パーキンソン病の服薬日誌の記録項目
看護師国家試験 第107回 午後 第110問 / 老年看護学 / 状況設定問題
国試問題にチャレンジ
Aさん( 76歳、女性 )。夫( 74歳 )と2人暮らし。6年前にParkinson< パーキンソン >病( Parkinson disease )と診断された。現在、Hoehn-Yahr< ホーエン・ヤール >の重症度分類でステージⅢ、要介護1である。トイレと浴室には手すりが設置されている。レボドパ< L-dopa >を1日3回内服している。最近、足がすくむことが増えたため受診した。 Aさんは主治医から「薬剤の効果を評価するために、服薬時間や生活の状況を日誌に記録しましょう。2週後にまた受診してください」と説明を受けた。 外来看護師が日誌に記録する内容をAさんに指導することになった。日誌に記録する内容で最も重要なのはどれか。
- 1.食事の量
- 2.便の性状
- 3.振戦の有無
- 4.排尿の回数
対話形式の解説
博士
博士じゃ。Aさんは最近足がすくむことが増えたそうじゃの。
アユム
レボドパが1日3回で効き目が途切れているのかもしれませんね。
博士
鋭い。wearing-off現象といって、薬の切れ目に症状が出やすくなるのじゃ。
アユム
日誌に記録する内容で最も大切なものは何ですか。
博士
振戦の有無じゃ。振戦はパーキンソン病の代表症状で、レボドパの効果を直接反映するのじゃよ。
アユム
服薬時刻とセットで振戦の出現時間を記録するのですね。
博士
そうじゃ。オン時間とオフ時間が可視化され、薬の効き目が持続しておるかが分かるのじゃ。
アユム
食事の量はどうでしょうか。
博士
栄養評価としては大事じゃが、薬効判定の主眼ではないぞ。ただし高蛋白食は吸収に影響するから別の話じゃ。
アユム
便の性状はいかがですか。
博士
便秘はパーキンソン病で多いが、運動症状の薬効評価とは別じゃな。
アユム
排尿の回数はどうでしょう。
博士
自律神経症状として意味はあるが、振戦ほど薬効を直接表すものではないのう。
アユム
日誌の情報で処方を調整できるのですね。
博士
その通りじゃ。回数を増やしたりCOMT阻害薬を併用したりと具体的な治療変更につながるぞ。
アユム
薬の効果時間を数値化する大切な道具ですね。
POINT
パーキンソン病の治療ではレボドパの効果を如何に長く均一に保つかが鍵になります。薬効時間短縮によるwearing-off現象やオン・オフ変動を把握するには、服薬時刻と振戦などの運動症状を日誌に記録することが有効です。記録は薬剤増量、徐放剤・COMT阻害薬・ドパミンアゴニスト併用などの判断材料となり、治療最適化に直結します。食事量・便性状・排尿回数も重要ですが、薬効評価の中心指標は運動症状です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:Aさん( 76歳、女性 )。夫( 74歳 )と2人暮らし。6年前にParkinson< パーキンソン >病( Parkinson disease )と診断された。現在、Hoehn-Yahr< ホーエン・ヤール >の重症度分類でステージⅢ、要介護1である。トイレと浴室には手すりが設置されている。レボドパ< L-dopa >を1日3回内服している。最近、足がすくむことが増えたため受診した。 Aさんは主治医から「薬剤の効果を評価するために、服薬時間や生活の状況を日誌に記録しましょう。2週後にまた受診してください」と説明を受けた。 外来看護師が日誌に記録する内容をAさんに指導することになった。日誌に記録する内容で最も重要なのはどれか。
解説:正解は3の振戦の有無です。パーキンソン病の4大症状は安静時振戦、筋強剛、無動・寡動、姿勢反射障害であり、レボドパはドパミン前駆物質として脳内ドパミンを補充し、これらの運動症状を改善する薬剤です。長期使用ではwearing-off現象やon-off現象が起こり、薬効時間中と薬効切れの症状差が大きくなります。日誌に服薬時間と共に振戦など運動症状の出現時間を記録することで、薬効持続時間と症状日内変動を客観的に評価し、処方調整に活かします。
選択肢考察
-
× 1. 食事の量
食事量は栄養評価として重要ですが、レボドパの薬効評価の主眼ではありません。ただし高蛋白食は薬剤吸収に影響するため食事内容は別途考慮されます。
-
× 2. 便の性状
パーキンソン病では便秘が多く観察は必要ですが、レボドパの運動症状改善効果を評価するための主要指標にはなりません。
-
○ 3. 振戦の有無
振戦はパーキンソン病の代表的運動症状で、レボドパ効果を直接反映します。服薬時刻とセットで振戦の出現・消失を記録することでwearing-offの把握と処方調整に直結します。
-
× 4. 排尿の回数
自律神経症状として排尿障害が起こることはありますが、レボドパの運動症状改善効果を判定する指標ではありません。
レボドパは半減期が短く、服薬後1〜数時間で血中濃度が下がるためwearing-off現象(薬効切れ)が起こります。最近足がすくむようになったのは薬効時間が短縮しつつある兆候で、日誌によりオン時間・オフ時間を記録することは回数増量や徐放剤・COMT阻害薬併用など治療調整に有用です。
パーキンソン病の薬効評価日誌では服薬時刻と共に振戦などの運動症状を記録し、wearing-off現象の把握に役立てます。
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