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81歳男性の大腸カメラ前、看護師が真っ先に聞くべきは?

看護師国家試験 第114回 午後 第56問 / 老年看護学 / 健康状態・受療状況に応じた看護

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第56問

Aさん(81歳、男性)は、大腸内視鏡検査を受けることになった。 検査前にAさんへ看護師が確認する項目で最も優先されるのはどれか。

  1. 1.義歯の使用
  2. 2.白内障(cataract)の有無
  3. 3.保持できない姿勢
  4. 4.前立腺肥大症(prostatic hyperplasia)の有無

対話形式の解説

博士 博士

今日は大腸内視鏡検査を受ける高齢男性の事前確認について考えるぞ。

アユム アユム

Aさんは81歳の男性。検査前に確認すべきことってたくさんありそうですね。

博士 博士

そうじゃな。じゃが「最優先」となると薬剤の安全性に関わる項目を選ぶのじゃ。

アユム アユム

薬剤というと?

博士 博士

大腸内視鏡では検査中に腸の蠕動を抑えるため抗コリン薬、ブチルスコポラミン臭化物などを使うことが多い。これがキーになる。

アユム アユム

抗コリン薬って副作用に何がありましたっけ?

博士 博士

ムスカリン受容体を遮断するから、口渇・頻脈・眼圧上昇・尿閉・排尿困難・腸蠕動低下など多彩な副作用が出る。

アユム アユム

81歳男性でリスクが高いのは…前立腺肥大症ですね!

博士 博士

その通り。高齢男性は前立腺肥大症の合併率が非常に高い。抗コリン薬で膀胱の収縮力が落ちると、もともと出にくい尿が完全に出なくなり急性尿閉を起こす危険がある。

アユム アユム

それは緊急対応が必要になりますね。

博士 博士

じゃから前立腺肥大症の有無を最優先で確認し、ある場合は薬剤の選択や用量、代替法を医師と相談する必要があるのじゃ。

アユム アユム

白内障の有無というのもありましたが?

博士 博士

抗コリン薬で問題になる眼疾患は閉塞隅角緑内障じゃ。眼圧上昇で急性発作を起こす危険がある。白内障は水晶体の混濁だから抗コリン薬使用に直接関係しない。

アユム アユム

義歯はどうですか?

博士 博士

胃カメラなら誤飲防止で外す必要があるが、大腸カメラは肛門から挿入するから義歯は問題にならんのじゃ。

アユム アユム

姿勢の保持は?

博士 博士

大腸内視鏡は左側臥位が基本で、姿勢を保持できるかは確かに確認する。じゃが薬剤による生命に関わるリスクと比べると優先度は下がる。

アユム アユム

他の禁忌はありますか?

博士 博士

緑内障、前立腺肥大症、頻脈性不整脈、麻痺性イレウスが代表的じゃ。糖尿病患者では代替薬のグルカゴンが禁忌になることもある。

アユム アユム

高齢者は複数の疾患を持っていることが多いから、丁寧な問診が大事ですね。

博士 博士

その通り。検査の安全は事前確認に始まる。基本中の基本じゃが最重要のスキルじゃよ。

POINT

大腸内視鏡検査では腸蠕動を抑制するため抗コリン薬(ブチルスコポラミン臭化物など)が使用されることが多く、副作用として尿閉・眼圧上昇・頻脈などがあります。81歳男性のAさんでは前立腺肥大症の合併率が高く、抗コリン薬投与により急性尿閉を起こす危険があるため、前立腺肥大症の有無の確認が最優先となります。同様に閉塞隅角緑内障も禁忌・慎重投与の対象となるため事前確認が必要です。義歯の使用や姿勢保持、白内障は確認項目ではあるものの、薬剤の安全性に直結する前立腺肥大症の確認に比べ優先度は下がります。看護師は薬剤の作用機序と禁忌を理解した上で問診を行うことで、合併症のある高齢者でも安全に検査を進める基盤を整えることができます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:Aさん(81歳、男性)は、大腸内視鏡検査を受けることになった。 検査前にAさんへ看護師が確認する項目で最も優先されるのはどれか。

解説:正解は 4 です。大腸内視鏡検査では、腸蠕動を抑制してスコープ操作を容易にするため、前処置や検査時に抗コリン薬(ブチルスコポラミン臭化物など)が使用されることが多い。抗コリン薬はムスカリン受容体を遮断する作用を持ち、副作用として尿閉・排尿困難、頻脈、口渇、眼圧上昇などが知られる。前立腺肥大症のある男性では膀胱排出障害が悪化し、急性尿閉を起こす危険があるため使用禁忌・慎重投与となる。81歳男性という設定では前立腺肥大症の合併が多く、薬剤投与の可否を判断するための情報として最優先で確認すべき項目となる。

選択肢考察

  1. × 1.  義歯の使用

    大腸内視鏡は肛門からスコープを挿入するため、義歯が検査の妨げになることはない。胃内視鏡では誤飲防止のため除去するが、大腸内視鏡では最優先確認項目とはならない。

  2. × 2.  白内障(cataract)の有無

    抗コリン薬で問題となる眼疾患は閉塞隅角緑内障であり眼圧上昇のリスクがある。白内障は水晶体の混濁であり抗コリン薬使用の可否には直接関与しないため最優先ではない。

  3. × 3.  保持できない姿勢

    大腸内視鏡は左側臥位が基本で姿勢保持の確認は必要だが、薬剤副作用による生命・全身状態への影響リスクと比較すると優先度は下がる。

  4. 4.  前立腺肥大症(prostatic hyperplasia)の有無

    抗コリン薬の使用により急性尿閉を起こす可能性がある。81歳男性では前立腺肥大症の合併率が高く、薬剤選択や代替法の検討に直結するため最優先で確認すべき項目となる。

大腸内視鏡検査の前処置では下剤(マグコロールPやモビプレップなど)で腸内容を排出した後、検査時に鎮痙薬として抗コリン薬を静脈内投与するのが一般的である。抗コリン薬の禁忌・慎重投与には、緑内障(特に閉塞隅角型)、前立腺肥大症、心疾患(頻脈性不整脈)、麻痺性イレウスなどがあり、これらは検査前に必ず確認する。禁忌のある場合はグルカゴン(糖尿病では禁忌)など代替薬を選択する。高齢者では複数の合併症を持つことが多く、術前の問診と既往歴の聴取が安全な検査実施の鍵となる。

大腸内視鏡検査前に使用する抗コリン薬の副作用と禁忌(特に前立腺肥大症・緑内障)を理解しているかを問う問題。81歳男性という設定が前立腺肥大症の確認を最優先にする根拠となる。