)聴取の基本姿勢を問う問題です。
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