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機能性尿失禁への排泄用具選択

看護師国家試験 第105回 午後 第96問 / 老年看護学 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

105回 午後 第96問

次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(85歳、女性)は、1人暮らしで、他県に住んでいる長男家族がいる。腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal canal stenosis)と診断されているが、ゆっくりとした動作であれば日常生活が可能であり、畑で野菜をつくることを趣味としている。 Aさんから「尿が漏れて困ります。洗濯物が増えるので、干したり取り込んだりするのが大変です。どうしたらよいでしょうか」と相談を受けた。 看護師の対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.テープ付き紙おむつを紹介する。
  2. 2.背もたれ付きポータブルトイレを紹介する。
  3. 3.介護保険の訪問介護を受けた方がよいと説明する。
  4. 4.下着の中に入れて使う尿失禁用パッドを紹介する。

対話形式の解説

博士 博士

Aさんから『尿が漏れて洗濯物が増えて大変』という相談がきた。どう応えるのが最適か考えよう。

アユム アユム

Aさんはトイレに自力で行けますよね。

博士 博士

その通りじゃ。動作はゆっくりじゃが洋式トイレで排泄可能で、畑仕事もできる。『自立した生活をできるだけ維持する』ことが原則になる。

アユム アユム

排泄用具って種類が多くて選ぶのが難しいです。

博士 博士

大きく軽いものから重いものへと段階がある。尿失禁パッド→パンツ型紙おむつ→テープ型紙おむつの順に、介護量が増えていくと考えるとよい。

アユム アユム

ADLに合わせて最小限の支援を選ぶんですね。

博士 博士

そうじゃ。では選択肢を見ていこう。1のテープ付き紙おむつはどうじゃ?

アユム アユム

テープ型は臥床中で自分で腰を上げられない方向けですよね。

博士 博士

正解。自力でトイレに行けるAさんには過剰で、自尊心を損ねるし廃用も招く。2のポータブルトイレは?

アユム アユム

トイレまで移動が難しい人のためのものですから、Aさんには不要です。

博士 博士

その通り。導入するとかえって活動範囲を狭める恐れがある。3の訪問介護は?

アユム アユム

Aさんは日常生活も農作業もできているので、今の段階では必要ないですね。

博士 博士

うむ。相談内容は『洗濯物の負担』であって、介護全般の問題ではない。4の尿失禁パッドが正解じゃ。

アユム アユム

下着の中に入れて使うタイプですね。少量の漏れを吸収できて、取り替えも簡単。

博士 博士

その通り。自立した排泄を維持しながら、下着が汚れず洗濯負担が減る。Aさんの困りごとに的確に応える選択じゃ。

アユム アユム

尊厳を守りながら問題解決するという発想が大事ですね。

博士 博士

その通り。排泄は生活の根幹に関わるデリケートな領域じゃから、本人の希望と能力を尊重して最小限の支援を選ぼう。

アユム アユム

将来ADLが落ちたら、パンツ型紙おむつやポータブルトイレに移行していくんですね。

博士 博士

うむ。段階的にアセスメントし直すのが大切じゃ。介護保険サービスも必要に応じて検討するが、今は尿パッドで十分じゃ。

POINT

排泄用具選択はADLと相談内容に応じた『過不足ない支援』が基本です。自立した生活を送るAさんには、下着内で漏れを吸収する尿失禁パッドが洗濯負担を減らしつつ自立排泄を維持できる最適解です。テープ型おむつやポータブルトイレは過剰支援でADL低下を招き、訪問介護も現時点では不要です。本人の尊厳と能力を尊重した段階的用具選択が高齢者ケアの要点です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(85歳、女性)は、1人暮らしで、他県に住んでいる長男家族がいる。腰部脊柱管狭窄症(lumbar spinal canal stenosis)と診断されているが、ゆっくりとした動作であれば日常生活が可能であり、畑で野菜をつくることを趣味としている。 Aさんから「尿が漏れて困ります。洗濯物が増えるので、干したり取り込んだりするのが大変です。どうしたらよいでしょうか」と相談を受けた。 看護師の対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。Aさんは自力で歩いて洋式トイレまで行くことができ、機能性尿失禁による少量の漏れが問題です。相談内容は『下着が汚れ洗濯物が増えるのが大変』であり、この負担を軽減しつつ自立した排泄を維持するには、下着の中に装着する尿失禁用パッドが最も適しています。紙おむつやポータブルトイレの導入はADLの過剰支援となり自立を妨げるため不適切、訪問介護も現時点では不要です。

選択肢考察

  1. × 1.  テープ付き紙おむつを紹介する。

    テープ付き紙おむつは臥床中で自力で腰を上げられない利用者向けです。自力でトイレに行けるAさんには過剰な支援で、ADL低下や自尊心の喪失につながるため不適切です。

  2. × 2.  背もたれ付きポータブルトイレを紹介する。

    ポータブルトイレはトイレまでの移動が困難な人のための用具です。Aさんは洋式トイレまで移動できるため現時点では不要で、かえって活動範囲を狭めてしまいます。

  3. × 3.  介護保険の訪問介護を受けた方がよいと説明する。

    Aさんは日常生活・農作業を自立して行えています。相談は『洗濯物の負担』であり、訪問介護の導入より尿パッドの使用が的確な解決策で、介護保険は必要に応じて検討します。

  4. 4.  下着の中に入れて使う尿失禁用パッドを紹介する。

    少量の漏れを下着内で吸収でき、取り替えも簡単で自立した排泄行動を維持しながら洗濯負担を軽減できます。Aさんの相談に最も的確に応える提案で正解です。

排泄用具の選択は『過不足ない支援』が原則で、ADLに合わせて軽負担のものから段階的に選びます。軽度の失禁→尿失禁パッド(パンツ内装着)→パンツ型紙おむつ→テープ型紙おむつ、という順で重介護になります。またトイレ動作の可否に応じて、便座の高さ調整・手すり・ポータブルトイレ・尿器などを使い分けます。介護保険の訪問介護は自立度と家族支援状況を総合的に評価したうえで判断します。Aさんは畑仕事ができADLが比較的保たれているため、尊厳と自立を守る最小限の支援を選択するのが適切です。

ADLや相談内容を踏まえ、自立を損なわずに尿失禁による洗濯負担を減らす排泄用具の適切な選択を問うている。